表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/74

ただ一つの願い

「フロウが、恩人?」

 村人達が不思議そうな声をあげました。

 オズルはうなづいてみせます。

「ええ。フロウは一晩の宿ではなく、僕の新しい家を与えてくれました。フロウの家に迷い込んだときから、僕はずっとフロウのもとで過ごしたんです。魔法もフロウに習いました。フロウがいなかったら、今、僕はここにいないかもしれません。本当に、感謝しているんです」

 そこまで言えば、村人達もオズルの言いたいことが分かったようです。

「……っていうことは、アンネ・フローラは、まさか……フロウ?」

「ええ、その通りです」

 村人たちは、ざわめきました。オズルはあたりが静かになるのを待って、言いました。

「今までずっと、フロウはこの村に訪れ続けていました。理由は単純です。この村の人たちに例え嫌われたとしても、そのせいで人間を信じてはいけないと自分に言い聞かせていたとしても、フロウはこの村が、この村に住む皆さんが、大好きだったんです。

 だから正体を隠して村に来ていたんです。ヘーメルオーストに薬を届けに行って、薬の材料の薬草を買って。アルさんの八百屋に行ったり、サリアさんのお花屋さんで店番をしたり、キンダーヘイルで雑貨を見て回ったり、村中を歩き回って、たくさんの人とお話ししたんです」

 村人が全員、オズルを見つめています。

「今まで"アンネ"が村に訪れていたとき、何かおかしなことが起こったことがあったでしょうか?」


「ないよ、そんなこと!」

「私は信じるよ。フロウのことを、そしてフィリップ……ううん、オズルのことを!」

「俺も!」

「うちも!」

 村人たちが、一斉に声をあげました。

 オズルには、その言葉が嘘でないことが分かりました。


 勿論、映像を見ていたフロウにも分かりました。

 村人の言葉が、嘘でないことが。

(……これが、目的だったのか)

 フロウは微笑みながら、涙を流しました。


 オズルはにっこりと笑って、言いました。

「もう、フロウのことを"悪い魔女"なんて言わないでくださいね」

 これがオズルの、ただ一つの願いだったのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ