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訪れた時

 オズルがフロウの過去を知った一ヶ月後の、ある夕方のことでした。

 フロウは小屋で、オズルから送られてきた魔道具を見つめていました。

「見たことがない魔道具だねえ。説明は今回はなし。『身近に置いておいて』だけ。使い方が分からないじゃないか」

 それは青い宝石の中に、緑色の六芒星が描かれたものでした。

 フロウが愚痴を言っていると、不意にその宝石が光り出し、何かを空間に映し出しました。

『皆様、集まってくださりありがとうございます』

(——オズル!)

 不意に、そこにいないはずのオズルの声が聞こえます。

 空間に映し出された何かをよく見ると、それは映像でした。よく見るとそこはマディシナ村の中央にある広場で、オズルが村の人たちに向かって話しかけているのが分かりました。しかし、話している張本人、オズルの姿だけが見えません。

(今起こっていることを遠くに伝える魔道具か。聞いたことがある。オズルが見えないのはきっと、この魔道具の片割れをオズルが身につけているからだ)

 フロウはオズルの魔法が向上していることを嬉しく思いながらも、今オズルが何をしようとしているかが読めず、映像を食い入るように見つめました。


 その頃オズルは、村の中央にある広場に村人全員を集めていました。

「皆様、集まってくださりありがとうございます」

 皆がオズルのことをじっと見ています。

 どんなことを話すのか、興味津々そうな目で。

「急なことで信じられないことばかりかと思いますが、これから話すことは、全て本当のことです。信じていただけますか?」

「フィリップが嘘をつくわけがないじゃないか!」

「勿論信じるわよ!」

 あちらこちらからそんな声が聞こえます。

(この声も、この様子も、フロウに伝わっているはずだ)

 フロウのもとにあるのと同じような宝石のペンダントをかけたオズルは、にこりと笑って続けました。

「ありがとうございます。それでは、お話しさせていただきますね」


「今日お話ししたいのは、僕自身のこと、そして、僕の恩人のことについてです」

 オズルはそう切り出しました。

「まず、僕自身のことについてお話しさせてください。僕は、ずっと秘密にしていましたが、魔法使いです」

 その言葉を聞いた途端、村の人々はざわめきました。

「証拠をお見せします」

 オズルはそう言うと、何もない空中から、一つのランプを出して見せました。

 そう。一番最初に練習した魔法です。

 村人達がどよめきました。

 しかしそれだけでは終わりません。オズルはランプを地面に置き、

「これをよく見ていてくださいね」

 そう言うと、今度はランプに触れることなくランプを点けて見せました。

 再び村人はどよめきました。

 最後に、オズルは指を鳴らしました。

 すると、ランプが消え失せてしまったのです。

 村人達はずっと目を丸くしたまま、見ていました。

「——これで信じていただけますか?」

 永遠のような、一瞬のような沈黙の後、誰かが拍手を始めました。ユリアです。

 その拍手につられるように、皆が拍手をしました。

 それは、皆がオズルの魔法を信じるという意思表示でした。

「ありがとうございます。——それでは、本題に移らせていただきますね」

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