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オズルとフロウの魔法使い日記  作者: 秋本そら
枷と向き合って
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解ける謎

「どうして、ここに?」

 ユリアに問われ、オズルは真剣な表情で答えました。

「僕の父さんも母さんも、魔法使いじゃないはずなんです。なのに、僕は生まれつきの魔法使いで。それがずっと疑問で……だから、過去に遡って確認してみたかったんです。両親が魔法使いだったのか」

 その答えを聞いたユリアは、はっとしたような顔をします。

 ユリアは少し俯いて、やがて、何かを決意したかのように顔をあげます。そして、

「……真実を知りたいのなら、こっちを見るといいわ。そうすれば、分かるから」

 そう言って、先程から何か言い争っているような声が聞こえる方向を指しました。

(どうして、ユリアさんがそんなことを知ってるのかな?なんで断言できるの?)

 疑問に思いながらも、ユリアにうなづいて見せて、そちらへと向かいます。


『あいつは俺が引き取る』

『どうして?私に引き取らせて!』

『俺があいつに暴力でも振るうと思ったのか?そんなことはしないぜ』

『さっき私に振るったのに?そんな言葉、信用できないわよ!』

 一組の夫婦が喧嘩をしています。内容からして、離婚話になっているようです。しかも、妻の方が夫に暴力を振るわれたようなのです。

『俺とお前、どっちも店を開いてるけどよ、売り上げが高いのは俺の方だぜ?』

『でも……!』

『ちゃんと育てるからよ、いいだろ?』

『……』

 妻は夫に丸め込まれてしまいました。

『ギニア、あなたって人は……』

『なんだよ?』

『……いいえ、別に』

『あいつにお別れの挨拶でもしてくれば?』

『……そうね』

 そう言って妻はその場を離れます。


「……ねえ、ユリアさん」

 オズルが振り返ると、ユリアはその場で崩れ落ちて、泣いていました。


 オズルは妻の後を追いかけ、最初にいた部屋に戻ってきました。

『かあ、ちゃ?』

 二歳のオズルが自分の母親を見上げています。

『オズル、もう、母さんとはお別れよ』

 オズルの母親は、オズルにそっと、守りのまじないの魔法をかけました。

『母さんとお別れしても、これからも……元気でね。オズルのこと、大好きよ』


 不意に、部屋にギニアが入ってきます。

『おい、もういいか』

『……ええ』

 幼いオズルは、ギニアに抱き上げられます。


『それじゃあ……またな、ユリア』


 ——オズルの本当の母親は、ユリーシャではなく、ユリアでした。


 そろそろ魔力が限界を迎え始めたのか、目の前が白み始めました。このままでは過去に置き去りにされてしまいます。

 オズルは部屋の外にでて、ユリアに手を伸ばします。一緒に帰らないとユリアが——実の母が過去に置き去りにされてしまうのです。

「ユリアさん……母さん!」

 オズルの声を聞いたユリアが、はっとして顔をあげます。

「早く、手を!」

 差し伸べられた手を見たユリアは、呆然としながらも、オズルの手を掴みます。

 その瞬間、二人は現在へと引き戻されていったのでした。

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