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使い魔のご挨拶

「にゃーお」

 ルイーザが新しい同居人に会うため、扉の前に立って鳴きました。

 ルイーザはフロウの使い魔。本当は多少の魔法ぐらい操れて、人間の言葉で喋ることや扉の開け閉めなんて慣れたものなのですが、何も知らない二人(一人と一匹)を突然驚かせてもいけません。戸の前で鳴き、開けてもらうのが一番だと考えたのです。

「ねぇフィリー、ここには他にも猫がいるみたいだ。仲良くなれるといいね!

 猫さん、今開けるよ。ちょっとまってね」

 そんな声がして、こちらへと向かってくる人間の足音が聞こえ、ルイーザは耳をぴくりとさせました。

(ふーん、この声の持ち主がオズルなのね。まだ声変わりもしていなさそうじゃない)

 そんなことを考えた時、

「はじめまして。僕はオズル。今日からここに住むことになったんだ。よろしくね。

 さあ、中に入って!中には僕の友達の黒猫もいるんだ。仲良くしてもらえたら嬉しいなあ」

 身なりはぼろぼろだけど、優しそうな少年です。

(——ふーん、悪い子じゃなさそうね)

 ルイーザは誘われるままに、中に入りました。


「えーっと、改めて、はじめまして。

 僕の名前はオズル・アイーネ。さっきフロウさんがつけてくれたんだ」

(……待って。なら……この子は孤児な訳?親に捨てられちゃったの?)

 ルイーザは驚き、そして自身が持つ魔法の力でオズルの過去を見てしまい、さらに驚きました。

(……辛かったのね、オズル)

 ルイーザは胸が痛み、オズルの傷だらけな足を少しだけ舐めてやりました。その時に、魔法を使って足の怪我を治してやったのは秘密ということにしておきましょう。

「こっちはフィリー・アイーネ。僕の友達の黒猫だよ。オスなんだ。名前をつけたのは僕。だけどこの家に来たからアイーネっていう性がついたんだよ」

(オスの黒猫……同じ黒猫なのは嬉しいけど、オスは……いまいち気が合わないことが多いのよね。このことは気があうといいけど)

 そんなことを考えながらルイーザが、

『よろしく、フィリー。

 私はルイーザ。フロウの使い魔なの』

 と簡単に猫語で自己紹介をするとフィリーも、

『よろしくお願いします、ルイーザさん』

 と返してきました。

『恥ずかしいから呼び捨てでいいわよ』と返事しながら、思いました。

(この子となら、気があうかもしれないわね)と。


「これからよろしくね。

 君の名前は、なんていうの?」

 オズルがルイーザに問いかけると、ルイーザはちょい、と首輪を指して見せました。というのも、ルイーザの首輪には名前が書かれていたのです。綺麗な字体で、「ルイーザ・アイーネ」と。

「ここを見ればいいの?ごめん、少し見せて……そっか、ルイーザ・アイーネっていうんだね!よろしくね、ルイーザ!」

(よろしく、オズル)

 心の中で、ルイーザは呟きました。

(この子達となら、なかよくやっていけるかもね)


 と、その時でした。

「オズル!スープを作ったからこっちにおいで!猫も食べれるわよ!フィリーとルイーザもいらっしゃい!」

 フロウが大声で三人(一人と二匹)を呼びました。

「はい、今行きます!」

「にゃーお」

「にゃあ」

 三人は同時に返事をし、広い部屋へと向かうのでした。

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