留守を任せて
フロウは、オズルを拾ってからしばらく経ったある日の朝食の時、オズルに言いました。
「今日、あたしは村に行かなきゃいけないからね。留守番を頼むよ」
「村って……ここの?マディシナ村に?」
少し日数が経ったので、オズルはなんとかタメ語で話すことにも慣れてきました。
「それがどうしたんだい。あたしが悪い魔女だってことで有名だからかい?なに、姿ぐらい変えて行くよ」
フロウはオズルの心を読み、答えました。
そして一つ、溜息を吐きます。
「あたしの正体を知らずに、みーんな優しく接してくるもんだから調子が狂っちまうよ。
うーん、正体がもしあたしだと気付いたら……そうだね、あたしはあざだらけ、傷だらけでここに帰ってくるかもねえ。下手したら生きては帰ってこられないかもしれない」
「……」
「……というのは嘘だ」
思わず絶句したオズルにフロウは苦笑して言いました。
「姿を変えることぐらい、なんてことはないんだ。それに、そんなに簡単にばれたりはしないさ。それに何かあっても、なんとかして逃げ出してくるさ。あたしは魔女だよ?そのぐらい簡単さ」
「……そっか」
オズルはようやく笑顔になりました。
「机の上にメモを置いておくからね。よく読んでおくんだよ。帰りは遅くなるけど、大丈夫だね」
「うん!いってらっしゃい」
「行ってくるよ」
フロウは家を出ました。
「——さて」
フロウは家を出るなり、その細長くて綺麗な指で空中に魔法陣を描きました。魔法陣は空中に浮かび、青く光り輝いています。
フロウはその魔法陣に手をかざし、
「さあ、マディシナ村へ。あの家へ」
その次の瞬間、フロウの姿は消えていました。




