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大切な物に順番をつけたなら  作者: 天カスおうどんさん
4/6

4話-人のため-

今回は視点が続さんになってます。


「んん〜、私が来た時にゃこの家はもう崩れ落ちた後だったんだがや、その家の人らが死んでた言うのはその後警察に聞いたことだぁよう、わしにわかんのはこんぐらいじゃ。」

「そうですか………お答え頂きありがとうございます。」

「ええんや、答えてやったんやからちゃんと犯人早く捕まえなあよ〜。」

 そう言って老人は俺の前から去っていた。

『進展なし』僕はそうメモに書き記した。

 この文字を書くのは何度目だろうと僕は日付をさかのぼってメモに書いてあることを読んでいく。

「…………。」

 …ここ一ヶ月間、そのメモには『進展なし』という文字しか書いていなかった。

 はぁ…と口から大きなため息が出る。

「まさかこの僕が一ヶ月間もなんの情報も掴めないなんて……。」

 僕は、とある雑誌のライターをやっていて、ここ最近は同一犯によるものと思われる殺人事件を追っている。

 自慢じゃないが、今まで僕の執筆してきた記事はとても正確で誤情報があったことはない、なのでとても読者からの評判が高く、入社して一年になる頃には僕の記事のために10ページの枠が割かれる様になっていた。

 今回も上手くいくと思っていた。なんせこの一連の殺人事件には大きな特徴がある、それは《犯行現場が酷く荒れている》という点だ。

 その犯人が殺人を行ったと思える場所は、まるでそこだけ地震でも起こったかの様に道路などの損傷が激しかった。

 僕が取材を初めてからこの犯人によるものと思われる事件は6回起こったが、どの事件も目撃者はなく、犯行現場が荒れているという所から何の進捗はなかった…。

「ねえねえ歩、今日ある筋から佐藤くんが6億円何に使ったか聞いちゃったんだけど知りたい?」

「そんな情報を掴むとは流石優宇だな、もったいぶらず教えてくれたまえよ。」

 歩き疲れベンチに腰掛けていると、隣のベンチに座っている大河学園の生徒の会話が耳に入ってきた。

「佐藤くん、宇宙研究機関とかを買収してSATOSAって言う新しい宇宙機関を作ったんだってさ。」

「ほぇ〜すっげーな佐藤くん、同じ名前のよしみで将来俺を試験とかなしでそこに就職させてくんねえかなぁ…。」

「佐藤くん厳しい人だし無理だと思うなぁ…僕の家の雑巾掛け係で良ければ歩なら無条件で就職させてあげるよ。」

「おぉー!ありがとう優宇〜、お前は本当やさしいな〜。」

 とても楽しそうな学生達だ。僕は仲の良い友達というのがいなかったから、ああいう学生達を見るととても羨ましく思う。



 父は僕と母によく手を上げる人だった…母は父の暴力に耐え切れず、小学生の僕を置いて家を出て行った。

 母がいなくなってから父は更に荒れ、僕への暴力は日に日に酷くなっていった…。

 先生に相談しようとしたが、先生は僕が話があるというと『今日は大事な用があってな、また今度な』と言って話を聞こうとしてくれなかった…面倒事に関わりたくなかったのだろう。

 けれど僕が高校に上がる頃に父は病で倒れ、病院に長期入院することになった。

 僕は父からの暴力に解放されたと喜んだ。でもそんなのは一瞬で、次の苦難はすぐにやってきた…。

 父は闇金に手を出していた……借金取りが毎日ドアを叩き、支払いの催促をしてきた。それに加え、父の入院費もあった。

 銀行はこれ以上お金を貸してはくれない。

 僕は高校を辞め、バイトを掛け持ち朝から晩まで働き、父の入院費を払い続けた。

 もしかしたら父は今の僕を褒めてくれるかもしれない、と父のお見舞いに行ったが、父は昔と変わらず僕の事を怒鳴り、汚い言葉を僕に言い続けるだけだった…父は僕が何をしても変わらなかった……。

「つめたっ……。」

 体に雨があたり我に帰る。

「天気予報じゃ雨なんて言ってなかったんだけどな…。」

 僕は路地裏に入りそこで雨をしのぐことにした。



「全然止まないな…。」

 あれから20分程いるが雨は一向に止む気配ない、むしろ強くなってきていた。

「はぁ……失敗したなぁ…あのまま帰っておけばよかった…。」

 今日二回目の大きなため息が出る…。雨というのはどうも僕の心を弱くする様だ。

「立っているのも疲れたし、どこか店にでも入るかな。」

 そう思い、僕は路地裏を抜けようと歩を進める。

「……ぃだ。……さい。」

 しばらく歩いてると右の通路の方から泣いている女性の声がした。

 僕は様子が気になり右へと進路を変え、歩を進める。



 ついてみるとそこには、さっきの声の主であろう地面に膝をつき泣いている女性、同じ様に膝をつき何かを懇願している男性…そしてもう一人、その二人の姿を見下ろしている少年がいた。

「お願いだ、どうか…どうか私達を殺してもいいから、娘だけには手を出さないでくれ!!」

「お願いです…本当に……娘だけは…どうか!」

「だまれ…俺の中で答えは決まっている、お前らがどうこう言ったところでそれが変わることはない。せめて最期ぐらい無様な格好をするのはやめたらどうだ…。」

 それに対する少年の返答はとても冷たいものだった。その男女に向けての憐れみ、情けというものは全くなかった…。

「会話を聴くに、あの少年が、あの夫婦の娘の命を握っているんだろう…でも今出て行って下手にあの少年を刺激してしまうと何をしでかすかわからないからな、どうすれば…。」

 僕は壁で身を隠しながら、何かいい案がないか思考を巡らせていると、女性が少年の方にすがり寄って行った

「お願いします!!本当に…!娘の命だけはどうか!」

 女性は少年に泣きすがりながらそう訴える。

「汚い手で俺に触ってんじゃねぇ!!」

 触られた事がよほど気に入らなかったのか少年は怒りに満ちた声でそう叫ぶと、女性を自分の体から引き剝がし顔面に蹴りをいれた。

「……うぅ!」

 女性は蹴られた所を抑えながら後ろに倒れた。

 それを見て隣にいた男性がすぐに女性に駆け寄り声ををかける。

「ことみっ!大丈夫か…?」

「あなた…顔が…顔が熱いの、すごく…。」

 女性は額から出血していて、顔全体が赤く腫れ上がっていた。

「お前、その女から離れた方が賢明だぞ。」

 少年はまた冷たい声色に戻り男性にそう告げた。

「ふざけたことを!私がこんな辛そうなことみを置いて離れるわけないだろう!」

「…お前はそうやってまた間違った道を選ぶんだな。」

 少年がそう言い終えると、前にいた女性が狂った様に叫び始めた。

「…あつ…いっ!熱い、熱い…顔が熱いっ!!」

 女性の額からはさっきよりも出血の量が酷くなり、顔はパンパンに膨れ上がっていた。

「ことみ、こんなに血が出て…今拭いてやるからな。」

 男性がそう言いハンカチで女性の額に触れた瞬間、鈍い破裂音と共に女性の頭が吹き飛び、辺りに肉の破片が散らばった。

「…うっ!」

 今吐いてしまえば僕のいることがばれてしまう…僕は腹の中から上がってくるモノを必死に堪えた。

「なっ……ことみ…どうして、こんな。」

「状況あまり理解しないまま感情で動く…それがお前の駄目なところだ。最期に気付けて良かったな、おめでとう。」

 パチパチと手を叩きながら少年はそう言う少年の声はとても楽しそうなものだった。

「お前は充分俺を楽しませてくれた。喜べ、死に方はお前に選ばせてやる。自分でちゃんと死ねるか?それとも俺が殺してやろうか?」

 男性は少年の質問には返答せず、ただ女性の死体を眺めたまま唖然としていた。

「答える気力もなくなったか……こんな状態で死んでもらっても何も意味がない――」

 一瞬少年の姿が見えなくなると、次に少年の声が聞こえてきたのは僕の背後からだった。

「だから、お前から殺すことにしたよ――」

「……っ!!」

 背後から感じるとてもおぞましい殺気に恐怖し、すぐに僕は振り返り、向かい合う形で少年と距離をとった。

「い、いつから僕に気付いていた。」

 僕は喉の奥から声を絞り出し、とても掠れた声で言った。

「いつから、か…それはお前が俺の事を『視認』した時からだ。

 お前は気付いていなかっただろうが、お前が俺を視ていた様に、俺もお前の事を視ていた。

 人を視るという事は、人に視られているということだ。最期にそれに気付く事が出来てよかったな。」

 完全に僕の考えが甘かった。

 少年と僕との間にはある程度の距離はあったし、少年に僕の存在は認知されていないと思っていた事で油断していた。

「興味本位でここに近づいた事を後悔しながら死ぬといい――。」

 グサッ、と何か尖った物がふくらはぎに刺さる感覚があった。

 何が刺さったのか確認する間もなく、“それ”は次に僕の左肩、腹部を貫通した。

「うぐあああぁ!」

 体を貫かれる痛みに耐え切れず、その場で倒れ絶叫した。

 その間にも何本も何かが体を貫通してきたが、力を振り絞り僕は“それ”が飛んでくる方を向いた。

「これ…は……よくも、こんな酷いことを…。」

 僕の体を貫通していた物の正体は“骨”だった。

 グチャグチャと嫌な音を立てながら骨はさっきの女性の死体の首や胸から飛び出て、こっちへ飛んで来ていた。

「いいリサイクルだろ?」

 そう笑いながら言う少年に僕は恐怖すると共に怒りをおぼえた。

 だがそれが精一杯だった。何度も体を貫通されることで感覚がおかしくなり、もう痛みを感じることもなくなってきていた――

 段々呼吸が浅くなっていき、意識が“死”という一つの考えに集中しそうになっていた時――女性の死体がある方から“石”が飛んできて、少年の頭に当たった。

「化物、お前の狙いはそいつじゃないだろ。もうボケたのか?」

 石の飛んできた方に目を向けると、そこにはさっきの男性の姿があった。

「きみ!!僕がこいつの注意を引く、だから君は逃げるんだ!絶対に逃げろ!!」

 男性のその言葉で失いかけていた意識を取り戻し、痛みを堪え必死に足を動かし、なんとか立ち上がった。

「……お前はこの場から去るといい…。お前は後だ、後で必ず殺す!!」

 さっきまでとは違い、怒りに満ちた声で僕にそう告げると、少年は男性の方に向かってゆっくりと歩き始めた。

「来いよ化物!石の一つも避けられないんじゃ大したことないな!」

 少年を挑発するその男性の足は震えていた…僕を助けるために必死に恐怖を堪えているのだろう。

「…ありがとうございます」

 男性の方を向き、僕は心の底からその言葉を絞り出した。

 きっとその声は男性の耳には届いていないだろう。けれどこれが今の僕に出来る精一杯の誠意だ。

 僕は男性に背を向け、その場から逃げだした。

 背後で瓦礫が崩れる音、男性の叫び声が聴こえてきたが、僕は走ることをやめず、必死に逃げた――



 路地裏を抜け、しばらく走っていた僕の目の前にあったのは《立ち入り禁止》のテープが張ってある焼け焦げた家だった。

「ここならしばらく身を隠すにはちょうどいいか…それにもしあの少年が来たとしても、他の人を傷付けないで済む――」

 家に入ると、そこはタダの火事現場というわけではなかった。所々に血痕が付着している。

 流石にこんな居心地の悪い場所では体を休めることは出来ない。

 僕はもう少し休めそうな場所はないかと2階に昇り、奥の方にある書斎に入った。そこはあまり火事の影響がなかったのか損傷は激しくなく、見渡したが血痕などもなかった。

 そのことに安堵し、僕はそこで糸の切れた様に倒れ、深い眠りについた――

この話読んだ後3話を読み返してみると…って感じになると思うので、気になったら読み直してみると良いかもです。

そういえば登場キャラの容姿とかあんまり書いてなかったなと思ったのでこの場で少し紹介したいと思いますね。

【プロフィール】

・二階堂 歩 6月6日生まれ 藍色の髪と目をしてる高校2年生。

好きな食べ物はタケノコ


・西園寺 優宇 12月24日生まれ

赤い目の金髪。女子顔負けの可愛らしい容姿をしており一部の男子から絶大な人気を誇ってる“少年”


・雪村 続 6月21日生まれ

少し長めの黒髪、赤い目をしている。

大手雑誌でライターをしている26歳

父の借金を返すため一生懸命働いている。


今回はとりあえずこの3人ぐらいかな。

そういえば西園寺優宇は最初の10時間くらいは違う苗字だったんですが、2話で実家が金持ちっていう設定を入れたので高級そうな苗字に変えました。

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