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出会い

「—――てちょうだい!」

「わかったわかった。茶の用意だろ?」

「ちがーう!ホットミルクだってば!」


 男の人と・・女の子の声・・・?


「ん・・。」

 重たいまぶたを開ける。

 すると、それに気づいた女の子がパタパタとこっちに近づいてきた。

「よかったー!気が付いたんだね!」

 透き通るような綺麗な声。どこまでも澄み切った空色の目。クリームが混じったような柔らかい金色の髪。それにとびっきりの笑顔まであった。


「君ね、道端でボロボロなって倒れてたんだよ?びっくりしちゃった!」

 そう言うと女の子は僕がさっきまで寝ていたベッドにピョンッと飛び乗り、じーっと顔を見てきた。あんまりじーーっと見てくるから僕はたまらずきいた。

「僕・・・なんか変・・・?」

 すると女の子はにぱっと笑って、「ううん!傷ちゃんと治ったか見てみただけ!」とこたえた。なんだ。気にしなくて良かったのか。そうほっとして、ふと僕は思った。


「えと・・君が手当てしてくれたの?」

 そう僕がきくと、「うん!やっと魔法が使えるようになったから・・!」と今度は少しほっぺをピンクにして教えてくれた。とっても嬉しそうな顔。なんでそんなに嬉しそうなのかは分からなかったけど、どうもこの子が助けてくれたらしい。


「そっか・・えっと・・えっと・・?」

 こういう時ってどうすれば良いんだろう?僕はすっかり困ってしまった。女の子はというと、どうして僕が困ってるのか分からないみたいだ。目をぱちくりさせて首をかしげている。


「そういう時はお礼を言えば良いんだよ少年」

 あ、きっとさっきの男の人だ。コップ2つ持ってこっちの部屋に入ってきた。そっか、お礼言えば良いんだ。・・・お礼・・・お礼・・。


「お礼って・・・何を言うの?」

 僕はさっきよりも困ってしまったからそうきいたんだ。すると、二人とも目をまぁるくして、男の人は大笑い。女の子はそのまま目をパチパチ。


「あはははは!!そうかぁ、いやすまない。君も相当苦労したんだな。で、お礼というのは」

「ありがとう!って言えばいいんだよ!」

 男の人が言い終わるより先に女の子が答えてくれた。ふむふむなるほど。


「そっか・・ありがとう。」

 そう言うと男の人は「はぁぁぁ・・・」と長いため息をついた。あれ、僕なんか違ったのかな?どうしようとまた困った僕に気づいてか、女の子が

「なんでそこでため息つくのっ!?」って不満げに男の人に言ったんだ。するとすぐに「お前が相変わらず言葉をかぶせてくるからだ!」と男の人が言って、それと同時に「えええええ!!!?」という女の子のブーイング。


 とりあえず僕のやったことがいけなかったとかそういうわけじゃないけど、今度は僕が目をパチパチさせる番となってしまった。二人は色々言い合ってたけど、男の人はもう用事あるからということでコップを近くの机に置いてどこかへ行ってしまった。ちょっとして女の子が僕に話しかけてきた。


「そうだ!ホットミルク!あったかいしおいしいし一緒にのも!」そう言って女の子は机の上に置いてあったコップの方を振り返った。そういえば男の人、ずーっとコップ持ったままだったな。


「あああああああああ!ホットミルクじゃなーーい!!」

 どうやら中身はさっき男の人が言ってた茶ってのかな?女の子はしばらくプンプンしてたけど、「ホットミルク用意してこようか?」ときいてきたので、「茶?でいいよ」と僕はこたえた。すると女の子はコップを僕に渡してくれた。実はどっちもよく知らなかったけど、とりあえずこの茶という飲み物はおいしく飲むことができた。少なくとも外の水たまりの水なんかよりよっぽどマシだ。女の子はというと、コップとにらめっこしてるようでまだ飲んでいないようだ。と思ってたら突然顔をバッとあげて、

 

「あ!・・名前!きいてないし言ってない!!」

 と言ってきた。そういえば色々あったのに言ってなかったし聞いてなかった。あれ・・でも僕は自分の名前なんて知らない。どうしよう・・。


「私はアンジェリア!アンジェって呼んでね!」女の子・・・ううん、アンジェはそう言ってくれた。困った。ここでもまた分からないだなんて。でも仕方がない。


「んとね、僕は自分の名前知らないんだ。」そう正直にアンジェに言った。すると、アンジェはまたしても目をまぁるくさせてパチパチしてる。でも少しして、「じゃあ、私、君のことウィルって呼んでも良い?」ときいてきた。


「うん、いいよ。アンジェ。」僕はそうこたえた。

 すると、またアンジェはほっぺを少しだけピンク色に変えて、ニッコリ笑ったんだ。


「よろしくね!ウィル!」






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