Prologue
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藍色の小さなタマゴが蠢いた。
テーブルの上に少年のつぶらな瞳が乗り上がってきた。
「なに? これ」
少年の問いに老人が答えた。
「竜のタマゴじゃよ。しかしこんなのは見たことがない。色合いも手触りも他と違っている。表面がこんなに頑丈なのも初めて見るわい」
「そんなこと訊いてるわけじゃないんだけど」
「わしにも分からんのじゃよ。南海の雷竜や北海の氷竜も見てきたが、こんなのは初めてじゃ。いや、もしかしたら竜の谷に住まうという人食い竜のタマゴかも……」
タマゴが再び蠢いた。動きは次第に大きくなっていった。少年が眉をひそめて指でタマゴを押し込んでみた。熱かった。まるで炭火にくべたかのようにカッカと熱されていた。やがてタマゴの表面が柔らかくなってきた。
老人が言った。
「ひとつだけ分かることがある」
「何?」
「これはじきに孵るだろう」
少年の顔が好奇心に輝いた。
「いつ?」
「今すぐ!」
老人の表情に驚愕の色が走った。
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こんにちは、空猫と呼ばれます.
この小説は、 COMICO WebToonで漫画でも連載となっている作品で、
小説でもお知らせしたいと考えて連載を決心しました。
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