◇竜也、西尾宗次の家来になる
雨だ
1556年5月24日21時04分
―渡る世間に鬼はいない
確かに、前居た俺の世界にはほとんどの鬼は居なかった。だがこの世界、この時代はどうだろうか。1556年といえば、織田信長が尾張の国を統一、豊臣秀吉がその織田に支え、徳川家康が今川義元に人質にしている位の時代だ。これは、昨日の歴史で勉強したから覚えていたのである。つまり、今は…
戦国時代!!
この時代には必ず『鬼』がいる!!
心の中で論議した結果、次の答えにたどり着いた。
「西尾宗次様、お供します。よろしくお願い致します」
―おお、出来た!!何とか時代劇やら、水戸○門やらの役者が言いそうな感じで言えた!!
お供する事より、言えた嬉しさが込み上げてきた。
「宜しい、それは良いが何故そなたがあのような所で倒れていたのじゃ?御主の出身国は何処じゃ」
どっきーん。心臓の鼓動が一気に早くなった。「それはですね……えーっと…えーっと」
どうすれば良いのか。未来から来た?それとも嘘を言う?
迷いに迷っている俺に西尾さんは驚きの声をあげた。
「江戸?江戸ですと!?御主徳川の者であろう!!今すぐ切り捨てるわ!!」
変な勘違いをした西尾さんに俺は間違いを直した。
「ち、違います!!僕はや、山城に住んでいます」
―しまった~山城出しちゃた!!
山城は東京の南に位置している小さな区だ。昔の江戸と言ってもおかしくない。
「やはり、江戸!!切り捨て御免んんんん!!」
西尾さんは全速力でダッシュして来て、俺の左肩から右腹部にかけて刀を振りかざした!!
これが俺が予想した展開だった。だがそうとはならなかった。
西尾さんは俺の予想を打ち砕き言った。「ほう、山城か。あちらは良い所であるな。のう?」
後ろの家来が「それはもう最高です」的な雰囲気を出して頷く。確認をとるほどの余裕っぷりだ。
どうやらこの時代の山城は違う場所らしい。
後で聞いた話だが山城は……………………
京都府らしい。
…良すぎだろ…
何故倒れていたかはさておき、無事に家来になれた俺。西尾の本拠地らしい越前(えちぜん、今の福井県)藩に向かった。
越前および福井県への行き道で幾つかの質問をした。
―何故江戸の人を殺そうとしたのか
答えは、「今、領地の移動を考えている江戸にある他の藩がいてお互いに意識しているから」らしい。―ここは何処なのか
その質問には答えてもらえず、変わりに古い地図を渡された。見ると少し形が歪形な日本が書いてあった。
―嫌、地図渡されても分かんないですけど…
これは質問ではなく心の声。
俺は地図をポケットにしまった。
西尾隊は道無き道を歩き続けた。嫌、道はあるか…
途中、小さな村(これが国らしい)に寄り俺の装備を整えてもらった。さっきまでの俺はRPGなら初期装備もないただのアホプレイヤーだった訳だ。
まとめ
今日は西尾さんの家来になれたし、武器や防具を装備できたのでまぁまぁ良い日だった!!……………………………………
のか?
最後の終わらし方を変えてみた。