◇取り残された<俺>
最近、自販なりコンビニなりで買った[炭酸飲料]を飲みすぎている気がする。
―殺風景。
正にこの事だ。本当に何も無い。あるのは見渡す限りに延々と生えている雑草と、弓?みたいな物が落ちている。
「ここが…未来!!……なのか?」
はっきり言って全く未来だとは思えなかった。
だが、ここが幻影世界。つまりグラフィックの可能もあると思い、タイムマシンの外にでた。
「えーと、5分だったな」俺は時計を確認する。只今の時刻、17時02分。まあ17時05分に余裕を持ってここに帰ってくれば良いと思い、自慢の脚力と2ヶ月前に購入した《足が速くなる靴》で全力疾走で草原を駆け抜けた。因みにこの靴を履くと俺はだが、50メートル走のタイムが1、30秒も速くなった。普通の靴だと6、30秒。引くと…オリンピック選手に負けない走力になる。それがまた恐ろしい。
ある程度見て回ったが、やはり何も無く、ミスか何かだろうと予想した俺に思いもよらぬ光景が目に飛び込んできた。(ここが未来だと仮定して)過去に戻るためのタイムマシンが発射準備をしているではないか!
「どういうことだよ!!おい!!」
さっき時計を確認した時はまだ17時01分だったはずだ。
「時計が狂っていたのか!?」嫌、そんな事はどうでもいい。
「待ってくれぇぇぇ!!」
俺は過去へ帰る希望に最後の言葉を叫んだ。勿論待ってくれるはずもなく、タイムマシンはこの時代を去った。
「さよなら、じいちゃん。さよならマイライフ。この14年間楽しかったです………」
俺は過去か未来か分からない時代にある草村に倒れ込んだ。
何処かで、虫が鳴いたような気がした。
いま、机の上にある《王様ゲーム》(作金沢伸明)を読んでいる。なかなかグロい。恐い。だがメチャクチャ面白い。