表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

第6夜 薔薇園の双狼

馬が2匹で引く馬車に乗り、歪んでガタガタと揺れる薄暗い森を抜けた。

何分走ったのかは正確にはわからなかったが、結構早く着いた気がした。

DBタウンの中心地、センター。

全体がどんよりとしている雰囲気だったが、流石ににぎわっていた。

ただ、一つの道を除いては。

ヘムにこっそり訊ねてみると、あの道の先には、風俗や博打の店くらいしか並んでおらず、夜まではほとんどここの一角は眠りにつくという。

その名も、ダークテキーラストリート。

一方、町の中心には、食料、衣服等の店が立ち並び、昼を中心としている。

昼と夜。町の場所がそっくりそのまま変わってしまう。

「それで?町へは、何をしに?」

「その、『死神』に会いたいんだ。」

「そうなのかい?なら、残念だが彼には会えないよ。」

「へ?どういうことだ?」

「奴は夜の住人なんですよ。ほとんどこっちには顔も見せません。」

屋敷を出る前にその話をしていたと言うのにこの人たちは・・・と、俺は小さくため息をついた。まあ、そもそも、人でもないんだが。

「なら夜まで、観光でもするかい?」

「観光?何でそんな場所があるんだ?」

「何でって、他の国から来た人たちを楽しませる為に決まっているじゃないか。」

「他の国!?他にも国があるのか!?」

「篝さん、面白い事を言いますね。」

ヘムは冗談を言ったんだと思っているようだが、俺はいたって本気だ。

てっきりこの世界には、この『DBタウン』しかないものだと思っていた。

「では、どこに行きましょうか。ローズフェアリー辺りですかね。」

「ろ、ろーずふぇありー?」

「ああ、私はあそこが好きだよ。行こうか。」

「だ、だからそれなに・・・って、おい!」

ファウストは機嫌が良さそうに、街道を進んでいった。

クリーム色の空が似合うだろう、と思ったが、この世界には黒と赤の空しか存在しない。美しいのに勿体無い。



向かう先は、ローズフェアリー。


当然、俺は場所も、どんなところなのかも知らず、ただついていっているだけだ。

「ここですよ。」

サァっと風が吹いた。

風に混じって、ほのかに花の香りがする。

かがずにはいられない、魅惑の香り。

禁断の園、そんな言葉が実に似合う。

深紅の薔薇、漆黒の薔薇・・・・やはり、ここにも赤と黒しかない。

だが、本当に美しい。

「・・・・・・。」

あまりの美しさに、俺は感動するだけで、言葉では表現できなかった。

「どうだい?」

「ファウストが好きな場所っていうのは、なんかしっくりくる。」

「そうだろう?」

「僕もそう思います。」

ヘムが苦笑しながら言う。

美しいものには、同じく美しいものが似合う。

「あっ、ファウスト様。お久しぶりです。」

路考茶色タバコブラウンの明るく、かつ、控えめなショートの髪。

橙色ゴールデンオレンジの瞳は、女の子を思わせる。

でも、声質・髪型からして、男であることは間違いない。

「おや?その子は?」

「客人だよ、スコル。カガリだ。」

「よ、よろしく。」

「よろしくおねがいします。」

「そういえば、ハティさんは何なさってるんですか?」

「相変わらずです。ずっと、研究ばっかり。」

彼の名前はスコル・モア・シュガルツィット。

双子のハティとともに、このローズフェアリーの管理人をしているらしい。

ハティの髪は暗い鉄紺色で、瞳の色は神秘的な瑠璃色ラピスラズリ

ほとんど人前には出ず、内部の研究は彼の担当だ。

ちなみに2人とも、本当の姿は、狼だ。

もっと恐ろしい言い方をすると、狼男。

「ファウスト様、では、また明日に。」

「そうだったね。それじゃあ。」

俺たちはローズフェアリーを後にした。

「なぁ、明日も来るのか?」

「明日、家でパーティをやるんだよ。言っていなかったかな?」

「き、聞いてない・・・・」

「篝さんはゆっくり食事なさってていいですから。」

「あ、ああ・・・・。」

パーティ?化け物パーティ?

怖いもの見たさか、何となく興味はある。

でも、取って喰われる可能性があるし、あまり動かない方が無難だな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ