積極的平和主義の実現 ―同盟考察―
この中にある論理はあなたを不快にさせるものが含まれているかもしれない。
それを理解した上で読んでもらいたい。
また、私はあなたに自身の思想を押しつけようとは思っていないことを理解してほしい。
新平和主義の続きとして書く。
読者より対外的な主張も良いが、日本国内での諸問題についても論じるべきだという意見があった。
その通りである。
しかし、現在の日本国において一番初めに対処すべき問題は日本国が負う致命的な外傷の処置だろう。
これを病院にいる患者に例えてみよう。
酷い腹痛を訴えている甲という人物がいたとする。
一方で腹の深くに包丁が刺さっていて早く治療しなければ、死んでしまうような患者乙がいたとする。
果たして最初に治療を行うべきはどちらであろうか。
全会一致で外傷を負っている乙の方であろう。これを非道い例えだと言う方は必ずいるかもしれないが、日本の国益を考えた際に真っ先に対処をしなければならないのは外にある脅威である。
まず、自分の身は自分で守れなければなにも始まりはしない。
腹痛が如何に非道かったとしても適切な応急処置をしておけば進行を遅らせることができる。
ならば、内の問題に ついては応急処置を施し進行を遅らせ、その間に外傷の治療を終えることが今考えられる範囲では最良の選択と思う。
内部の問題は決して軽んじて良い問題ではない。
だが、その問題にじっくり長く取り組むには外から来る病あるいは銃弾を防げるような基盤を作り上げなければならないだろう。
そう言った意味で、まずは対外的な日本国の問題を解決する考えを私は述べたいと思う。
前回の「新平和主義」において不快な表現を用いたことを深く反省する。
何か指摘があるならば、拙いながらも一つ一つ考察した上で論じてみようと思う。
では、積極的平和主義の実現について論じようと思う。
同盟についての考察。
同盟において日本国と米国との関係は冷えてきていると感じる。
日米同盟の強化の象徴と呼べる大事な協定が震災の煽りを受けたことと政府の迷走により弱体化してしまった。
始め私はこれを残念に感じたが、よくよく考えればこれは米国から独立する好機ではないだろうか。
そもそも、米国が日本を助ける理由、冷戦後も日本に米軍基地を置く理由とは何か。
前者で考えられる理由は大きく分けて二つある。
一つはこの世界的な不況下において日本の経済力を利用し、国家の危機を乗り越えようとしているため。
二つ目は日本との友好を保つことによって日本と仲の良い国を味方につけることができるからだ。
後者においては三つ考えられる。
一つ目は日本に強力な軍隊を持たせないため。
二つ目は米国に守られているという意識を日本に植え付け日本の危機管理能力を削ぐため。
三つ目は日本に恩を売り外交に於いて有利な立場を築くためだ。
震災の際に日本がアメリカから受けた恩は確かに大きく、この借りはいつか返すべきであり、それが日本という国の在り方であると思っているが、日本の未来を考える上でその恩はひとまず置いておきたい。
また、このような無礼を犯すことを許してほしい。
そもそも、何故日本は米国に依存するのか。
簡単に言えば、外敵からの脅威を消すためだ。
しかし、実際に大きな敵が差し迫った時に米国は日本を救ってくれるのだろうか。
例えば、日本経済が破綻し第二次大戦時のように米ドルが1$あたり四円となったとする。
そんなときに中国が米国が疲弊している隙をついて日本に宣戦布告をして襲ってきたとする。
米国はこのとき日本を助けるだろうか。答えは限りなく否に近い。
経済力を失った日本に残るのは特定アジアを除いた東南アジアや災害や戦争のときに人道支援をした国々との繋がりである。
しかし、この時にこれを米国の味方につけるのはそんなに難しくないだろう。
日本という国を出汁に日本を襲った国は悪の根元だと言う根拠をもって正面を切って中国に宣戦布告をする。
日本との友好国は例え米国の思惑を知っていたとしても中国か米国かを問われれば米国の方に着く。
また、米国と戦えば自国の国益を守ることができ、最終的には自国の国益を増やすことが出来る可能性が生まれてくる。
つまり、米国が日本と付き合うに当たって重要だと考えているのは日本の経済力である。
日本の経済力が無くなったとしたら戦争によって生まれる特需を狙って日本を餌にする可能性が高い。
中国から見たら米国の守りがない日本は自国より優れた技術を大量に抱えている鍵のかかっていない宝箱みたいなものだ。
そして、米国は日本という宝箱に罠を仕掛け自国有利の戦況を作り出す。
現在の日本のままであると、そのような構図が出来上がってしまいかねない。
また、この構図が出来上がるであろう根拠が一つある。
田母神俊雄氏によると、あるアメリカ大使館の官僚に日本が中国に宣戦布告をされたらアメリカは守ってくれるだろうかと聞いたところ、その官僚はアメリカはおそらく日本を助けないだろうと答えたという。
つまり、いざというときに日本を絶対に守ってくれる国など存在しない。
さらに、自国が危険な状態のときにその国が取るべき行動は自国を守ることに集中することだ。
では、このときの最善の手段はなにか。
私が考えているのは米国以外に実質的な同盟国を作ることだ。
そして、どこと同盟を結ぶべきかについて相手として最良の国が二つ思い浮かぶ。
第一にドイツであり、第二にロシアである。
これについて、日本が取るべき行動を述べた後にメリットとデメリットを述べたい。
まず、米国以外に同盟を結ぶに当たって日本が取るべき行動は二つある。
一つは憲法九条の改正。
これにあたっては同盟国同士の防衛を含めた自衛戦争の肯定と国際法上で違法とされる戦争の否定を記して置くことが肝要だ。
同盟国との繋がりを最終的に強くするのはお互いがお荷物にならないようにするところにある。
また、同盟国の窮地を救えるようであれば、同盟国からの信頼を勝ち取ることができる。
二つ目は軍備の拡大だ。
軍備拡大と同時にやるべきことは専守防衛から敵国の武装解除という考えに移行するべきだ。専守防衛で戦うと持久戦になれば日本より人員の多い国の方が圧倒的に優位であることは間違いない。
相手の兵力が多いとき、こちらは攻めることは出来ないが向こうは色々なところから大量の人員を用いて攻撃してくるという悪夢を見かねない。
つまり、兵力を多く抱える中国を仮想敵として想定した場合、日本の専守防衛はかなり馬鹿げた戦術である。
人海戦術に出られたらジリ貧となって敗北するのは確実だ。
しかし、現憲法下において兵力や軍備を整えることは不可能だとお考えになられる方も少なくないでしょうが、結論だけ言うならば憲法改正作業と並行してやれます。
その根拠はなにか。
それは自衛についての項目に「日本国は自衛のための最低限の戦力を保持することを認める」と法律にある。(残念ながら国の規範を記す憲法にはない。)
ここでの最低限の戦力とは相手や時代背景によって変動するものであって、簡単に言えば日本国民と政府は自衛という大義名分の中で必要な戦力を求めることができると言うことだ。
また、司法においてこの最低限の戦力とは政府がそのとき自衛のために必要とした戦力を最低限の戦力とするとあるため国民が政府に戦力の増強を叫べば政府は最低限の戦力の拡大を画策することが出来るわけだ。
極端な話を言うと核兵器(あまり必要としたくないが)が必要最低限の戦力となれば、核兵器の所持も可能だということだ。
ならば、軍備をこの論理の内で整えられない理由がどこにあるだろうか。
この二つを並行して行い日本国の対外的独立と積極的平和主義の実現を果たすべきである。
しかし、これを行えば、かなりの確率で混乱が起こるだろう。
その隙を突かれないため、また、米国の優位性を消し去り日本が独立するために米国以外の国と新たな同盟国と対等な関係を築くべきだ。
説明し忘れていたことがある。
米国の優位性をなくす理由だ。
米国が日本よりもはるかに優位にあるとき日本にとって不都合な条約や約束をさせられてしまう可能性がある。
軍備を整え憲法を整備する際にそれは弊害以外の何物でもない。
よって、日本は何時でも日米同盟を切ってもいいのだと言えるような強力な同盟を手に入れるのが重要だ。
また、同盟国となる国は親日国あるいは損得で動く国が好ましい。
前者は日本が相手国を失望させない限り裏切る可能性は少ない。
そして、同盟をするにせよ、日本の現状を理解した上で新生日本と付き合うことに納得してくれる国でなければならない。
後者はお互いの利害関係から協力体制を敷いてくれる国であり、利害が一致している限りは裏切りはしない。
また、日本が細心の注意を払って付き合えば、日本にとって多くの利益を与えてくれる。
これらを踏まえた上で考えると親日国の代表としてドイツがある。
彼の国は第二次大戦の時に日本と共に最後まで戦ったということもあるため、信用(とは言え国家の利益を優先するのはどこの国も同じであるため一定の距離は保つべきだ)に値する国と言えよう。
相手国の国民に至っては日本に対する心象は良好である。
また、ドイツでは「もし、戦争になったら今度はイタリアを抜いてやろう」という冗談もあるくらいだ。
そして、日本人とドイツ人の気質は非常に似通った点が多く、科学分野における技術力もかなりのものだ。
戦後、互いの苦労を知っているからこそ分かり合える部分も大きいと見る。
ただし、中国とは程遠い場所に位置するため中国に対する牽制になるかという点において不安があり、日本の軍備と憲法の整理が終わるまで日本を守ってくれるかは微妙なところである。
とは言え、それを可能か不能かを決めるのは結局のところ日本政府の采配次第になる。
余程の無礼を犯すか異常事態が起こらなければ、日本との協力体制を快く引き受けてくれる可能性は高い。
近年、常任理事国入りを目指すために手を握りあったということもあるのでお互いに助け合うという条件下ならば、日本の準備が整うまでの間、ボディーガードを受け入れてくれるかもしれない。
それらを鑑みてドイツという強国と再び手を組むのは一つの手だと考える。
次に利害関係の一致からロシアと同盟を結ぶという方法だ。大体の人はそれは無いと考えるだろうが、ロシアの位置を考えると中国への牽制にかなりの効果が期待でき、ロシアは対等かつ利害関係が一致している内は、まず、裏切らない。
また、ロシアとの経済提携や日本と同盟した際に日本側がロシアを良い国だというポジティブキャンペーンを行えば、ロシアが現状、果たすべき事柄を満たすことが出来る。
その代わりに日本の軍事、憲法の二つを立て直すまで中国に睨みを利かせるように約束させる。
また、ロシアが約束を履行するまでロシアが一番欲しているものを手の内に置いておくことで裏切りの可能性を低くしておく。
私が聞く限りロシア人はかなり頭が良く知恵が回り油断なら無い相手だが、勤勉であることを賞賛するところがある。
また、親日派の人間もそれなりに居ると聞く。
ならば、ロシア国民が親日で居続けられるように、また、親日派を増加させるためにほんの少し工作を仕掛けて裏切りにくい立ち位置に持って行くなど尽くせる手は全て尽くすべきだ。
ロシアとの同盟においてのデメリットは三つある。
一つは米国から警戒されることだ。(ただし、米国の優位性を大きく突き崩すにはかなり効果があるため悪いことばかりではない)
二つ目は日本の他国からの信用が落ちる可能性がある。(特に西側諸国が警戒するかもしれないため、事前に工作を仕掛けるべきである)
三つ目にロシアが裏切る可能性があることだ。(そのためにも必ず日本はちょっぴり優位な立場を確保すべきだ。極端に優位であれば、そもそも、同盟は結べないし、劣勢であれば、裏切られる公算が高くなる。)
ドイツと日本との相性は良いと言えなおかつお互いに苦労をしていた仲でもあるため気の合う部分は多いと予想できるため同盟相手として純粋にこれ以上最良の相手はあまりいないだろうと思う。
ロシアには不安要素が多いが、取引の相手として見るならば協力関係を築く相手として最良と言うべきだろう。結論を言うならば、米国優位の体制を米国との関係が弱体化した今こそ突き崩し、新しい相棒と共に協力し合うべきだと私は考える。
そして、その選択として最良の友を選ぶかビジネスパートナーを選ぶかとなっていくだろう。
他の選択肢もあるかもしれないが、現状、米国の優位性を切り崩し中国に牽制できる強国、大国として私が勧めるのはこの二ヶ国だ。
米国からの独立と中国に襲われないための策として米国以外の強国、大国との同盟を結ぶべきである。
ただし、私が考える中で最悪のシナリオがある。
それは、韓国や中国との同盟だ。
この二ヶ国は多くの爆弾を抱えており、この二ヶ国と深く関われば、日本の破滅を招きかねない。
したがって、特定アジアに対する日本の基本的な姿勢は最低限に抑えると言うものであるべきだ。
彼らの甘言や脅迫には絶対に屈してはならない。
屈すれば、日本に大きな損失を与えかねないからだ。
日本が今後、道を踏み外さないことを私は祈る。
後書き。
積極的平和主義の実現において優先すべき事柄は米国からの独立と中国にたいする戦略だけではない。ただ、文章が長くなりすぎるため短編として区切って色々な案を書いていきたいと思う。
そして、論ずるにあたってその進行は外の問題の対処に関する提案から内の問題に関する提案へという風に進めていきたいと思っている。
おそらく読み進めていく毎に私の無知に呆れかえり失望する方も多いかもしれないが、拙いなりに日本の今後について考察したいと思う。
どうすれば、日本が良くなるのか。
あの震災以降、そればかりが私の胸に止まっていた。
震災前はただ学問し、大人になり研究に従事したいと思っていた身だが、その考えが変わった。
今の無知な私が日本のために出来ることは何か。
私が生まれた地である日本の将来を希望に満ちたものにするにはどうすればいいか。
ただ、それを考えるばかりだ。
そして、思考だけは止めてはならないと考えている。
現政権のあのような愚行を将来、行わないためにも私は思考することをやめたくはない。
私はあまりにもちっぽけで力がない。
だが、今はそうでも力を手にし、この日本のために使いたいと考えている。
そのために多くを考え、多くを学びたいと考えている。
この文章は稚拙な私が今のちっぽけな力で書いているものだ。
だが、色々なことを全力で考えたい。
それは祖国である日本のために。
拙い文章と私の稚拙な思いに付き合ってもらったことに感謝と謝罪を申し上げる。
では、失敬。