表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/147

仕事②

探鉱という仕事が、僕達に務まるのだろうか。

一人は人間の男ではあるが、筋肉隆々ではない。

もう一人は獣人で、俊敏だが、女性だ。

前者同じく、重労働を得意とする見た目ではない。

なぜ、あの受付嬢は、丁寧な説明もせず、紹介したのか。

悪意しか感じられない。

そもそも、探鉱の人もなぜ受け入れようと思ったのか。

人手不足なのか。

嫌なことを想像してしまいそうだ。

足取りは、重い。


僕とは違い、フィロは気に留めていない様子だ。

いや、おそらく文字が読めなかっただけだろう。

探鉱の意味を聞かれた時には驚いたが、気を落とすようなことだけは避けたい。

やりがいのある仕事、とだけ答えておいた。

最悪時は、勢いとその場の流れに身を委ねようと思っている。


雇用承諾書とは別にもらった地図には、目的地らしい場所が記されていた。

かなり遠い。

それもそのはず。

下町近くに、探鉱現場はない。

街のずいぶん外れだ。

着く頃には、日が傾き始めるかもしれない。

往復だけで、数時間かかる可能性もある。

早寝早起きが必須だろう。

あの女狐は、とんでもないところに僕達を派遣させたのだ。

眼の細さも相まって、本当に狐と見間違うかもしれない。


僕の気をよそに、フィロの足取りは軽く、速い。

山道になったというのに、ペースは変わっていない。

獣人の活動力を羨ましく思った。


「もう少しかも」


フィロのペースが上がる。


「…本当?」


地図を見てもよく分からない。

山道だからか、ぐるぐると回っているからか、距離把握が難しい。


「においが変わったから…あ、ほらあれ!」


少し先の方を見ると、幾つかの木造建物がある。

宿屋風の建物もあれば、煙突から煙が出ている所もある。

大きな建物の奥には、洞窟ような大穴があるのが見えた。


「ん〜、いいにおい。こういうとこ好き」

「街より高いところにあるから、空気もいいよね。それと美味しそうな匂いもする」


すぐ左手にある宿屋からだろう。

なぜ、このような場所にあるのか。

自分が知らないだけで、この街の観光地、なのかもしれない。


とりあえず僕達は、大穴に向かった。

カンカンと、探鉱ならではの採掘音が聞こえてくる。

数人が作業をしており、一番手前の荷を入れる仕事をしていた男性に声をかけることにした。


「あの、すみません。仕事を紹介してもらって来た者ですが、責任者の方はいらっしゃいますか?」


「あー、お頭?…なら、あの建物の中だよ」


指された方角を見ると、先ほどの大きな建物がある。

お頭、という人はここにはいないらしい。


「…君達、新人?」

「はい、そうです」

「ふーん…頑張って」


それはどういう意味なのだろう。

僕達は軽く会釈して、建物へと向かった。

感想、評価、レビューお待ちしています。辛口でも構いません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ