ゲームの敵キャラは難易度によって手加減したり本気で行ったりしないといけないので意外と大変なんですっ!!!
「キミキミィ!困るよぉ!!」
「はい...すみません」
俺は目の前のヤギの魔物に頭を下げた。俺は牛の魔物。この草原で人間を待っては倒すという使命がある。だが現在見ての通り怒られている。それも人間を倒してしまったからだ。人間を倒す使命なのになぜ怒られているのかと思うだろう?それは...。
「キミィ!今の人難易度Easyでしょ?Easyのキミはもっと弱く無くちゃいけないんだよ?」
「はい、わかってます」
俺はとあるゲームの敵キャラなのだが、このゲームには難易度がある。Easy、Normal、Hard、Very Hardの4つだ。今の人間はEasy、つまり一番簡単な奴で強さも加減しなければならない。そもそもEasyなのに敵の強さがHardだったら難易度設定の意味がない。なのでEasyの時はそれ相応の強さとして手加減をしているのだ。
「さっきの敵はキミは基本やられる役。わかってる?まあ相手の装備とかもあるけど倒していいのはもう2つ上ぐらいからだからね?」
「はい」
一応強さは一番難しいVeryHardの奴に設定されている。だからこそそれより簡単なEasyやNormal辺りの奴が来ると手加減が難しいのだ。そして今のように誤って倒してしまうこともしばしばある。
「今の子はまあ操作がおぼついてなかったから良かったけどさ。まあ次からは気をつけてよ?」
「はい」
よし、次こそは気をつけなければ。前2つの難易度はやられる。後ろ2つはまあ倒しても大丈夫。よし、次こそは大丈夫だろう。お次のやつがきたな...!えーっと次のやつは...その人間の頭の上にはVeryHardという文字。なかなかこれを選ぶのはよほどのやつに決まっている。これなら俺も全力で倒せるしちょうどいい。さて、VeryHardの恐ろしさを教えてやるとしますか。
「グオー!」
「魔物!?」
俺はそいつに全力の力で襲いかかった。そのやってきた人間の装備はお世辞にも強いとは言えないもので一方的にこちらが優勢だった。そんな難易度を選んでおいてそのしょぼい装備をしている自分を恨むんだな!
「ぐっ!やばい!!逃げよう!」
「そうはさせるか!」
逃げようとするもそれを俺が阻止する。こうやって逃げるのを回り込むのも仕様だ。そしてとどめを刺した。その人間は消えて行く。確か人間は最後にセーブした場所に戻って行くんだっけか。
「お、今日はいっぱいくるな...ってEasyかよ...はあ」
次に来た奴のEasyという文字に少しがっかりしながらそいつと対峙する。やられなければ...そう思いながら俺は戦い相手の攻撃をわざとらしく受け、倒れた。するとその人間は思わぬ行動に出る。倒れた俺に攻撃を続けているのだ。何をやっているんだ?こいつは。頭でもおかしくなったのだろうか。
「はっは!雑魚風情が向かってくるからわるいんだよぉ!!はっはっはあ!!」
「っ!」
なんかEasyのくせにめっちゃ煽ってくるなこいつ。見た感じ装備も木や鉄のものでおそらく序盤も序盤あたりのやつなのだろう。まあそれでもEasyだとちょうどよく倒せるぐらいの設定にされているため勝つことはできないのだが。するとそいつは俺の頭を踏みつけさらに煽りだす。
「本当弱いなあ。normalにすりゃあ良かったか??本当歯応え無さすぎて困ってまうなあ」
なんだろう、今すぐにでもぶん殴りたい。その気持ちを抑えながらずっと横たわる。すると今度は頭や体を蹴りはじねた。
「本当ザコはそうやって寝てりゃいいんだよ!!このザーーーーーーーーーコ!!!はっはっはっははは!!!!」
その瞬間俺は持っていた武器を握りしめそいつの頭めがけて降った。それは見事そいつに命中し勢いよく吹き飛ぶ。
「ちょっと!何やってんのぉ!?」
「いや、これは...」
様子を見に来たヤギの魔物がその状況を理解できずそういう。事情を説明するとそこそこ叱られた。
「でも、それはまあ、よくやった」
「ありがとうございます!」
「まああいつもこの世界の恐ろしさをわかっただろうしいい薬でしょ。でも次からは気をつけてね」
「はい!」
羊の魔物は去って行った。俺は何だかスッキリした気持ちだ。今ならやられる方も上手く行く気がする!そう思っているとまたEasyの人間がやってきた。よし!頑張るぞ!!
「グオー!!」
「魔物!」
「グオアアアアアアアアアア!」
俺はそう叫びながら武器を振り回す。するとその人間に当たり一発で倒してしまった。俺は「あ」と言いながらその場に立ち尽くす。別に当てる気はなかった。
「はあ、やっぱ手加減って難しいな」