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赤いカーテンの向こう  作者: 西松清一郎
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2 事の顛末⑧

 カーテンを閉める音が聞こえ、バケツを持った青人が戻ってきた。階上から洗剤や雑巾など必要なものを取ってきてくれていた。


 洗剤を受け取った私は、まだ実験を許可してもらえたことを信じられず、青人に「床に泡がこぼれてもいいの?」と訊いた。すると、我々を見つめていた正一がまたもや落ち着いた声で「掃除は私たちがするから、思う存分やりなさい」と言った。


 そうと決まると私と柳は、迷うことなく手を動かし始めた。テーブルに常備されていた薄手のゴム手袋とゴーグルを付けると、高校時代のあの心弾む感覚が一気に湧き上がった。


 実験は単純明快で、二人とも手順をはっきりと覚えていた。私がフラスコを柳に手渡すと、彼は手際良く過酸化水素水と適量の洗剤を混ぜた。その間、私はヨウ化カリウムを試験管に取り、柳の準備が終わるのを待った。


 柳がフラスコをテーブルに置き、「よし行こう。三、二」とカウントダウンを始めた。私は柳が「一」と言う前に、フラスコにヨウ化カリウムを投入した。過酸化水素水の濃度は高かったようで、白い棒状の泡が一気に天井近くまで噴き上げた。予想外の反応の激しさに、我々二人は「わっ」と声を上げながら体を後ろに反らせた。


 反応が終わり、再びテーブル付近に目をやると、白い大量の泡を頭に乗せた柳の姿が見えた。柳はそれに気づいていないようで、それを見たその場の三人は遠慮なく爆笑した。


 柳は頭に手をやることで、ようやく自身が泡をかぶったことを知った。

「動かないで」私は言いながら雑巾を取り、柳の方へ近づいた。そして、頭を拭いてやる振りをして、泡を彼のTシャツの前面に塗りたくった。

「やめろ、お前!」柳は抗議しながら、私の手から雑巾を奪った。そのやり取りによって私は再度、青人らを笑わすことに成功した。

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