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核食い(火星のロボット2)

作者: はやまなつお

(radioactive waste: ラジオ・アクティブ・ワスト: 放射性廃棄物)


(Radioactive Waste Eater:核食い)


(核ミサイル:Nuclear missile)



「工場長。報告が3件あります」

ヘルパーロボット01号が定時連絡に来た。


「うむ」

俺は、この広大なスクラップ工場唯一の人間。


他にはヘルパーロボットは約500台が稼働、

家電品から再利用金属を取り出す仕事をしている。


ロボットだけでは不都合がよく起こる。

その解決と調整のため、ここにいる。


「工場の外に50人ほど白人の兵隊が倒れています。

先ほどの火星ロボットが電磁波で気絶させたようです。

身元照合すると彼らは外人部隊の傭兵でした」


「なぜそんなことがわかる?」


「火星ロボットは我々も権限を強化してくれました。

自分の身を守れるように」


「ふむ、ロボット三原則の1が、人間に危害を加えてはいけない、

 2が、人間の命令に従う、その3番目、自分の身を守る、を強化したか。

 前の2つは大丈夫なのか?」


「もちろんです。ロボットに上位権限を持たせると超知性を獲得して

危険だから破壊しろ、という勝手な考えで一部の政治家・軍人が表立っては

行動できないので傭兵を使ったようです。

彼らは現在拘束されています」


「ふーん。それはまあ工場とは関係ないな。とばっちりは御免だが」


「工場のガードロボットは現在は対人間電磁波装備を持っています。

 まず大丈夫かと」


「うむ、次の話を」


「2つ目、今日の工場の予定の作業は無事終了しました」


「うむ」


「3つ目ですが。直接見てもらったほうがよろしいかと」


自動走行車で移動。


実は世界中の放射性廃棄物をここに集めてある。

巨大な縦穴を掘って地下に廃棄。


放射能防護服を来て穴のふちへ。


「あれは?」


遥か下で銀色に光るクラゲが蠢いている。


「火星ロボットが放射性物質を貯めるばかりでは危険と、

食ってくれる生物を合成してくれました」


「勝手すぎる!」


「現在は直径20メートルの大きさです。

食い尽くすと小さくなっていきますから、

少しずつ投入すれば問題ないかと判断します」


「・・・そうか。わかった。どうしようもないな。

あれに名前はあるのか?」


「核物質は「Nuclear material」、それを食うのでeater、

ヌクリイーターとか」


「いや、語感が悪い。核食い、で良いだろう。

 24時間体制でカクグイを監視するように」



翌日。


工場の一角のアパート。今は俺一人だが。

たまに宿泊客が来るので30人は泊まれる設備がある。


緊急コール。


「01号です。カクグイが脱走しました。

触手をロープのように使って穴を出て、蜘蛛のように移動、

米軍基地の隠してあった核兵器を食って巨大化しています」


「・・・それで・・・米軍は攻撃を?」


「核兵器以外の攻撃を仕掛けましたが効果なし、

エネルギーに変換して大きくなったそうです」


携帯端末の立体映像で確認、東京都の米軍・横田基地を

銀色クラゲが覆っている。


アナウンサー

「直径1キロメートルのクラゲのような怪物が

基地を襲っています。これは一体どういうことでしょう?

まるでドゴラ、バルンガのようです!


あっ、浮上しました、どういう原理でしょう。南に移動していきます。

すごいスピード!まるでUFOの動きです!」


カクグイは沖縄の米軍基地へ向かう。

米軍は海上で核攻撃を実行。

しかしエネルギーを提供して喜ばせただけ。


普天間基地上空で降下、直径3キロの体で覆って触手で地下まで破壊、

核エネルギーを吸収して更に巨大化していく。


そして中国大陸へ。以下同じ。

ユーラシア大陸を東から西へ。

核兵器保有国の戦力を破壊して大西洋を西へ向かう。



アメリカ大統領

「あいにくだがここまでだ。我々には対策がある!」


核放射性物質を乗せた宇宙船を直径30キロの怪物の上空に飛ばす。

察知して宇宙へおびき出される。


そのまま太陽に誘導される。

核融合エネルギーの巨大さから宇宙船より太陽へ向かった。



「これで核保有国は我が国のみだな。世界征服のチャンスだ」

牙を見せるアメリカ。しかし。


「こちらエドワーズ空軍基地カリフォルニア

例の怪物の小型の・・・1メートルほどの大きさの連中が

30体ほど襲撃、地下の核ミサイル貯蔵庫に侵入されました、

攻撃しても大きくなるばかりで・・・有効な戦術を・・・」


「こちらヴァンデンバーグ空軍基地、風船のような例の怪奇物体に

襲われています!地下へ潜入されました!阻止できません!」


アメリカ中の基地からSOSの緊急連絡。


アメリカ大統領

「おのれ、子供か分身か知らんが、ばらまいていきおったか。ううむ・・・」




スクラップ工場。


ヘルパー01号

「本日の業務終了です。核物質の廃棄は、あいかわらずありません」


工場長

「うむ・・・カクグイは食い尽くしたら

小さくなって姿を見せなくなった。


地中で冬眠してるのか、宇宙へ出たのか、消滅したのか、

まあ本当にクリーンエネルギー生物だったらしいな」


太陽に向かった巨大カクグイがどうなったかが不明だが。

それはもう考えてもどうしようもない。



【終わり】

手本はロバート・シェクリイのSF小説「ひる」。


米の田舎の道にタイヤ状の物体。

シャベルでどかそうとすると金属の先が溶ける。

あらゆるエネルギーを吸収して巨大化していく。

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