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第1話 転生と目覚め

ゆるゆるとゆっくり更新していきますよ~。

特に前書きや後書きにコメントを書いたりはしないので、評価や感想といったものは催促いたしません。


気が向いたら評価をつける、感想を書くといった感じで大丈夫です。

(ふざけんな……ふざけんなよ……!)


もう俺の体は自由に動かせないので、心の中で目の前のストーカー野郎に殺意を送り続ける。

そんなことには勿論気付かず、ストーカー野郎は俺の体に跨がって包丁を振り下ろし続けている。


「は!はは!死ね!死んじまえ!俺の理沙を奪い取ろうとしたんだ!死んで地獄に堕ちろ!理沙を愛していいのは俺だけなんだ!理沙を好きにしていいのは俺だけなんだよぉ!それを我が物顔で理沙の隣に立ちやがって!死ね!早く死ねよ!俺と理沙の幸せの為に早く死ねよぉ!!」


呪詛を吐きながらイカれた顔で笑い続けるストーカー野郎をただ見ることしか出来ないのが歯がゆい。

今すぐにでもマウントを取ってそのイケメン面をブサイク面に変えたくなるが、やはり俺の体はピクリとも動かない。


クソ、そもそも同じ職場の後輩が粘着質なストーカーに付きまとわれているなんて俺に相談してこなきゃこんな野郎に刺されることもなかっただろうに。

やっぱ警察に相談することが一番だったじゃねぇか。

…分かってるさ。こんなことになったのは好きな女の前で格好つけようとした俺の責任だ。


(はぁ……こんなことになるならせめて告っておきゃ良かったなぁ……)


悪戯っ子のように笑う後輩の顔が脳裏に浮かぶが、それもすぐに霧散する。

とっくの昔に痛覚は機能してないし、なんなら相手の顔すらはっきり見えない。でも体がどんどん冷たくなっていくのは分かる。

俺の命が消える寸前だと言うことも。


(くそ……ちゃんと幸せになれよ……そしてテメェも地獄に堕ちろ……!)


俺の意識が消える寸前に見えたのは、ストーカー野郎に青服の連中が近付いてくる光景だった。きっと警察だろう。後輩が何か手を回してくれたに違いない。


(ははっ……テメェも……地獄に道連れ………だ………)





───────

────

──





「──!──!」


(なんだ……何の音だ……)


薄ぼんやりとした意識の中で何かが聞こえる。

何かは分からないが、騒がしくなっていることだけは分かる。


(俺は……確かあいつに刺されて……それで……)


意識が徐々に回復していき、始めに分かったのは感触。冷たいような、熱いような何とも言えない温度だ。いや、これは体の表面が冷たくて、体の内側が焼けるように熱いのか。

次に分かったのは心音だ。凄く小さい音だが、トクントクンと心臓が動いているのが分かる。


(心臓が……動いてる、のか?おかしいな…俺は確かに死んだはず……)


だけど死んだ奴が温度を感じたり思考したり、ましてや心臓が動いている訳なんかあるはずがない。

恐る恐る体を動かしてみると、非常にゆっくりだが手足を動かす感覚がある。

すると何やら音が一段と騒がしくなった気がする。そのおかげか聴力も回復してきていた。


「素晴らしい!見ろ!見てみろ!ワタシは成し遂げた!成し遂げてやったのだ!」

「まさか、本当に成功したのか……?」

「信じられない……」


(……ってうるせぇ!近くで叫ぶんじゃねぇ!)


思わず顔をしかめるが、それすらも嬉しいのか声の人物は高笑いを続ける。

ぶっちゃけ寝起き感覚にこれは辛い。マジで辛い。でも何が起きてるのか滅茶苦茶知りたい。

……少しだけ。少しだけ見てみるか。怖いもの見たさってやつだよ。


そんな考えで重たい目蓋を開けたことを次の瞬間激しく後悔した。


「おお!おぉ!ついに目を開けた!開けたぞ!はは!ははは!ほれ、ワタシがお前の親だぞ!」

「…っ!?(うわぁぁぁぁ!きめぇぇぇぇ!?)」


ぼんやりと目を開くと、ガラスケースの向かい側でベッタリと張り付いてニヤついている男の顔がドアップで視界に入る。

その目は血走っており、頭もずっと洗ってないのかボサボサだ。

そんな男の顔が目の前にドアップで見えたらビビるに決まってる。


その証拠にドクン!と一際強く心臓が鼓動すると、急に俺の体内によく分からない何かが巡り体が悲鳴を上げる。

あまりの痛みで反射的に体を伸ばした瞬間、ピシリとガラスケースにヒビが入った。


「おっ!おほぉ!届いた!ワタシにまで伝わったぞ!魔力を遮断する特殊ケースにヒビを入れる程の魔力の強さ!そして途方もない魔力量!間違いない!どの検体よりも最優秀!!」

「お、落ち着いてください!検体はまだ精神が不安定です!離れてください!」


(特殊ケース?魔力?それにけんたいって……っ!)


狂喜乱舞しながら早口で紡がれた言葉に目を白黒させるが、一番聞き逃せなかったのは【けんたい】と言う言葉だ。

より状況を把握するために視線を縦横無尽に走らせると、俺が入れられているガラスケースと全く同じ物を幾つも発見した。そして研究者と思わしき姿の大人もだ。


その中に子供の姿が見えるが、その誰もが胎児のように体を丸めて身動ぎひとつもしない。

一見すると死んでるようにも見えるが、何となくだが僅かながら生き長らえていると分かった。

因みに俺の体も子供のものだった。全く理解が追い付かないんだが。俺は30代のおっさんだぞ?なんで子供の体になってんだ!

なに!?何なのこれ!?マジで怖いんだけど!?


「驚いているな!だが心配することはない!この父がお前を魔王へと導いてやろう!はは!ははは!父と共にこの世界を恐怖のどん底へと叩き落としてやろうではないか!あの傲慢な魔王に我らの方が魔王に相応しいと理解させてやろう!!」


(は!?魔王!?導いてやるってなんだよ!?やっぱりここって日本じゃないのか!!ってそうだよな!こんな培養ケースみたいな物に人間が入ってるなんてどこのSF映画だよって話だもんな!?魔力とか言ってたし!)


まさかの異世界転生っぽい状況にさらに混乱し、とち狂ったやべぇ奴は放置してさらに視覚的情報収集に努める。

よくよく見てみればケースの中には人間の他に見たこともない化け物がちらほらと見えるではないか!

その他にも腹が裂かれた大人の体なんかも……。


(いやグロ!見えてる!見えてるから!中身が見えちゃってるから!マジでやべぇ奴じゃんこいつ!!けんたいって【検体】って意味かよ!!)


滅茶苦茶グロい絵面なのに嘔吐感が込み上げない。いやビビってるけど。絶賛ビビってるしドン引きしてるけど!

そんな感じでパニクっていると、一際強い気配を感じて隣へと視線を移してしまう。

俺の隣にもひとつだけケースがあったのに気付かず、怖いもの見たさで確認する。


そこにいたのは綺麗な少女だった。

長い銀色の髪に雪のような白い肌、瞳は静かに閉じられているがパッと見ただけで美少女だと分かる。

そんな俺の視線に気付いたのか、男はつらつらと饒舌に語り始めた。


「ん?おぉそうか!彼女のことが気になるか!流石は我が息子だ。見る目があるぞ!彼女はワタシの愛した女性、エレンの血より生まれた子だ!髪の色こそ違うがその美しさはエレンそのものだ!だがすまないな息子よ。彼女は、エレンはワタシの愛すべき人だ。残念ながらエレンはワタシの愛を理解してくれなかったが、彼女はワタシの手で生まれ変わった!今度こそ彼女はワタシを愛し、ワタシの愛を受け入れてくれるだろう!……あぁ、君のせいなんだよエレン。君がワタシの愛を理解してくれればこんなに苦しむこともなかったのに……!ははっ!ははは!ひひひ!」


(嘘だろ……こいつ、まさか好きな女にフラれたからって、代わりの女を自分で作ったのか!?)


好きな女が自分に振り向いてくれなかったから、自分の手で好きな女を作るとか背筋がゾッとする。

男はフラフラと隣のケースに張り付くと、痩せこけた頬を少女のケースへと擦り付けている。

もうこの時点でこの男に対する嫌悪感が凄まじいことになっているが、どうやら周りの研究員もそうなのか顔をしかめている。

どうやら特に異常なのはこの男みたいだ。


「あぁエレン!死して生まれ変わった君もやはり美しい!甘味を口にして幸せそうに笑う顔も、不安そうに冒険者を見送る君の姿も、扇情的な君の寝巻きも、一糸纏わぬ君の裸体も、死んだ者へと静かに黙祷する君の姿も、痛みで泣き苦しむ君の姿も何もかも全てが愛おしい!!ワタシはいつでも、いつまでも君を見守っているからね!君の障害はワタシと息子で全て消し去ってあげよう!」


男の言葉で混乱していた思考が落ち着きはじめ、その言葉の意味に腹の中が煮えくり返る。


間違いない。こいつはストーカーだ。しかもあのクソ野郎よりももっと救いようのないクズだ。そう思うと俺の中で殺意が暴れまわる。

そうだよ!こいつはあの時のクソ野郎と同じなんだ!生かしておいても害を為す害虫だ!


(……殺すか。よし殺そう。絶対殺そう)


そう決断すると、まるで応援するかのような呪詛があちこちから聞こえてくる。その怨嗟には殺意や恨みといった負の感情がハッキリと俺に伝わってくる。情報が無さすぎて断定は出来ないが、何となくこの声はここで犠牲になった人達の声なのではないかと思う。

こんなに熱く応援される身としては何としてもこのクズは殺さねばならない。


だがこいつを殺すことは確定だとして、どう殺せばいいのだろうか。

今の俺の体は子供そのものだ。大体10歳前後か?筋力じゃ勝てないだろうし、そもそも体格差で不利だ。

じゃあ魔法か?魔力とか言ってたし魔法とか使えそうだよな。

そう考えた瞬間、俺の頭の中にひとつの言葉が浮かび上がった。

これが魔法なのか分からないが、試してみる価値はあるか。


「……主任!検体に強力な───」


(…よし!いくぞ!【タキオンドライヴ】!)


魔法の起動と同時にそれは起きた。

目の前の光景が全て灰色になり、全ての動きが停止していた。

頬ずりしていた男の動きも、嫌悪感を滲ませる研究員の動きも、何もかもの動きが停止していた。


(な、なんだよこれ……停止魔法なのか!?くそ!確かに効果はチート染みてるけど脱出が出来る訳じゃねぇ!……いや、待てよ?もしかしてヒビが入ってる部分を殴ったりしたら案外いけたりしないか?魔王っていうくらいだし身体能力にも期待してもいいよな!?むしろぶち破ってやる!!)


小さな手で握り拳を作り、水中の中で思い切り拳を振りかぶるとヒビの入ったガラスケースへと叩きつけた。

するとそこから呆気なくガラスの破片が飛び散り、その瞬間に停まっていた時間が動き出した。


「───魔力反応を!?」

「おぉ!?」

「かはっ!かひゅ……」


割れた場所から水が流れ出し、俺の体も外へと打ち付けられる。

打ち付けられた痛みで腕や足が震えるが、何とか自力で立つことは出来た。

それはいいんだが……。


(なんだこれ!?滅茶苦茶体がいてぇ!まるで全身筋肉痛みたいだ!)


「いつの間に!?どうやってケースを破壊した!?」

「それよりも先に麻酔をうて!せっかくの数少ない成功例なんだ!殺すことだけは避けろ!」

「流石は我が息子だ!幼い体に反してその力は本物だよ!」

「る、せぇ……」


バタバタと動き出した研究員達を尻目に俺はニヤついた顔を止めない男を睨み付ける。

なんだ?こいつだけ俺のことに驚いてないぞ!

何か隠し球でもあるのか、俺なんかを圧倒出来る力があるからなのか?

だとしてもあのクソ野郎に似てる奴を生かしておく訳にもいかないし、何より皆が殺れと望んでいる!


散らばったガラス片を広い、ガラス片を男へと向ける。男は俺の行動を理解していないのか、ご機嫌に笑っていた。


「主任、退いてください!その検体は危険です!今警備隊が来ますから!」

「馬鹿か!?ワタシの息子だぞ!?息子が親に牙を向けるわけないだろう!!」

「あなたこの息子の前にそれは検体のひとつなんですよ!暴走してもおかしくない!」

「…【タキオンドライヴ】」


俺の前で言い争うのは好都合だ。

再び時を停めると、ガラス片を逆手に持って男の首元へと飛び上がる。

多分俺がこの停止した世界で動けるのはせいぜい一秒くらいだろう。停止した世界で活動出来る時間としては最低限レベルなんだろう。

だけど今はそれで充分だ。


男の喉にガラス片を思い切り突き刺してやると、ガラス片は容易く男の喉へと深々と突き刺さった。

そして着地と同時に世界が再び動き出した。


「かぴゅ───」

「は?」


男は訳が分からないといった顔で喉から気味の悪い音を鳴らし、そのまま倒れた。研究員達は喉からガラス片が生えている男の姿を見て唖然としており、俺を捕まえる為に入ってきたであろう警備員的な奴らもその光景に固まっていた。


「な、何が起きた!?これはどういうことだ!?」

「主任!主任しっかり!だれか!早く回復魔法を!」

「まさかこの検体がやったのか!?だがそんな動作は見えなかったぞ!?」

「とにかく主任を運べ!検体の生死は問わん!制圧しろ!」

「はっ!」


黒い服に身を包んだ男達が銃みたいなものを俺へと向けてくる。

マガジンっぽいものは見えないが、形状的に射撃武器であることは間違いないか。

全員が俺を敵と判断し、殺意を向けてくるのが肌で分かる。

このままじゃ俺は為す術なく殺されるだろう。

だが自分が死ぬ間際の事を思い出してしまった。


肌を貫かれる痛み、破裂する血管の痛み、どんどん冷えていく体に沈んでいく意識。

そしてただ無力に死んでいくだけの不快感。


(嫌だ!もうあんな思いはしたくない!こんな体だがまた生きられるんだ!俺をまた殺そうとするなら───)


「……殺す!」


男の喉元からガラス片を無理矢理引き抜いて、三回目の魔法を行使する。

体が悲鳴をあげるが、それすらも無視して一秒毎に魔法を連続で行使し、警備員らしき男の喉元を切り裂いて次へと向かう。

【タキオンドライヴ】の連続行使はどんどん俺の体をボロボロにしていくが、使わなければ殺されるのは俺だ。


「ば、化け物が!!」

「その化け物を作ったのはお前らだ!」


警備員を殺しきり、逃げ惑う研究員達もガラス片で切り裂いていく。時々攻撃を避けられず傷が増えたりしたが致命傷はないので問題ない。

その後、数分後にはこの場の人間を全て殺しきることに成功していた。


既に逃げてしまった奴もいるが、流石にそいつを追うまでの体力もない。

血の海とかした床に膝から崩れ落ち、起き上がる気力すらない。

右手もズキズキと痛み、首を動かして右手を確認すると握っていたガラス片のせいでドクドクと血が流れ続けていた。


(はっ……殺ってやったぞ……ざまぁ、みろ……)


してやったりと満足げに笑う。

主任とか言われていた男にガラス片を突き立ててからも思ったが、罪悪感や嫌悪感といったものは一切感じない。むしろ清々しい気分になっており、気付けば怨嗟の声も聞こえなくなっていた。

きっとこれも俺が魔王とか言われる奴と戦うための兵器として弄られたからだろう。まぁ好都合だったから全然気にしないけど。

そもそも魔王とか絶対強いだろ。前世が普通のおっさんにそんなもんと戦う勇気はない。

戦えと言われても逆らう気満々だったのでいずれにせよこうなってたんだろう。



ふと視線を感じて、まだ生きてる奴がいるのかと元を辿るとこちらを見つめる青い瞳と視線が交差した。

どうやら少女の意識が目覚めたみたいだ。

ただ何故かその少女は周りには目もくれず俺だけを見つめている。

虚ろな表情で少女はゆっくりとガラスケースへと手を伸ばし、ペタリと手をくっつけている。

心なしかケースから出ようと踏ん張っているようにも見えなくもない。


「すぐ出してやるから……ちょっと待て……」


側に転がってた魔法銃(俺命名)を杖代わりに立ち上がり、ゆっくりと少女のケースへと歩く。

血糊でスベり転けながらも何とかケースに辿り着くと、コンソールらしきものを確認する。


「えぇっと……?」


しかし俺は機械に強い訳じゃなく、工業的にも詳しくないので操作方法はさっぱり分からない。こういうのは適当に弄っても絶対やばそうだし、万が一にも中の少女に危険が及んだりするのは駄目だ。

となると書類的な何かが見つかればいいのだが……。


「あちゃー、やっぱダメになってるよなぁ」


近くにあった書類を読もうにも返り血が酷くて読めたものではない。

いや、そもそも俺はこの世界の文字は読めなくないか?

……えぇい!ままよ!


「失敗しても恨むなよ!」

「……(コク)」


少女がこくりと頷いたのを確認し、拳を叩きつけてケースを破壊する。

勢いよく流れる水に流されそうになるのを踏ん張って少女を受け止めると、流石に耐えられなくて一緒に倒れてしまった。


「は、はは……生きてるな?」

「……(コク)」


俺よりも小さい体を俺の上に乗っけたまま少女がこくりと頷いた。

どうやら喋ることは出来ないらしい。まぁ俺も最初は苦しかったし、そもそも前世のこともあるから喋れただけだろう。


「早くここから出なきゃな……立てるか?」

「……」


無言で腕に力を込めて起き上がろうとしているのだろうが、細い腕がプルプルと震えているだけで起きる気配がしない。

やがて力尽きたのかペタンと俺の上に乗っかり、首を横に振った。どうやらダメだったらしい。

こうなれば俺が運ぶしかないが、残念ながら血が流れすぎて力が入りづらくなっているため一人で歩くことが限界だ。


「そうだ、何か魔法は使えないか?移動魔法とか、軽くする魔法とか」

「……」


俺の質問に少女はいきなりペタペタと俺の体を触り始めると、小さい体をいっぱいに使ってギュッと抱きしめてきた。

不可解すぎる行動に思わず声をかけようとした瞬間、俺達の体が光に包まれていく。


(これは……傷が治ってく?もしかして回復魔法か!)


ズキズキと痛んでいた場所の傷は塞がっていき、暖かい光が気持ちいい。心なしか体力も回復している気がする。

これなら少女を運んで移動出来るだろう。


「ありがとう、助かったよ。これで移動出来る」

「……(スリスリ)」


素直にお礼を伝えると少女は返答の代わりか頭を擦り付けてきたので、思わず笑いながら頭を撫でてしまった。

年甲斐にもなく気恥ずかしくなったので立ち上がって少女を背中に背負い、念のため魔法銃をひとつ拝借して移動を開始した。


この先に待ち受ける存在に気付くこともなく。





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