P.4 「ざっくばらんにチュートリアル的な」
「本当にお金はいいんですか?」
「いらねぇ。勝手に働いてたわけだし。なにより、こいつら本人が決めたんだ」
「「「わふ!」」」
ハジメは自分の足元をチラリと見ると、もふもふのコボルト三匹がグランドンに敬礼をしている。
あの後、シオンの協力のもと、ハジメはコボルト達と交渉。
コボルト達はハジメの話を聞いた後、匂いを嗅ぐとアッサリ承諾。
しかも、グランドンは本人?達の意思とのことでお金はいらないとのこと。
「困った時は来い」
グランドンさんは最後にそう言い残し、店の扉を閉めた。
ぶっきらぼうな気がしなくもないが、あの人なりの優しさなのだろう。
「さて、パートナーが決まった訳だし。次は聖堂に行ってパートナー契約しよう。でないと、その子たち死んだら復活できないし」
今、聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「え、この子たちも死ぬんですか⁈」
「そりゃそうさ。こっちの住人に二度目はない。だが、聖堂に行き、パートナーとなるモンスターと契約すれば魂のパスができて、生き返りが可能となる」
「なるほど」
大切な事であるため、至急次の行動へ移る。
契約は思いの外、すぐに終わった。
お布施を払った後、厳かな建物の中で女神らしき像に祈り呪文を唱えると、ハジメの胸から小さな光の糸がが出てきた。
コボルトも同様に光の糸が浮かび、互いの糸が結び合うと糸は消えた。
これだけで終了し、ハジメは拍子抜けしてしまった。
そうして、現在2人は馬車に乗り街を出ていた。
シオンとハジメは向かい合うように座り、ハジメの隣ではコボルトたちが興味深々で馬車からの流れる景色を見ている。
「シオンさん、次は何をするんですか?」
「次は待ちに待った戦闘だ。既にクエストは発注してあるよ」
「おおっ、クエスト!」
ゲーマーであるハジメにとって、クエストという言葉はとても魅力的である。
「クエスト内容は、この街から少し離れた所に出現するようになったゴブリンの討伐だ。移動がてらに少し戦闘の説明をしよう」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「まずは攻撃方法だけど、この世界にコマンドはなく現実と同様に殴る蹴る、剣で斬りかかればダメージが出る。これが通常攻撃」
「次にスキルや魔法による攻撃。レベルを上げたり、修練することで獲得が可能だ。威力が高かったりするけど、スキルは決まった動作・発動条件が付き纏い、魔法は魔力に呪文などが無ければ使えない」
「まあ、簡単に言えば、戦闘に定石は無い。難しく考えず、自分の思った通りにすればいいのさ」
「次は【従獣師】という職について。本来、テイマーの主力はモンスターだ。プレイヤーは魔法などの遠距離攻撃による補助が一般的。まれに、テイマーが前に出て、モンスターが補助なんてのもある」
「テイマーは他の戦闘職に比べて、力や頑丈さが劣るからな。戦闘スタイルはよく考えた方がいい」
「最後に敵について。見た目がモンスターだからと言って全て倒していいなんて考えは捨てな」
「中には無害どころか有益なモンスターだっているし、他の人の所有物の可能性もある」
「見分け方は無いのかだって?んー、そうだなぁ」
「テイムしているモンスターだと【鑑定】というスキルを使った時、モンスターと契約主の名前が出る。【鑑定】はレベルが上がれば覚える機会があるけど、今はモンスカウターがあるから当分は気にしなくていいだろ」
「あとは絶滅危惧種や手を出してはいけないモンスターとかもいるから、図書館行って調べてきな」
「更に気をつけるべきは、人だ。ここの住民とプレイヤーどちらもね。このゲームでは指名手配など罪のある人間ならば殺しても問題はないけど、罪の無い住民を殺すと指名手配にされてしまう」
「プレイヤーの中にはPKって呼ばれる奴も居て、人を殺すのを目的としている。プレイヤーしか殺さない奴もいれば、住民だろうが構わず殺す悪党もいる」
「とりあえず、PKには気をつけな」
「因みに、テイマーの場合。契約したモンスターが住民を殺すと、モンスターの契約主が指名手配にされる」
「おっと、こいつを忘れていた。プレイヤーの特権について」
「1つは蘇生効果。プレイヤー死んでも生き返る事が出来る。但し、現実世界で24時間待たないといけない」
「流石にこれは知ってるだろうけど、ゲーム内は現実の4倍の速さで進んでいる。つまり、死んで戻って来る頃には、ゲームの中では4日進んでいる」
「よかった。知ってるか」
「また、死ぬと一部アイテムと所持金が全て死んだ場所に放り出されて無くなってしまうから、ちょくちょく銀行に預けることをオススメするよ」
「そして、2つ目だけど。この2つ目こそゲームPWの真骨頂だろう──━━━けども、知らない方が面白いだろう」
「え?教えてくれって。ダメダメ、つまらなくなっちゃう。それに」
ゴトン!
「目的に着いたぞ。ほらほら、話はまた後」
「それじゃあ、ハジメ」
「さあ、戦闘の準備は大丈夫かい?」




