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VRMMO【Parallel World】   作者: BLTサンド
第1章 Prologue
17/28

P.17 「プロローグ」

短めです。

クリムゾンベアとの対決を終え、時間は経過していた。


次の日の朝になり、テイマーギルドに戻ってきたハジメは────机の上で潰れていた。


「たっだいまー!……どしたんだ、ハジメ?」


「…………ああ、シオンさん。おはようございます」


腕に添え木と布を巻き付け、見た感じ重傷のハジメ。

シオンの姿を確認する、弱々しく挨拶をして、また机にうつぶす。


「おい、ハジメのやつどうしたんだ?」


まるで今知ったと言わんばかりのリアクションをするシオン。


モッフィーがここにいれば、あまりの白々しさと演技に拍手の1つでも送っていただろう。


ギルマスのオーランはどの口で言ってんだコイツはと半目で睨むが、無駄な行為だと知っているのですぐに止める。


「……ふぅ。クエスト中にクリムゾンベアに遭遇したんだと。全く、()()()()()()()()()()


「そうだねー。でもよ、ここに生きて居ると言う事は何とか乗り越えたでて事なんだろ」


オーランの言葉を右から左に受け流す。

……言っとくが、俺が黒幕じゃねえからな。


ただ、そこで嵐が起きるその地へと騙して子供を送り出しただけだ…………今回の事件の黒幕よりゲスいな。


しかし、


「何で落ち込んでんだ?」


そう、疑問はそこである。

敵の風見鴉をオニマルに始末させた後は自分の所に返させたので、後の出来事は分からない。


一緒に居たケールが死んでしまったとか?

……いや、それは絶対無い。


オニマルに観察だけでなく、万が一の保護も頼んでいた。

実際、ケールが殴られた際と、攻撃をコバルト3匹で受けた際には、クリムゾンベアの腕に糸を飛ばさせ威力を少し殺していた。


なので、怪我こそしていたものの、死には至っては無い。

それに、モッフィーのハイポーションを摂取しているなら後遺症も大丈夫な筈。


ハジメは潰れて応えない。

なので、代わりにオーランが答える。


「それが。熊倒したはいいけど、同行者がケガして運んで治療してたらな。疲れて寝て、そしたら朝で」


「それがどうし…………あー、もしかしてか」


そこまで言われ、察するシオン。


クリムゾンベアの事ですっかり忘れていたが、ハジメはそもそもあの森にゴブリン退治のクエストを受けていたのだ。

そしめ、クエストを渡したのシオン本人なのだから、クエスト内容も知っている。


率直に言おう。

クエストには期限がある。

それまでに出来なければ、どうなるかと言うと。


「……クエスト失敗した」


「「「……わふっ」」」


足下ではコバルト達も項垂れていた。


設定されていたクエスト期限は日が落ちるまで。

介抱などもあり、そもそも瀕死の状態で戦えないだろうし。


「ま、まあ、そんな責任感じるなよ。あれくらいなら失敗したからと言って、何も人生終わる訳じゃないから」


そもそも。

ぶっちゃけ、そのクエストも手回ししてシオンが発注したものである。

流石に罪悪感を感じ得ない。


「……ねが…………」


「うん?」


ハジメがボソリと何か呟いたので、耳を寄せる。

すると聞こえてきたのは、


「……金が、無い」


「「…………」」


2回によるダブルエッジの衝撃でボロボロになった腕を回復するため、治療費を払い。

ハジメとコボルト達の装備はクリムゾンベアによりボロボロで買い直し確定。


しかも、クエスト失敗のペナルティで罰金。


総額は初心者のハジメにとっては厳しい物で。

正しく、今のハジメは"一文無し"の体現者。


「で、でもよ!クリムゾンベア倒したなら、ドロップアイテムが凄いし」


沈んでいるハジメを見ていて気まずくなったシオンがそう言うと、スッとハジメはカゴを手渡した。


それを受け取ったシオンはカゴの中を見ると────そこには沢山のキノコが入っていた。




【紅熊茸】

血のように赤いキノコ。

見た目の割に、ジューシーで美味しい。

・・・美味しいよ。




シオンが鑑定すると、そう表示された。

何故かそれを見て、何処かでベニテングがピースでドヤ顔している光景が過ぎる。


「ドロップアイテムが爪と骨は分かるけど、何でキノコなんだよ。しかも沢山」


「「…………」」


クリムゾンベアのドロップアイテムの大半はこのキノコが占めていた。


クリムゾンベアは真赤に染まった毛皮が売れるのだが、それは無く。

八百屋に持って行って見せたが、美味しいだけのただのキノコであった。


そんな訳でハジメの財布はスッからかん。

ゲームも現実と同じで金欠なんて。


この世界(ゲーム)は本当に現実よりだ。

現実より過ぎて、


「世知辛過ぎる……ぐすん」

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