第6話 「魔法吸収したら魔王になっちゃった」
異世界に召喚されてから約1時間・・・・・・
俺は、召喚者である魔王ゲミュラスから50メートルほど離れたところに立っていた。その目の前では、魔王ゲミュラスが魔法を唱えていた。見た感じ、ヤバそう・・・・・・
「スキル:吸収! 発動!」
本来は、このようなセリフなんて必要ではないと思うが、一応雰囲気のために唱えよう。
『吸収したい対象物に触れてください』
頭の中に直接、メッセージが流れてきた。対象物っていうのは、今回の場合だと魔法になるだろうな。でも、直接触れないと発動できないのか。もし、剣とか銃とかの物理攻撃だったら痛そう。
「そろそろ、放つぞ。今から放つのは、この世界で『上級』と呼ばれる階級の魔属性魔法、【重力球】だ。殺傷力はほぼほぼ無いに等しいが、とにかく重くて下手したら腕がすり潰されるからしっかり吸収しろよ!」
「こっちは、準備オッケーです。いつでも大丈夫です」
「じゃあ、行くぞ! すり潰せ、グラビティボール!」
魔王ゲミュラスはそう言うと、手のひらをこちらに向けた。その手のひらから、黒い球が出てきた。速度はそこまで速くないが、球の周りが歪んで見える。空間が捻じ曲げられるくらいの重力が発生している証拠だ。あと30メートルほどで俺に着弾するだろう。
俺は、その黒球に手を向けた。魔王ゲミュラスは興味深く、観察しているのが分かる。
俺の手が黒球に触れるまで、3・・・・・・2・・・・・・1・・・・・・ピトッ
『対象物:魔法 を確認しました。吸収を開始します』
そのアナウンスと同時に、黒い球は手のひらに吸い込まれた。しかし、身体に変化は無い。強いて言うなら、黒い球が消えた瞬間に身体に魔力が流れたのを感じたくらいだった。
それをゲミュラスに伝えると、やっぱり普通のスキルと同じだなと落胆していた。と、その時。
『対象物:魔法 吸収完了しました。新たに、魔法:魔属性上級魔法【重力球】を獲得しました』
『魔法:魔属性上級魔法【重力球】を解析した結果、魔王の魔力が検知されました。魔王の魔力を同化させますか?』
また、直接頭にアナウンスが響いた。魔法を吸収したら、その魔法を覚えられたぞ。しかも、魔力の同化? よくわからないが、行って損はなさそうだから一応するか。
『承諾を確認・・・・・・同化しました。条件を満たしたため、魔王種へと進化しました。称号『魔王』を獲得しました』
『スキル:魔王化、スキル:魔力同調、スキル:魔力同化、スキル:魔力応用を獲得しました』
ん? 魔王へ進化しました?
いやいや、そこまでは望んでないけど? 戻れないの?
・・・・・・なんか、ゲミュラスの視線が痛い。
「丈瑠よ、お前纏ってるオーラが激しくなっていないか? 魔王のような、禍々しい負のオーラが見えるんだが・・・・・・」
若干、ゲミュラスが引いているのは気のせいではないんだろう。
お前のせいなんだけどな・・・・・・
俺は、吸収してからの流れを細かく説明することにした。
こんにちは。菓子職人です。
体調を崩してしまい、更新できませんでした。すみません。