第1話 「地球・現実世界にて」
こんにちは。菓子職人です。本編始まります。
「好きです! 付き合ってください!」
まさかあんなベタな告白でオッケーが出るとは思わなかった。本当に嬉しい。俺は幸せ者だ。
俺こと伊藤丈瑠は、1か月前に水泳部の先輩である西園舞悠先輩に告白をした。先輩は、水泳部でもかなりの実力者で、全国大会での優勝経験もある選手だ。そして何より、とてもかわいい。身長も女の子の中では高い方で、シュッとしている外見だ。だけど、出るとこは出ていて、特にお尻はむっちりとしていて実に艶めかしい。後輩にも優しくて、先輩、後輩ともに大人気で、狙っているやつが多いことで有名だった。
そんな中で俺が彼氏になれるなんて夢にも思わなかった。
――――本当に幸せ者だ。
「早く! 映画始まっちゃうよ」
今日は、3回目のデートだ。水泳部は基本的に週6回練習を基本としているので、休日が日曜日しかない。日曜日も試合が重なったりで、全く時間が取れなかった。
しかし、今日は試合も無く、お互いに暇だったので急遽デートをすることになったのだ。
「丈瑠君、この頃【消失事件】ってよくニュースで聞かない?」
「えーっと、最近急に物が無くなったりするあれ?」
「そうそう。あれ、怖いよね・・・・・・」
「大丈夫でしょ。巻き込まれることなんてないよ。だいたい、人が消えたなんて聞かないし」
プライベートな時間は、敬語は無しにしようって決めている。
「でも、ネットでは眼球が無くなった。とか、目の前で人が消えた。とか聞くんだよね」
「あははは。そんなことってありえない、ありえない。そんなことより、あともうすぐで始まるね、映画。楽しも!」
先輩は納得のいかない顔を見せたが、すぐいつもの笑顔に戻った。
「面白かったね、あの映画」
「そうですね。主人公がまさか盗賊だったとは思いもしなかったですね」
「むう、二人の時は敬語はやめてって言ったでしょ」
「あ、ごめん」
映画が終わって、レストランで夜ご飯を食べた俺たちは電車に乗り、帰路についていた。途中、星を見ようと先輩が公園に入っていった。慌てて俺も追いかける。
「綺麗だよね、星」
「そうだね・・・・・・舞悠」
「なあに? 改まって」
「好きだよ。いや、愛してる」
「・・・・・・私もだよ。目、つぶって?」
俺は言う通りに、目をつぶった。
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
「舞悠? せんぱーい?」
目を開けたら、先輩はいなかった。
先輩、かわいい。