第12話 「この世界の龍」
「どうだ。この伝説は」
魔王ゲミュラスは、ドヤ顔で感想を求めてきた。
どうと言われても、この伝説が本当の話なのかが分からない。
伝説の中に出てきた魔族に進化した若者が、おそらくは魔王ゲミュラスなのだろう。
しかし、特異点という龍、魔毒龍ゲミュラスと名が同じというのはどういう経緯なのだろうか。そして、「聖剣」という言葉も出てきた。聖剣とは多分想像しているような武器で合っているとは思うけど魔族って聖属性の魔力って使えるのか? でも、ティーチさんは使ってたし、使えるのか・・・・・・とにかく
「どうだって聞かれたので素直に言うけど、本当に語り継がれている伝説なの? どう考えたって竜と同じ名前ってのは出来すぎてるし、魔族が聖属性魔力を使えてるのはどうなの? すごい嘘っぽい」
「う・・・・・・ひどい・・・・・・」
そう言って、ゲミュラスは拗ねた子供の様に部屋から出ていった。
何も教えてくれなかったということは、他の魔王に聞いて勉強しろってことなのか? それとも本当に拗ねただけなのか。
「・・・・・・っていうくだりがあったんですよ、ティーチさん。本当にあるんですか? そんな伝説」
「さあ、どうだろうね。父上がそう言っていたんだったらそうなんじゃないかな?」
そう言い、『大賢者』ことティーチ・ベルベディアは、静かに笑った。
今俺はティーチさんが治める領地、ベルベディア王国のクーリア領に来ていた。クーリア領はベルベディア王国の王都へリンから馬車で1週間ほど離れている領地である。領地の半分を山で占めており、その深い森には強力な魔物が住み着いていると言われている。クーリア領の首都クーリアは、その山々に囲まれており、自然に作り出された要塞都市としても有名であるらしい。なので、位置的にも人族が治めるエメルディア王国と隣接している。
「たしかに、私の城には元聖剣である剣は祀られているよ。ただ、ブルーブラッドの名産地は私の領地なんだけど、そんな話は聞いたことがないな。ましてや、特異点なんて久しぶりに聞いたよ。帰ったら調査させようかな」
「そういえば特異点って何ですか? 伝説では、属性龍から外れた存在って聞きましたけど」
「特異点を説明する前に、属性龍について説明するよ。この世界には、基本属性を持つ龍がいるんだ。それぞれ火龍、水龍、地龍、聖龍、魔龍の5種類で、無属性の龍はいないんだ。それぞれの属性の龍の進化先にそれぞれの属性を冠する属性龍と呼ばれる龍がいて、それぞれ火龍帝、水龍帝、地龍帝、聖龍帝、魔龍帝と呼ばれている。簡単に言うと、世界の龍は基本属性に分かれていて、その進化先に属性龍と呼ばれる5体の龍が存在しているんだ」
「そして、その属性龍とは全く違う能力を保持している龍がいる。それが、特異点というこの世界の龍の中でも唯一無二の存在なんだ。世界にまだ10体しか発見されておらず、そのそれぞれに固有の名前が付けられている。また、属性龍と違って不死属性という特殊属性を持っているとされている。それぞれが、属性龍に進化する道を外れ、独自の進化をした龍達なんだ」




