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いくさが無い

挙(三成):(……しばらくいくさは無い。)

(と言うことはつまり……。)

(槍働きを期待して採用した連中を遊ばせることになってしまう……。)

(彼らは専業武士。)

(いくさが無いときに精を出す家業を持っていない純然たる消費者でしかない。)

(……その唯一と言っても良い仕事。)

(いくさが無いことが当面の出来事である以上。)

(……置いておいても……。)

(だからと言って……)

(いづれいくさはあるのであるから、暇乞いを出すわけにも参らぬ。)

(……『有給扱い』にして置くのも良いのかもしれぬが……。)

(大抵そうなると……。)

(遊技場なんぞに入り浸りになってしまい……。)

(相手も金儲けでやっているわけであるから……。)

(当然の如く、全ての財産を吸い上げられた挙句。)

(それまでの負けを取り返すべく高利貸しから借金をして一発勝負に打って出。)

(借金の……。正しくは利息の返済に給料が超特急で消える。だけならまだしも。)

(その給料を元本に新たな借金をするものも現れる……。)


挙(三成):(……何か仕事を与えねばならぬ……。)

(一番手っ取り早い仕事と言えば……。)

(冬場の上杉謙信や武田信玄が関東で行った『いくさ』になるわけではあるが……。)

(わが国からフロンティアラインが消滅し。)

(新たな土地を求め出征した大陸もうまく行かなかった……。)

(そして何より……。)

(私が兵を起こすことを手ぐすね引いて待っている家康がいる……。)

(今。左近以下家臣のために兵を動かすことは得策ではない。)


挙(三成):(西に琵琶湖が拡がり。)

(信長様のみが愛された湿地帯。安土があるように。)

(新たな田んぼを開拓するには最適な場所にあり。)

(家臣はいくさ働きを期待して。の採用であることからもわかるように。)

(力仕事には自信があり。)

(出が農家の次男以降のものも多い……。)

(彼らを遊ばせることを防ぐことが出来。)

(かつ統治に必要な原資。コメの増産に結び付けることが出来る。)

(一石二鳥の施策なのではあるが……。)

(……14トンのジャガイモがある手前。)

(……今。でんぷん質のものを考える気にはなれない……。)


挙(三成):(なら過疎地対策で執り行われる。)

(公共事業を用いる手もあるのではないか……。)

(今も昔も水を治めることが為政者の務めであったことを思えば。)

(いくさの無いこの時期にこそ執り行うべきこと。)

(……三成はあまり得意では無かったようではあるが。)

(亡き太閤殿下以下豊臣家には土木に秀でたものが多いのも事実。)

(あの起伏に富んだ伏見に一直線の道路を敷くなど。)

(その後、発生することになる災害において。)

(最も被害が甚大になるような場所であってもお構いなしに。)

(……の工事をするのが得意。)

(現に我が領内に亡き太閤殿下が建造した長浜城の一部は既に水の底になりつつある……。)


挙(三成):(……そしてなにより公共工事は……。)

(……受注しなければお金にはならない……。)

(……目的が彼らを遊ばせないためであることを思えば。)

(……それでも良いのかもしれぬが……。)

(……そのためだけに蔵を開放するのは……。)

(……三成らしくはないであろう……。)


挙(三成):(……貯えを減らすことなく……。)

(かつ家臣に仕事を与えることが出来。)

(可能であれば富を増やすことが出来るようになるものとはいったい……。)


左近:「(……またこの人。考え事に耽っているな……。)殿。いかがなされましたか?」


挙(三成):(ん!?左近か……。)

(……彼は確かに高給取りではあるが。)

(私が大坂で不在の折には領内をよくまとめてくれており。)

(いくさのみならず内政面でも才を発揮しておる。)

(ただ私は今。佐和山で蟄居の身。)

(私が領内を見ることが出来るため、今。左近に求める仕事はない……。)

(……彼も使いながら出来ることとなると……。)


左近:(……何か嫌な予感がするではあるが……。)


挙(三成):「左近!!」


左近:「(急にどうした!?)ハッ!!!」


挙(三成):「(渡辺)勘兵衛を呼んで参れ!!!」


左近:「(何を言い出してくるのだろう……)ハッ!!」


渡辺勘兵衛を連れ戻ってきた左近。

この両者を前に挙(三成)は……。

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