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喧騒のない場所

作者: 松田

「やっぱりいいですね、和室ってなんとなく和みますよね」

「そうだね」

そう言うと二人してどこかからため息を漏らしてしまいました。

それから少しの間を置いて、もう一杯飲もうと腰を上げると「先輩はなんで茶道部に入ろうと思ったんですか?」と後輩ちゃんに聞かれ「えっと」と私は考え込んでしまうのです。



高校では特に自分のやりたいことなんてなく、当然それでは担任の先生やら両親は納得するはずもなく、ならばせめて偏差値の高い国公立を目指せと言われるのが日常でしたが、私にはそんなところを目指す頭は到底なく、おまけに労を惜しんで目指すような気力も全くありませんでした。

受験生になってもほとんど勉強をせずに過ごしてしまいますが、そんな生活をやはり周りは許すことはありません。

夏休みが終わると、これからどうするの?と毎日のように問われ、インターネットで手ごろそうな学校を見つけ、投げやりな気持ちで現在私が通っている大学を受験しました。

ひどい有様でした。

授業中だというのに先生の話は聞かず、どこもかしこもべらべらとお喋りが絶えず、また、せめて声を抑えようという気遣いすら見られないのです。

おまけに内容はなんと下品に聞こえてくることでしょう。

今月出るstarbucksの新作。某歌手グループのニューアルバムリリース。自分の地元自慢、バイト自慢。

隙を見たならば自画自賛してしまうような者ばかりの生徒を見下さずにいられるわけがありませんでした。

私はつい天狗になってしまいますが、しかしてすその鼻はあっさりと折られてしまうのです。


5月あたりのことでしょうか。ある科目でテストがあり、返却された時のことです。

手応えとしてはかなりいいものがありました。こんな問題どうして解けないのだろうと思いながらさっさと解いて睡眠時間に当てたようなテストです。出来て当然のものでした。

しかして結果は100点のうちの52点。平均点は64点。

簡単なテストの筈がとんだ大敗です。

周りを見れば70や80がわんさか。追い討ちをかけるように先生はこのテストをかなり優しく作ったと言い出し、私の自尊心は粉々に砕かれ、泥水の上で足蹴にされ転がされたかのように、それはそれはもう酷く惨めな気持ちになりました。

おかげでその日は一言も口を聞くことなく眠りました。一晩寝れば気持ちも収まるだろうと思いそうしたのですが、むしろショックで少し惚けてしまっていた寝る前の方がはるかに良かったでしょう。

目が覚めると私は昨日のテストのことをまず思い出してしまいました。

なんとなく体が重く感じ、布団から這うように抜け出して朝ごはんを食べ、犬の散歩に行き、学校に行くという毎日行っている家を出るまでの過程ですら重労働になってしまったのです。

その日の気分は最悪でした。

いつものように座れない電車や賑やかな授業、またそれよりはるかに小さいこと、例えば道に落ちている石ころがなんとなく気にくわないと感じては、どんどんと苛立ちを自分の中に募らせて行くのです。

その次の日も、そこまで酷くはないけれども自分の気性には変化が見られません。

自分でも自分がおかしくなっていることに気がついていましたが、何をしてもちいとも楽しくならないのです。



私が中学時代にサッカーをしていたことをちょろっと話したことのあるバイトの先輩にフットサルに誘われた時のことです。

たまたま私と家の近い先輩が迎えに来てくれるというので、約束の時間より少しだけ早く、昔使ってた運動着を着てまっていると、赤いスポーツカーが私の姿を見つけるとクラクションを一回鳴らし私の前に止まります。

見ると中には先輩が変なグラサンをつけて乗っています。

促されるまま中に入り、シートベルトを締めて、しばらく走ったところで「これって先輩の車ですか?」と聞いてみました。

「おう、そうだよ」

「かっこいいですね、色とか」

「高かったんだよこれ」

それはそうでしょう。

先輩のまだ学生の身でありながら、バイトでお金を貯めてスポーツカーに乗り回しているということが、どうにも現実離れしているように感じられて、素直に感心するしかありませんでした。

それからバイトのオーナーのことや、同僚のこと、それから普通の日常会話をしているとさすがスポーツカー、あっという間に目的地についてしまったようなので、先輩が車を止めたのを見計らって車から荷物を下ろします。

すると一人の人がよたよたとがに股歩きでこちらによってくるのです。先輩と同じ運動着を着ていたことからこの人がチームメイトなのだろうことは容易に察しがつきました。

タオルで汗を拭き拭き、がに股の人は先輩と軽く挨拶を交わし、私のことを伺うのです。私はつい顔をそらしてしまいます。少し失礼かとも思いましたが仕方がないのです。なにせ、がに股の人は私の顔を真正面からじいくりと見つめるのですから。

「この子誰?」がに股の人が一通り私を眺めた後に先輩に言いました。

「うちのバイトの子」

「へー、フットサルしたことあるの?」

「サッカーならやってたらしいよ」

「それで君こいつに誘われて来てみたんだ」

突然私に話を振るので少し驚いてしまい、声が出なかったのでとりあえずうなずいておきました。

「じゃあ後で、2番で遊んでるから」

そう言ってまた、よたよたと歩いていってしまいました。

「2番って何のことです?」

「2番コートってこと。10番コートまであるんだけど、そのうちの2番」

「なるほど」

私と先輩は荷物を持ってその2番コートまで行きますとあの人を入れて5人の人がボールを蹴っていました。

「こっち来て」

私と先輩はコートを避けるようにして歩いていって、屋根のあるベンチのところまで行き、荷物を下ろすと先輩が大きな声で私の紹介をぱっと済ませてしまいました。

あまりの簡単さにうろたえているとすぐにボールを渡され、先輩とパスの練習をはじめました。久々のボールの感触はとても固くて、すぐにでも足の親指を突き指してしまいそうです。

しばらく蹴って、足が痛みを感じなくなってくる頃になると、四対三のゲームが始まると、いきなり私の方にボールが回ってきました。

どうすればいいのかわからなかったのでとりあえず相手の2人を適当に抜き、見方の1人にパスを出しますと、見事なループシュートでゴールキーパーの頭の上を通してゴールを決めました。

すると見方のもう1人が突然雄叫びをあげ、「君すごいじゃん!」とほめてくれましたが、その人の発言と言ったらばっとかすぱっとか、擬音ばかりで何を言っているのやらさっぱりなのです。

私はついおかしくなり、笑ってしまいました。

かくして、その後もチームを何度か変えて夜の9時頃になってフットサルはお開きになりました。

チームの人に挨拶をして、来た時と同じように先輩の車に乗り込みます。立ちっぱなしだったので車の椅子が何と心地よいことか、私はついうとうととなってしまうのです。

「お前サッカーうまいんだな」

「そんなことないですよ、何度かボールを取られてしまいましたし」

「それまでに何回抜いたんだよ」

「えっと・・・何回でしょう」

やれやれというふうにため息をついてタバコ吸っていいかと聞くのでどうぞというと、先輩は窓を開けてタバコを吸い始めました。

「お前って何気にすごいよな」

フーっと煙を吐いてそう言うと、またタバコに口を付けます。

「そんなことありませんよ」

「いや、すごいよ。知ってるか?深夜の人は結構お前のこと認めてること」

「いえ、初耳です」

「そうか」そう言って先輩はタバコの火を消します。

「うん、みんな言ってるよ。お前はすごいやつだって」

「いえ、そんなことありません。少なくとも学生でありながらスポーツカーを

乗り回している先輩よりは大したことないですよ」

「そんなことないよ、お前一人でなんでもやってのけちゃうだろ。おまけにバイトも学校も頑張るし。今どのくらい入ってるんだ?」

「週6日です」

「なんでもできちゃう上そんなに頑張れるし、お前は一人で生きていけるんじゃないか」

「そんなことないんです」

気がつけば履き替えたズボンの膝の部分は手汗で湿り、シワシワになっていました。



起きるでもなく、かといって眠れるわけでもなく。疲れたからといってバイト先に休みの連絡を入れたけれどすることもなく、ただ無為な時間をだらだらと布団の中で過ごしていた日のことでした。

午後も5時を過ぎた頃、友人から突然飲みに行こうと誘われたのです。

けれど私は未成年。お酒を飲めるような歳ではありません。そして友人も同じ歳。私と同じで飲んでも良い年齢ではないはず。

という事が一瞬気になってしまいましたが、もう次の瞬間にはどうでもよくなっていました。

友人の誘いを受け、私は電車で30分ほどかけ、池袋まで行き、友人と落ち合いました。

「なんか久しぶりだね」

「うん、6ヶ月くらいかな」

「だいたいそのくらいか、意外と日にちたってるな」

「忙しかったからね、あっという間だよ」

「とりあえず店行くか」

「うん」

どこか飲み屋が密集している場所に行くのかと思っていましたが、意外や意外その店はサンシャインシティの中に入っているお好み焼き屋さんでした。

「何食いたい?」

「鹿児島の黒豚お好み焼きとかは」

「いいね、それにしよう。3個くらい頼んどこうよ」

「そんなに食べられないんだけど」

「頼むだけ頼んで後で持ってきてもらおう」

それなら後で追加注文すればいいのではないでしょうか。友人の考えにいささかの疑問を覚えつつ、そうすることにいたしました。

「飲み物は何にする?」

「同じやつでいいよ」

そうして友人は鹿児島の黒豚お好み焼きと梅酒を二つ頼みます。

注文を終えると友人は1秒も惜しいというような様子で「それで最近どうなんだ?」と聞いてきます。

「どうもこうも普通だけど」

「学校どう?」

「疲れるよ。毎朝行きたくないと思う」

「そっか、なんか痩せた?」

「ん?わからない。そっちはどうなの?」

「痩せてないよ、むしろ運動しないから太ったかも」

「いや、じゃなくて学校はどうなの?」

友人の天然は高校の頃から相変わらずでした。いつの間にか話がずれていくことばかりなのにどうしてか安らぐのです。なぜでしょうか。

「何学部だっけ?」

話がそれてしまったので戻してみましょう。

「経済学」

「友達できた?」

「できたよ、何人か」

「そっか、羨ましいよ」

「いないの?」

「いないよ」

そんな話をしているとお好み焼きとお酒が運ばれてきました。

お好み焼きはこちらで焼きましょうか?と聞かれたので、お願いしますといって焼いてもらいました。テーブルの上にある砂時計で表裏4分焼いてくださいといって、店員さんは私たちの席を後にしました。

焼き上がったお好み焼きを切り分けて二人の皿に盛ります。それを私は箸で小さく切り分けて、一口大にして食べていると、先ほどの梅酒を勧められてしまいました。

高校2年の頃、親が飲んでいたパックに入っているお酒を飲もうとしたのですが、コップに注いでいざ飲もうとなると、コップが口に近づく程に動悸が激しくなり、もう間近、あとはコップを傾けるだけとなると最高潮。おまけに自分が今までとは違ってしまうかもしれないという不安感がだんだんと視界の中を黒く染めるのです。ドクドク、ドクドクと耳の中まで響いてくる心臓の音は私の罪悪感を煽り続け、結局その日はコップ一杯のお酒も飲めずに私は水道に流してしまったのです。

それをこれから飲むのかと思うと、少し、躊躇してしまいます。

けれどもそれは杞憂に終わりました。

友人がいたからか、それとも他の理由があってか、何も考えずにあっさりと私は出されたものの半分を飲み込んでしまいました。

初めて飲んだお酒は、なんというか変な味がしました。そうしてなぜだか喉が熱く、頭が痛くなってくるではありませんか。

お酒は喉で飲むものだと言い出したのは一体誰でしょう。おかげで咳き込んだ時のように喉が痛く、苦しいではありませんか。

友人がすんなり飲んでいるところを見ると慣れや体質があるのでしょうか。

慣れの問題なのだとしたら私にはやはりまだお酒は早いということなのでしょうか。

なれば好都合だと思い、私は残った半分を一息にぐうっと飲み干しました。

されどちっともアルコールが回っている感じがしません。遅効性で、あとになればだんだんと効いてくるものなのでしょうか。

二つ目のお好み焼きと一緒にビールも頼んでしまいました。もう私は酔って自制が効いていないのでしょうか。

「すごいなお前」

「ん?」

「酒、初めてなんでしょ?」

「そうだけど?」

「躊躇いなく飲み込んだじゃん。普通少しは躊躇しない?」

「そうなの?」

「初めて飲んだ時サークルの先輩にしぶしぶ飲まされたもん」

「それならそっちの方がすごいよ」

「いや、あっさり飲んだそっちの方が明らかにすごいでしょ」

「本当にそんなことない」

それから私は、注文したお好み焼きを全て食べ終える間にビールを5杯飲んだのですが、一向に酔いは回ってこず、完全にあてがはずれてしまいました。たまたまお酒に強い自分の体を恨みます。

3杯ほどしか飲んでいないのに酔っ払ってしまっている私の友人は、まるで人が変わってしまったかのように哀れに見えますが、それが私には羨ましい。

「お前なんか暗いぞー!」

「そうかな」

「ああそうだ!そんなんだから友達もできないし好きな人もできないんだぞ!」

「恋人ならいるよ」

「なんだってー!ありえん!」

何がありえんでしょうか、失礼な。

「じゃったら写真を見せて見せろよ」

私はケータイを開いて恋人と一緒に撮ったプリクラを友人に見せてみるとびっくり仰天。友人はテーブルの上に手をつき、身を乗り出そうとしましたが、友人が手をついた位置はちょうど鉄板のうえなのです。

火が消えていたため幸い火傷はなくて済んだのですが、すっかり友人の酔いは覚めてしまいました。

それからしばらくお冷の入ったコップを触って熱を冷ましてお店を出ました。

サンシャイン通りを駅に向かって歩いている時、友人は私の恋人の話しかしようとしませんでした。



私にはこの時恋人がいました。

付き合ってまだ間もない。デートというものもしたことがなく、付き合う前に一度だけ遊びに行っただけの間柄です。

なにせ付き合っているとは言っても私はその恋人に恋心を持つどころか友人として、いえ、人としてすら好きにはなれなかったのですから。私の恋人は何度も遊びに行こうと誘ってくれたのですが、私は一度も誘いに応じることができませんでした。もちろん私はとても悪いことをしてしまっていると思っていましたし、ですから遊びに行こうかとも思ったことはあるのです。

一度だけ私はあなたと遊ぼうと約束したのですが、だめなのです。いざ遊びに行くとなるとどうにも憂鬱な気持ちになってきてしまい、私は前日になってあなたとの約束を破棄してしまったのです。

その代わりに私は毎晩の電話には応じ、遊びに行けない代わりに好きだと伝え続けました。もちろんその行為には利用してしまっているという罪悪感もありましたが、そうしていればいずれ私の方も好きになれるかもしれないというような希望もあってやっていたのです。

が、だめでした。



もうなんでもいい。もう疲れてしまいました。酒でも女でも薬でもなんでもいいから私を溺れさせてください。

今なら何だって受け入れます。たとえ罪を問われて監獄に閉じ込められても、頭がおかしくなってしまっても、すべてを失うことになろうとも、その結果死んでしまおうともかまわない。たったのひと時でいいのです。どうか私をどこまでもどこまでも、深く突き落としてください。

そう思ってバイトの先輩の誘いに応じ、スポーツをしてみても、友人と飲む機会になったのをいいことに躍起になって飲んでみても、なんでもない異性と乱れてみても私は全く満足できず、二日酔いやエッチなビデオで我を失っている様を見る度に羨ましく思うのです。

なぜ酒なんぞに呑まれてしまうのか。どうしてセックスなぞに興じることができるのか。

次第に私はなにもすることなく学校と家の行き帰りを繰り返すようになりました。

朝起きて、学校にいき、授業をこなして、帰り、寝る。

思い返して浮かべられる風景は全体的にライトグリーンのかかった人気のない廊下ばかり。

そうしているうちに前期は終わり、夏休みになっても何もする気は起こらず、変わったことといえば行き帰りをする場所が学校からバイト先になっただけのことでした。そのバイトすら夏休みにはやめて、あとはずっと家で寝ているのみの生活。

やがて夏休みが終わり後期が始まるのですが始まってすぐはしばらく文化祭の事で校内全体が浮かれていて、私は心底腹立たしい気持ちで毎日を過ごすことになるのです。

次に授業のある教室でご飯を食べていては委員会だと言って追い出され、クラスのグループラインは通知を切っているとはいえメッセージが溜まりました。私にはそれが鬱陶しく感じられ、いつだかグループを抜けていました。すると連絡がつかないからといって私は勝手にクラスの出し物のシフトの予定をいれられてしまったので仕方なく学校にいき、クラスの出し物の場所に行ってみれば誰も来ないので暇で仕方が無い。

なんてひどい話でしょうか。これでは単なる巻き込まれ損です。

私は途中で抜け出しました。シフトの時間までは学校にいようと思っていたので荷物はそのままにしておきます。

適当に校内をふらついていろいろなところを見ました。焼きそば、たこ焼き、唐揚げ。どうしてかうちの大学では食べものばかり売っているようです。

興味のそそるようなものがなく、まわりのテンションとの差にあてられて疲れていくだけだと感じたので、私は歩くのをやめました。

たまたま近くに空いていた椅子を見つけたので座りました。

その周りには私と同じように、どこか疲れているような祭りにはおよそ相応しくない空気が漂っています。それを悟ってか会話をするもの達もけして大声で騒がずにヒソヒソと話しをするのです。

そこでたまたま茶道部がお茶会をしているとのポスターを発見し、なんとなく行ってみる気になったのです。

教室の場所を確認するとそれはすぐそこ、休んでいた場所からすぐのところに受付らしき人が座っているのが見えます。

「ここは茶道部ですか?」行って訪ねてみると「はい、お茶会ですか?」と聞かれたのではいと答えました。

席料ということで三百円をとられ、受付の人の後ろのドアに入り、そこで待つように指示されました。

その部屋には私の他に3人、みんなもうじいさんばあさんと言った感じで音も立てずにひっそりと順番を待っているのです。

少し待って順番が来ました。前にやってた人たちが出ていき、私たちは隣の部屋に通されます。

そこはなんと和室でした。

学校に和室があったことには素直に驚きましたが、その驚きも和室の荘厳な雰囲気の中になすすべなく消えていくのです。どのような雑音も許さないというように頼もしい感じでそこにあるのですがそこに重さはなく、なんとも柔らかな匂いが漂っているのです。

さっきまでの喧騒は嘘のように消えますと、なんとも心地の良いことでしょう。

お茶が出されると、私はとりあえず一口のつもりでゆっくりと飲んでみました。



「茶道部に入った理由は、お茶が美味しかったからだよ」

「じゃあもともと興味があったわけじゃないんですか?」

「別になかったよ。ただお茶が美味しかっただけ」

そう言ってずずずとお茶をすすりました。

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