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星に願いを「お願いします」

空に見える小さな光は段々と大きくなり、今ではもう10円玉くらいの大きさになっている。紫の閃光が走り、時折黄色に発光する。これが隕石でなければ【幻想的】と言えるだろう。しかし……


「おい、どうするよ」


ナトがそういうとピサロが反応した。


「俺、全属性攻撃持ってるぜ!?」


属性は全部で7つある。炎・水・光・闇・風・魔・地。

そしてそれを全て束ねたものが全属性なのだ。

全属性攻撃をすれば、あれを止められるのはわかっているのだが……


「でもピサロ、ピサロのは剣で攻撃する【レインボースラッシュ】じゃなかったっけ?」


そう、これが問題なのである。

剣士であるピサロは多くても3mの攻撃範囲があればいい方だろう。3mで例え隕石を迎撃できたとしても、絶対に被害は受けてしまう。ならば、どうすればいいのか。答えは【不可能】

どうやってもルミドールの攻撃が届く前に攻撃を当てることは不可能なのである。


そして、かろうじて掠っただけでは意味がない。魔法を相殺させるには、あの隕石の威力を超える威力の攻撃を『中心部に』『衝撃が来て技がキャンセルされるまでに』当てなければならない。無理だ。なんせ射程が短すぎる。


「カリン、何か対抗策ない?」


ピサロがそう聞いてきたが、実のところいつだけ対抗策はある。

【転移魔法】使って逃げるのだ。しかしこれは【サンクチュアリ】という魔法でできなくなるし、もしできたとしても、今ここにいない仲間たちを置き去りにすることになる。流石にそんなことはできない。

そう考えているうちに、もう隕石は野球ボールくらいの大きさになって落ちてきている。


「とりあえず、ここから魔法を撃って逸らすしか……って、危ない!」


私は何かの殺意を感じ取り、仲間を押し倒す。

頭の上を、白い魔法が飛んできた。

飛んできた方向には……ルミドールが杖をこちらに向けていた。


「あんたら、あたしもいるからね?」


すっかり忘れていたが、ルミドールもいるのだ。

そうなってくると、もう方法はない。

強引な手段を使うしかない。


「ねぇ?ちょっともしかしてなんだけどさぁ……ゴメン、カリン1つ忘れてない?」


そうナトが言ってきた。


「何?」


「これがもしゲーム時代と変わらないなら、大きなルールは変えられなくても、ゲームマスタースキルで魔法くらい消せるんじゃないの?」


……あ、そうだった。私これでもTRPGの進行係だったんだ。

え、でも適用されるのかな……でも本当に消せるのかと迷ってくると、頭の中に、TRPGの頃のノートが浮かんできた。

で、確か3ページ目にこんなことを書いていたはずだ。


[ゲームマスターは原則として、キャラクターの行動を変更させることができる。ただし、実際に世界などに関わることや、交渉などに使うのは不可能]


簡単にいうと、めっちゃ大きい範囲じゃなければゲーム進行係がゲームプレイしてたとしても変更ができるということだ。そのキャラの行動を変更できるってことだ。

まさかこんな時に役立つとは……廚二の言葉は恐ろしい。


「あ、えーっと[隕石を消滅させてください]」


そう言った瞬間、光が消えた。


「まさか……嘘、こんなことって」


ルミドールはフラフラと歩き……そして倒れた。

あ……頭打ってたけど大丈夫かな……


「はぁ……まさかこんな簡単に終わるとは……」


「ふっ……我の力だ」


「厨二黙れ……GMの力がなければ危なかっただろう…………って、うそでしょっ!?」


私は不意に空を見上げた……するとそこには、確かに消えたはずの隕石が、巨大に迫ってきていた。


「おいおいおいおいおいっ! 嘘だろ嘘だろ嘘だろっ! あんなのもうどうにもできないだろっ!」


「カリンっ! 我が闇の魔術で……」


「ふざけけないでよっ!? 私だって『嘘だっ!』とか言いたいけどっ!! ……もうどうしようにも……」


あと数秒。それで終わる。辺りに強風が吹きすさ……ん?今なんか2つの人影が目の前を通過していった気が……


「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


………………………………………


「砕けろっ!」「割れろっ!」


「「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」」


そんなシンクロ的な何かが聞こえて、何かが爆発したかのような音を聞いて私が上をもう一度見上げたとき、もうそこには先程までの巨大な隕石などは、綺麗さっぱり消滅していた。


私が見たのは、拳に白い光を灯した2人の少女が優雅に着地するところだった。


「私の神官の魔法で全属性をつけただけよ」「見たか、私の本気っ!」


そんな言葉を言うのは、認めたくないが同級生であり、TRPG仲間の女子2人。


あまりに一瞬の出来事に、ナト、ピサロ、私の3人は啞然とすることしかできない。


「まっ、女子はなめんなってことよ」


鈴のその言葉に、男子3人はコクコクと首を縦にふる。


《女子は怖い》



TRPG楽しかったなぁ(泣)

隼人よ……ピンチの時はありがとう……(いつもはトラブルメイカーだったけど)


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