勇者対勇者
「あんただれ?カリンを殺すですって?」
「そのままの意味。名前は言ってあげない。言ったとしてもどうせあなたは死ぬんだから意味が無い。意味がないから私は言わない」
カリンが水の神と会話をしていたその時、鈴達は強力そうなオーラを発する1人の女の子と対峙していた。
「それはどういう意味かしら」
「貴女を殺すってことだよ」
そう言った瞬間、お互い魔法を放つ。
互角に見えたその魔法の力だが、少しずつ劣勢が明らかになっていった。
「う……っぐ!」
打ち負けたのは鈴。かなり先まで吹き飛ばされた。この場所はイサキ平原なので滅多に民間人は来ない。ならば思いっきり魔法を使っても大丈夫だ。
「早く負けを認めて死んだら?私はカリン・イースを殺すのに忙しいから」
そう言って腰から剣を抜く。その剣もまた異様なオーラをはなっている。
「死んで」
そう軽く言い放つと確実に命を刈り取る軌道を描き、首が跳ねる……ことはなかった。何故なら首のすぐ前に、もう一つの剣があったからだ。
「鈴は殺させないぜ?お前が剣士なら、俺と戦え」
「いいよ。すぐに殺してあげる」
何を言おう、タコッチィーヌである。
「クソ、激しいな」
タコッチィーヌは剣を振りながら言葉にしていた。
剣を振る速度は相手が上。
当たった時の衝撃もあちらが上。
剣の性能も確実にあちらが上。
このままでは押し切られてしまうのは目に見えていた。
「どうしたの。もっと早く強く剣を振らないと負けちゃうよ」
「分かって……いるよっ」
なにか、なにか一瞬でも隙が見つかれば……
「あなた達は知っていない。あなた達は所詮偽物の勇者。私は神に選ばされし勇者」
そう言うと、正体不明のその女が剣を大きく振る。それを迎撃しようとした剣は弾き飛ばされ……地面に深く刺さった。
「あなた達は負ける。そして死ぬ。まずはお前から」
剣が構えられ、タコッチィーヌは死を覚悟した。




