疑問またまた ◯
私……違うっ、僕達TRPG仲間はどこかわからないところに目覚めるととばされていた。
廚二君が魔法らしきものを使って光を出すことに成功し、私たち(……もう私たちでいいわ)は、また疑問が出てきた。
「ねぇ、ピサロー」
鈴が言う。いつもの軽い雰囲気だが、そこには少し焦りが含まれているようにも思う。
「おいおい、俺の名前はピサロじゃない。け……なんだったけ?」
自分の名前を忘れていたのだ。
「なにいってんの?あんたの名前は、け……け、けだものよっ」
「違うだろ!」
何だ、何でみんな覚えていないんだ。
「さっきまではみんなが普通に、おぼえていたのに……」
そう私が言うと鈴がこう言った。
「まぁ、いいじゃん!?とりあえずさぁ、ここどこ?」
まぁまぁ無視してはいけないことだと思うのだが、確かにそっちの方が気になる。
てか私たちすごいな。こんなときでも気楽に話すなんて
「ここは……平原だよね」
私が呟く。
「ここはギアナ高……」
おなじみの廚二君。
「黙って」
「うぅ……右手が疼き始めた……」
「黙ろうか♡」
「あ、はいまじでさーせん」
殺意の込められた鈴の一言が炸裂。そう言って静かになった時、鈴が大きな声で言う。
「知らないの? ピサロ、あんなに歴オタのくせに!?」
「そんなこと言われたって知らないものはしらねぇんだよ!!」
喧嘩が始まった。
「だいたい鈴、人にもの聞く態度じゃねえよなっそれ」
「私はただここがどこか聞いてんのよっ」
結構エスカレートしている。
「イサキ」
「というかその前に、いつも思ってたんだが、お前少し偉そう過ぎやしないか!?」
「うるさいわね、あんたに言われたくないわよ!」
もう声が大きくなって、叫びのようになっている。
「ち、ちょっと、2人ともやめて」
アルが止めにかかる。
「やめろよ!」
継いでタコッチィーヌが。
「イサキ」
「いいんだ、とめるなアルっ」
「私もこいつに言わなきゃいけないことがあるわっ」
そして……
「イサキ」
「何よ、カリンっ!さっきからイサキ、イサキ、って!!」
「そうだよ、おれたちのことかんがえろよ!」
「え、あーごめん、ここみて」
私が指差したところには1つの看板があった。そこにかかれてあったのは……
「ここはイサキ平原」
そう、思いっきり書かれてあったのだ。
「ゴ、ゴメン鈴」
「わ、私もごめんなさい……」
……と、やっと静かになったところで、6人は頭をフルスピードで、まわしだす。
イサキという地名があったか。あったならばどこか。
しかし全員で考えても全く出てこなかった。
「もう仕方が無いから、ナトがしていたことを取得しよう」
そう私がいうと全員賛成してくれた。
「ってことで、教えるぞ。多分コツさえ覚えれば簡単だ。さぁ、やってみよう!」
教官はナトである。偉そうだな、おい!まぁ、別にいいけど。
「まずは、あたまのなかでイメージするんだ。たとえば炎」
わたしが炎をイメージした瞬間。手のひらから炎が出た。
それはナトの光よりも強そうな明るさを持って、遠くへと飛んで行った。
「な、なんで!?」
ナトもびっくりしている。ふふふ、私の方が才能があったようだな……
で、ナトが言っていたことに、1つ疑問が生まれた
「ナト、もしかしてなんだけどこれってさぁ、TRPGの魔法詠唱に使うやつだよね」
「確かに……」
「私思ったんだけど、イサキって私の……」
その後を言おうとした瞬間、前方に大きな煙が上がった。
「な、なんだ!?」
そう私がいうと、悲鳴が聞こえてきた。
「わぁぁぁぁぁぁぁ」
「特別暴風警報!!」
「ちょ、なにこれ!飛ぶ、翔ぶ!!」
「ぐ、剣士は空を飛んだ!!」
ナト以外の4人の声だ。私はすかさずある言葉を発する。
「何処かへと飛ばされていく方々に敬礼!」
「おい!」
「「「「おいーーーーーー!!!!」」」」
全員がツッコミを返す。なんてノリがいいんだ……
そして四人は何処かへと消えていった。ちょっとアニメのアン◯ンマンのバ◯キンマンがやられるシーンに似てるな……と思ったことは秘密だ。
「誰だ!」
真面目な顔に戻ったナトが背後の草むらにそう言うと煙の中から女が現れた。
「御機嫌よう。そしてさようなら」
そう言って女は手に持っていた杖をこちらに向けてきた。
紫色のウェーブがかった髪、奥深い紫の瞳がキラリとひかった。




