♯04
気が付いたら私は真っ暗な部屋に居た。
(あれ…ここはどこ…?)
声を出そうとしたのだが何故か声が出ない。それに体も動かせない。
ふと周りを見れば何人かの人影があったのだが、暗くて顔や性別を判断することが出来ない。
私と同じ状況なのか、周りの人影も何も言わず、ただつっ立っているだけだった。
(私…学校に居たのに…何これ…怖い…)
【能力者の皆様こんにちは】
(えっ…!?)
ぐらり、と真っ暗な視界が眩んだ気がした。
この声は、私を突き落としたとされる不気味な声。
【突然ですが今ここに都道府県戦争を開戦させていただきます。】
都道府県戦争…?
「それって…ネットで…」
体は動かせないままだが、声が出せるようになっていた。
すると周りの人影も、それに気付いたのか、一斉に何かを話し始めた。
私が聞き取れる限りだと、
「『都道府県戦争』…本当にあったのか!?」
「な、何それ…」
「怖い…助けて…」
などなどと。
声だけで判断すると、さまざまな性別や年齢の人間が集まっているようだった。
【都道府県戦争についてご存じない方もいらっしゃるようですね…まぁ、私の暇つぶしですよ。皆様はラッキーです…何故なら何でも1つ願いをかなえるチャンスを手に入れたのですから…都道府県戦争では皆様の能力を生かして最後の1名になるまで戦っていただきます…そして最後に残った1名の能力者は何でも願いをかなえる事が出来ると言う素敵な戦いです…実は密かに何回か都道府県戦争は行われていたのですよ。】
【さて、ここでルールを説明します。
あなたたち能力者の持ち物として、心珠という宝石が支給されます。
この心珠は、あなたたちのダメージに比例して傷がつきます。特殊な宝石なので、うっかり落としたりして割れることはありませんが、あまりにも傷が多いと落としてしまったら割れるかもしれません。
あなたたちの傷が回復しても珠の傷は治りませんのでお気をつけて。
この心珠が割れた時点で脱落となります。
あなたたち能力の制限は無し。しかし、能力者以外の人物…エキストラや建物に危害を加えたらペナルティ、心珠に少し傷がつきます。】
「あ、あの…負けたらどうなるんですか?」
誰かが問うた。
不気味な声は、
【それは私たちも知りません。】
と、答える。
そして周りがざわついた。
(知りません…?死ぬかもしれないって事…?)
【何かまたありましたら、こうして集まってもらいますね。では皆さん頑張ってください。】
ここで再び私の視界が暗くなった。
「あれ…」
「おいっ…!て、気がついてる?」
気がつくと私は長谷先輩に抱きとめられていた
「あっ…えと、すみません…」
「大丈夫か?お前急に倒れたんだぞ?」
倒れた…?
じゃあ今までのは一体…
「あ、あの…」
「どうした?」
「信じてくれないかもですけど…」
その時、どこかの教室のガラスが割れる音がした。




