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4、

前回は短編ですが、今回は本編の方です。

城の外に出たリン達を待っていたのは地獄絵図のような外だった。


「酷い…」


リンは唖然とした。ゴブリンがたくさん来ている。早くなんとかしないと城が落とされてしまうかもしれない。


「せ、戦闘開始!」


リンは全員に指示を出す。それから辺りを見回してある一点に目が行く。


「…! 待って!」


リンは渾身の力で叫ぶ。呼んでいる先にいるのは……ゴブリンの王だ。


「なんでリンはゴブリン王に話しかけてんだ⁈」


カイトが理解できないというように叫んだ。リンが駆けだすとゴブリン王達も動き出した。リンは腰にある愛剣に手をかけると鞘から思いきり、抜いた。


「邪魔ぁぁぁぁあああああああああああ‼︎」


そして、手当たり次第近くにいるゴブリンを倒して行く。倒すたびにおびただしい量の血が流れた。しかし、人間のように赤くはなく、緑なので特になんとも思わずに進んでいく。


「リン! 危ないっ!」


サーシャが危険を察知して叫ぶ。リンはそれをあらかじめ知っていたように回避してまた斬る。斬って斬って斬って斬って………。


「死神のようだ……」


アラキがつぶやいた。まさに今のリンにはその言葉が1番似合っているかもしれないと誰もが思うほどの戦いぶりだった。だてに1ギルドのマスターをやってる訳じゃないな、とも。


「当たり前よ、リンの異名は《赤い死神》だもの」


しれっと言っているサーシャだが、それを聞いたカイト達は絶句していた。


「あ、あの⁈」

「あるギルドを1人で壊滅させたと聞きますあのですの⁈」

「えぇ、そうよ」


あり得ない…、というようにつぶやくカイト達の反応は最もだろう。以前話していたドラゴンを倒したということもリンはすごいのだが、サーシャの言っている《赤い死神》はもっとすごい。

冒険者の街ルナハルタで、知らない者はそうそういないだろう。例えば、ある犯罪ギルドをたった1人で壊滅させたとか。βテストの時に1人で迷宮ダンジョンのボスを倒してしまったとか。その親友と2人で超難関クエストをクリアしてしまったとか。

ほとんどにサーシャも関係していたりするのだが、そこは言わないでいる。これ以上いろいろ言われたくないから…。


「待ってってば……っ‼︎‼︎」


なおさら激しくゴブリンを斬っていくリンにみんなは何も言えなくなっていた。そしてリンはあり得ないことを言った。


お父さん(、、、、)‼︎‼︎」

「え⁈」


ツカサが呆然と言った。

今リンはゴブリン王をお父さんと読んだのだ。


「ちょっとどういうこと⁈」


メグはあり得ないというように叫ぶ。叫びながらお父さんと呼ぶゴブリン王の後ろを追うが、移動速度が早すぎてついていけない。とうとう見失ってしまったリンはその場に座り込んでしまった。とりあえず大体の敵は倒したずだからサーシャはリンの元に走った。


「リン!」


遠くから飛んできたティターニアは座り込んでしまったリンを見て他の妖精にリンを部屋へ運ぶように伝えた。



「で? どういう事だよ」


戦闘が終わり、サーシャ達は城の庭にいた。四方を湖に囲まれた美しい庭である。しかし話している内容は少しも美しくない。

勿論さっきのリンが取った行動についでだ。


「え、と…」


ティターニアはどこから話そうか迷う。それは親友のサーシャでさえ知らないリンの闇の部分である。

やがてティターニアは話し始めた。



昨日、わたくしとリンで話をしました。

姿や声の感じからまさかと思ったのですが、リンの父親はこのゲームを作った張本人です。そして今はゴブリン王としてログインしています。

リンの話だと、母親は父親に巻き込まれてゲームのどこかにいるそうです。

今からだと4日前。リンは朝、父親にこのゲームで大きなイベントがあると言っていた。それがあの大地震ですね。これが起きたのは半分がリンのせいです。リンが製作者の娘なんですから。

その後、リンはありとあらゆる手段で父親と母親を探しました。父親がゴブリン王としてログインしているのはわかりましたが、母親は見つかりませんでした。

そしてわたくしの所に来たのです。


また、この世界で時間の流れが違うのはリンの父親が時間を動かして早めた、という結論に辿り着きました。

リンは今、父親に真相を聞くために頑張っています。そして同時に母親も探しています。

さっきも街の方から心話が来ていましたからね。



と、そこまで話してティターニアは話を辞めた。そして改めて口を開いた。


「リンは今も頑張ってる。だから、みんなも手伝ってあげて欲しいの。お願いします!」


サーシャ達は見合わせた後、みんなで同じことを言っていた。


「「「「「「わかりました!」」」」」」

「ありがとう」


ティターニアはサーシャにリンの隣にいて欲しいと頼んだ。サーシャは頷いて庭を出た。



部屋に入るとたくさんの妖精がリンを見守っていた。サーシャは全員に2人にして欲しいと頼む。妖精達はサーシャの言う通りに2人にしてくれた。リンの寝顔を見てサーシャは思う。

リンは無理をしていたんじゃないかと。

そういえばリンはこの4日間、ちゃんと寝ていたのだろうか。ちゃんと食べていたのだろうか。

サーシャがそんな事を考えながらうなっている時だった。


「ん…」


今まで眠っていたリンが突然目を覚ました。


「! リン!」


サーシャは直ぐにリンの顔を覗き込んだ。


「サーシャ…。なんて顔をしてるの」


リンの笑顔を見ると顔が緩んでしまう。


「聞いたんだね、あのことを…」

「うん。ごめんなさい」

「なんで謝るの。いいんだよ」


まったく、ティターニアは…。なんて言いながらリンは体を起こした。


「怒ってる…?」


唐突に切り出してきたリンにサーシャほ反応が遅れる。


「ふ、ふぇ?」


思わず変な声が出てしまったサーシャにリンはクスッと笑った。


「ううん、なんでもない」


またにっこり笑ったリンはとても生き生きとしていて少しカッコよかった。



次の日。

リン達はこの迷宮ダンジョンでの調査を終えてルナハルタへ戻る事になった。


「またいつでも来て下さいね。待ってます」


ティターニアはリンに言った。


「頑張ってお父さんとお母さんを見つけてね」

「うん、ありがとう」


リン達は手を振りながら、ティターニアが用意してくれたドラゴンに乗って雲の道を下りていく。

帰りは特に何もなさそうでなによりだ。リンはバックからノートとメモを取り出してメモをした。勿論内容はお父さんとお母さんについて。

サーシャはメモを取っているリンを見ながら微笑んでいた。



ドラゴンは頼んだ通りに、ルナハルタの郊外で降ろしてくれた。リン達が降りるとドラゴンは一斉に帰って行った。

後は歩きで十分である。リン達は歩くことにした。


「色々あったね」

「そうね〜。大変だったわ」


リンとサーシャがまず話し出した。


「メグとアラキとも再開出来たしな」

「そうですわ」

「そうですね」


カイト、シノ、ツカサが話す。


「本当だよね」

「うん、まぁね」


メグとツカサが話す。

改めてリンは思った。私はなんて素敵なギルドメンバーに恵まれたことだろうか、と。



リン達がルナハルタに近づいて来るとサーシャが言った。


「あれ? なんか街の感じが綺麗になった気がする」


確かにサーシャの言うとおりである。今までいたような、物騒なやつらがいない。

これはリンがなにか知っているようだったがリンがなにも話さないので取り敢えず触れないでおく。

まずはギルドホームから、ということでギルドホームに戻ることにした。


「あ! リンちゃんや!」


木で出来た扉を開けると始めに、久しぶりに聞いたヨウリの声。そして懐かしい家。


「ん? リンさん達、帰って来ました?」


次に聞こえたのはショウジの声。そして今度は後ろから声がした。


「おお! おかえり、リン」


キンカクだ。買い出しにでも行っていたのだろう。大きな袋をふたつほど抱えていた。

リン達は全員で揃って言った。


「「「「「「「ただいま!」」」」」」」



戻って来たお祝いとしてケーキを買ったキンカクがお茶にしよう、と提案したため、少しティータイムにすることになった。

リン達はそれぞれがいろいろ話し合い、リンから見て楽しそうだ、と思っている時。

リンはふと思い出してショウジに声をかけた。


「ねぇ、あれ(、、)どうなった?」


不安そうな顔をして聞いてきたリンにショウジは若干苦笑いのような顔で返す。


「進展なし、です。どちらも頑固で譲りませんからね」


リンとショウジが今話しているのはこの街の犯罪者ギルドについてである。

本来は昼でも表立って行動しているこの手のギルドの奴らがいたのだが、先日コウガに教えた手口で懲らしめてやったところ、大成功だったそうだ。

コウガ自身はあるひとことを言っただけなのだが。

つまり。


「《赤い死神》が来るぞ」


と。

そんな時だった。


「邪魔するぜ」

「失礼します」


2人の男がギルドホームに入って来た。1人はコウガだ。もう1人はギルド マスター•ブレイン のギルドマスター、ニガンダである。

入ってくるなり2人はリンに向かって頭を下げた。


「頼むっ!」

「い、や、だ!」


即答だった。

リンは以前から同じような話をされていたらしい。その度に何度も何度断ったそうだ。


「いい加減やってあげなよ。わたし達の評判にもなるからさ」

「評判になるのは私だけだもん」


ため息をつきたくなるほどのだだのコネっぷりである。


「マスター、彼らも大変なのです。ここは借りを作っておくのもいいことだと思いますよ」


リンは少し考えてから。


「まぁ、今回限りだからね…」


渋々というように受け入れた。その後、いつもの装備に着替えたリンはコウガからある廃墟の位置を聞くと1人で歩き出した。


「リンの後をつけるぞ」


コウガが言った。任せたのだからほっておけばいいのに、と思っても一応なんで? とアラキは聞いた。


「リンが《赤い死神》って呼ばれてんのは知ってるだろ? よく見ておけ。死神の名は伊達じゃないぜ」


ごくん、と唾を飲んだコウガに続いてみんなでリンの後を追うようにギルドホームを出た。


しばらく歩いたリンはコウガが教えた廃墟の前に来るとためらいもなく足を踏み入れた。


「おーい。犯罪ギルド、パンドラのギルマスいる?」


かなり能天気な声で挑発した。すぐに反応があった。しかし、どうも穏やかな雰囲気ではなさそうだ。


「あぁ? 俺らに何のようだ?」


やがてギルドマスターと思える男性が1人出てきた。その男性にリンはあっさりとかなり酷いことを言ってのけた。


「いや、さ。君達のギルドを潰そうと思ってね」


若干笑いながらリンは言った。その答えにギルドの男達は怒りに満ち溢れていた。


「はぁ? ざけんなよ、てめぇ」

「女1人に何が出来んだよ」


そうだね、とリンは真面目に返答する。


「抵抗しないなら簡単なんだけど、仕方ないね。容赦はしないから」


最後の方は本来にリンだったのだろうか。まるで何か違うものが言っているような感じだった。

途端にリンの体から殺気が溢れ始める。

トドメはこのひとこと。


「ねぇ? 《赤い死神》って知ってる?」


さっきまで威勢良くリンに怒号を放っていた男達は急に小さくなった。

リンの発する殺気に気づいたのだ。

逃げ出す男が続出した。どいつもこいつも我先にと逃げ出そうとする。


「遅いね」


たちまちリンの鋭い斬撃が繰り出される。

死ぬ、とまではいかないが軽く怪我をするくらいなら誰もがもう手負いだろう。


「こんなとこかな。今回はこれで許してあげるよ。でもまた何かするようだったら…《赤い死神》を忘れずにね…」


最後にハートマークが付くんじゃないかと思う程甘い声、そして笑顔でリンはまとめ上げた。

男達はというと、もうギルドだなんて思えないほどに壊滅状態である。

多分、誰もがこの時のリンを見て、恐ろしい…、と思ったことだろう。

それから、この人のギルドにいていいのだろうか…、とも。

また何か新しい小説が書けそうな気がします。

そんなことより、早くUPしろよ!って感じですがね…。

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