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2、

続きです。不定期なので3話がすごい後になるかもしれません。ごめんなさい。

ベア's シークレットのギルドホームで8人が丸いテーブルを囲んで座っていた。


「みんな、これを見て欲しい」


茶色ショートボブの少女、リンはアイテムメニューを操作してひとつのアイテムをだした。


「笛…?」


カイトが疑問を口をする。リンが取り出したのは笛だった。


「そう、笛なんだ。この笛は私とサーシャが昔、あるクエストの報酬でもらったの」


リンはそのクエストを簡単に説明して行く。


「NPCからのクエストで、まぁ簡単に言えば暴れているドラゴンを倒して、っていう感じのクエストでね」

「倒したんですか?」

「そうだよ」


ツカサが聞いた質問は誰でも聞きたくなるだろう。


「リンちゃん。ほ、本当なの?」

「本当です」


ヨウリは倒れるんじゃないかと自分で錯覚するほど驚いた。

ドラゴンといえば1体倒すだけで何人もの冒険者が挑む。いくらレベルが高い冒険者でも倒せない事さえあるのだ。


「はぁ〜。リンの無敵な強さはここからだったんだな」


カイトが妙に納得したようなことを言う。


「…話の論点を戻すけど、この笛は《竜呼びの笛》。つまりこれを吹けば竜が来るみたいなんだよね」

「で、」


リンの説明につけたしをするようにサーシャが話す。


「これはわたしが知ってる情報なんだけど、雲の上に迷宮ダンジョンがあるらしいのよ。それでこの笛がその迷宮ダンジョンへの道なのかな、って思ったわけ」


黒髪ロングの少女、シノが言う。


「それでそこはどんな迷宮ダンジョンなんですか?」


それにリンが答えた。


「まだ誰も行った事がないそうだからわからない。でも、すごく物知りのドラゴンが居るらしいって話」

「まぁリンがそのドラゴンに会いに行きたいんだって」


リンの真剣な話にサーシャが余計なことを言った。もう、なんて言ってサーシャをどつきながらリンへ説明を続ける。


「というわけで、一緒に行ってくれる人!」


見事に手を上げる人はいなかった。


「え〜⁈ なんで? 私一応ギルマスなんだけど⁈」

「いや〜だって、ねぇ?」

「あ〜うん、まぁ?」

「え、えぇ」


だって…とサーシャ、カイト、シノが言う。


「「「危ないし(ですわ)」」」


! リンの顔が驚きに変わる。そして。


「あ〜、崩れましたよ、リンさん」


ばたり、と倒れたリンを見て黒髪の青年が笑った。


「ショウジくん、見てないで助けてあげなよ」


助けてあげな、なんて言ってても自分も笑っている男、キンカクが言った。


「絶対笑い事じゃ有りません。なんでみなさんマスターに厳しいんですか」


リンを椅子に座らせながらツカサが言う。


「ツカサくん、これは厳しい訳じゃなくて、いじってるって言うんだよ?」


笑いながらヨウリが言う。


「どっちも一緒です」

「そうだー‼︎」


いつ立ち直ったのかリンが口を挟んだ。


「まぁリンのわがままは今に始まった事じゃないからね」

「仕方ねぇーな」

「そうですわ」

「はい」


サーシャの言葉に頷くカイト、シノ、ツカサ。

結局リンについて行くのはサーシャ、カイト、シノ、ツカサの4人になった。




「よっし! じゃあ出発!」


ルナハルタから少し出た郊外にリン達5人はいた。リンが《竜呼びの笛》を出して吹く。綺麗な音色だった。

しばらくしてその音に反応するように鳴き声が聞こえてきた。


「来たわね、ドラゴン」


サーシャが言ったとおり、目の前に5人が全員乗れる大きさのドラゴンが舞い降りた。


「よし、乗ろう!」


リンが真っ先にドラゴンに乗った。ドラゴンは暴れることなく5人を背中に無事乗せ、大空へ飛びだった。

しばらくして、ドラゴンが止まったのは雲の中だった。


「なんで止まったんだ?」


カイトがサーシャに聞く。


「さあ、知らないわよ」


2人がやりとりをしている間にシノがドラゴンと話をしていた。シノほモンスターをテイムすることが得意で、多くのモンスターと喋ることが出来る。


「今は時を待ってるそうですわ」

「待ってるんですか」


ツカサが納得したように言った。


「つまり、雲が開くか何かないと通れないんでしょう」


あぁ、なるほど。ツカサとシノ以外の3人が頷く。

その時、ツカサが言ったように雲が開けた。ドラゴンはそれを待っていたかのように再び飛び出した。

最初に見えて来たのは門だった。

ドラゴンは門の前で止まり、5人を下ろして何処かへ行ってしまった。


「ここがその迷宮ダンジョンだよ」


リンは目をキラキラさせて言った。


「役割を決めておきましょう」


サーシャの意見にみんなが賛成した。

リンは魔法攻撃重視のアタッカー。

サーシャは防御が得意のディフェンダー。

カイトは物理攻撃重視のアタッカー。

ツカサは補助が得意のサポーター。

シノは回復が得意のサポーター。

前衛はサーシャとカイト。後衛がリン、ツカサ、シノだ。


「ドラゴンはとても強い。だから戦うことになっても倒そうとは思わないで。足止めぐらいでいいから」


リンが念をおして言う。


「じゃあ開けるからな」


カイトが門に手をかざした。

全員がうん、と返事をしたのを確認してからカイトはかざしている手に力を込めた。


ギィィィィィィイイイイイイイイイイイイイ…


全体が軋むような音がして門が空く。リン達5人は暗闇に沈む門の向こうを見つめていた。


門の内側に入った途端、門が閉まってしまった。どうやら洞窟の中にいるようだ。


「今灯りつけるから」


リンが魔法スペルを詠唱する。


「【ルーンカムイ•セラネーデ】」


リンが詠唱を開始するとリンの周りに光が集まり始め、ひとつの漂う光の球になった。


「本当いつも思うんだけどリンの詠唱は無駄がないんだよな」


そんな事ないよ、とリンは言うが少し嬉しそうだ。

ツカサがMAPを見ながら進んでいく。しばらく歩くと前方に光が見えた。


「出口のようですわ」


シノが走って見に行った。残りの4人も後に続く。洞窟を抜けた時、その感動はすごかった。


「これは…っ」


リンは息を飲んだ。あまりにも美しすぎる。数々の緑、風に揺れる花々、さえずる小鳥達に、下は雲の道。まるで天国だ。

前方にドラゴンが数体いるのが目視できた。警戒することを言いながらリン達は奥へ進んで行く。

またしばらく歩くと少し開けた場所に出た。


「マスター、誰かいます」


不意にツカサが緊張した声で言った。

リンもよく目を凝らして見る。すると真ん中辺りに誰かが倒れているのが見えた。あの姿には見覚えがある。そう思った時、次の瞬間には走り出していた。


「メグ! アラキ!」


サーシャがリンの悲鳴にも似た声を聞いて驚愕する。メグとアラキは10人いるベア's シークレットのメンバーである。そして現実世界でリンの後輩なのだ。この3日間連絡が取れなかった為に心配していた。

カイトとツカサは空気を読んであたりの警戒の為にその場を離れた。


「どうした⁈ 何があった⁈ 」


リンはメグを抱きかかえ、呼びかけた。


「り、リン…」


微弱だが反応があった。リンはそれを確かめるとシノに言った。


「シノ、魔法スペルを彼に」

「了解ですわ」


シノはすぐに詠唱を始めた。

リンはメグから何かを聞き出そうと口を開いた時だった。警戒に出ていたカイトから心話が来た。


『リン! 敵襲だ! 数、13。そんなに大きくはない!』

「了解した!」


リンはテキパキと心話を繋ぎ、応戦体制に移行させる。


「サーシャは正面から来る敵の足止め。カイトはサーシャが足止めした敵から攻撃。ツカサは回復に回って。シノはそのままアラキの回復を! さっきも言ったけど倒そうとは思わないで!」

『『『『了解っ!』』』』


サーシャはまず全方向に発動できる足止め魔法スペルを発動させる。それに加えてカイトが剣を抜いてスキルを発動させる。


「【カチノプメリーズ】!」


これはサーシャが足止めしたドラゴンに当たった。しかし、


「HPが減らない⁈」

「だから足止めでいいの‼︎」


ドラゴンのHPは1割いったかいかないかくらいしか減っていない。ハイレベルのカイトが放ったスキルさえ、この程度のダメージしか与えられないのだ。当然まともに戦うべきではない。


「きゃあ!」


足止め魔法スペルにかからなかったドラゴンが前足を振り上げた。サーシャは必死によける。しかし、巨大な爪がサーシャを襲う。


「大丈夫か⁈」


カイトが聞いた声には恐怖がほんの少し混じっていた。サーシャの左腕が血をボタボタと流していたからだ。


「だ、大丈夫…。でもダメージを受けると結構ヤバそうね。HPとかの前にわたし達自身が、だけど」


ツカサがサーシャの傷に魔法スペルをかける。するとたちまち傷が消えて無くなった。


「よかった。魔法スペルで傷は治るみたいですね」

「だからって油断は出来ないぜ」

「そうね、魔法スペルが使えないくらいメタメタにされたら終わりだもの」


3人はそれぞれ背中合わせに立った。


「ツカサはリンの指示を聞いて!多分そろそろ撤退の話が…」

「サーシャさん! 撤退です! 近くの大きな木の下にいるそうです!」

「よっしゃ来た!」


ツカサがリンからの撤退を伝えるとサーシャは魔法スペルを発動させた。


「【ルーンカムイ•ゼラン】!」


さっきリンが発動させた魔法スペルよりずっと光が眩しい球がいくつも浮かんだ。そしてそれは空中で弾けた。その光にドラゴン達がひるんでる間にサーシャ達は走ってリンが待っている木の下に向かった。


リンがメグとアラキの回復をしている間にサーシャ達が帰って来た。


「全部倒さないて足止めだけして来た。それと…」


サーシャはリンにそこまでは言った。


「それと?」

「いや、なんでもないわ」


どうしても次の言葉が言えなかった。自分が怪我をしたこと、血が流れたこと。カイトとツカサはサーシャの気持ちを理解し、それ以上何も言わなかった。


「メグは何か言ってた?」

「あれからまだ起きてないですわ」


カイトの質問にシノが答えた。


「う、うぅ…」


2人の後ろでメグが目を覚ました。


「メグ? 私が分かる? リンだよ」

「分かるよ、大丈夫」


リンはまずメグの意識がちゃんとあるこもにホッ、とした。そして今度こそ何があったのかを聞く。


「なにがあったの」


メグは唾を一回飲んでから話し始めた。


「あれは3日前、わたし達は学校からログインしたんだ。でも前回のセーブ点がある迷宮ダンジョンの中でね。そこであの地震。気づいたらドラゴンの群れに囲まれててそのまま雲の上まで連れてかれちゃったの」


メグに代わってアラキが説明を続ける。


「そして連れてかれた先がドラゴンの巣だったって訳です。全然敵わなくて大変でした。そこで来てくれたのがーー」

「私達だったのね」


リンは納得したように言った。


「それでリンはなんでここに?」


メグの質問にリンはこの3日間のことを伝えた。


「…死んだらヤバかったね」

「うん…」


話を聞き終わったメグとアラキは真っ青な顔で言った。それはそうだろう。2人が倒れていた時、HPはかなり危なかったのだ。死んでいたかもしれない。


「本当、ありがとう」


メグが頭を下げる。


「お互い様ですわ、メグさん」


シノがみんなを代表して言った。そしてリンが続けていう。


「2人をこのパーティに入れよう」


誰もリンの意見に反対しなかった。




こんな事もあり、先にどんどん進んで行く。途中トラップがあったり、モンスターに襲われたりしたが、何とか一番奥だろうと思われるところまでやって来た。

目視出来るところに謎の影が浮かびあがる。


「リン、あれドラゴンよ」


サーシャの言うとおりあれは巨大なドラゴンだ。学校の校舎と同じくらいのあるんじゃないかと目を疑うほどに大きい。


「とりあえず、近づいてみよう」


リン達はそれぞれ剣や杖を抜いて、少しずつ近づいていく。あと5mちょっと、と言ったところでドラゴンの巨体がやっと見えた。どうやら眠っているようだ。スヤスヤと寝息を立てている。


「寝てるぜ、このドラゴン…」


カイトが緊張を含んだ声で言う。

誰でもこんなのを見てしまったら怖くて逃げ出してしまうかもしれない。そうリンが思った時。


「あっ!」


シノが足元の小石につまずいて転んでしまった。その音に気付いてドラゴンが片目を開ける。

ヤバイ。確実にヤバイ。少しでも動いたら殺されてしまう。誰もがそう思った時だった。


[…地上の人間ではないか。む、リン?]


は? 今度は誰もがそう思っただろう。ドラゴンが喋り、あまつさえリンの名を読んだのだ。

そのドラゴンの反応にリンは言った。


「もしかして…。リャーヌ?」


またまた誤字脱字がありましたらコメントお願いします。次回もよろしくです。

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