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あなたからのプレゼント ~3月27日~


お久しぶりです……


四ヶ月も更新していなくてスミマセンっ


今もなお、お気に入り登録をしてくださっている方々!!

本当にありがとうございます!!





3月27日。

私はベッドの中にいた。

ずっと胸が痛くて、頬を涙が伝った。


 ──会いたい……


……もっと()を知りたかった……


頭から()が離れなかった。


「──っ!!」


突然、鋭い痛みが走る。


……やっぱり、彼と会っちゃいけない。


彼を苦しませるだけ。


 私は、もう──……





「美琴ちゃん? 調子はどう?」


女の人の声が聞こえ、私は声のしたほうに顔を向けた。


「あ……先生……」


そこには私を担当してくれている先生がいた。


「えっ?! ど、どうしたのっ?! ……何かあったの?」


先生は私の頬を伝う涙を拭いながらそう言った。


 ……話して、みようかな……


「ねぇ……先生……。……聞いて、くれる……?」


先生は優しく微笑んで頷いてくれた。


私は彼のことや、この胸の痛みについて先生に話した。

先生は時々頷いて相槌を打ちながら私の話を聞いてくれた。


──話し終わると、先生は優しく私の頭を撫でながら


「会ってきなさい」


そう言った。


「……え? でも」


「折角生きてるんだから、楽しみなさいよ!」


「でも、彼が苦しみます……」


「彼には“これから”があるでしょ。

あなたにはもうあまり残ってないのよ?

それくらいやってもバチはあたらないわ」


そう言うと先生は部屋のドアを開ける。


「昨日と同じ時間に、また行ってきなさい」


そう言って部屋を出て行った。


「……うん」


誰もいない部屋に私の声だけが響いた。


その声はどこか嬉しそうだった。




時計の針が9時を指す。

昨日と同じ時間……。


私の足は自然と、桜ノ宮公園に向かっていた。


あなたにまた会える……


心が躍った。



公園に着き、あなたの姿を探すが見当たらなかった。


私は昨日と同じようにブランコに腰掛け、空を見上げる。


──しかしそこに、私を照らす月も無ければ、星も無かった。



「……ママ……?」



あぁ……やっぱり、来なければよかった……。


 ──一人に、なっちゃった……。



「……っ」


呆れちゃったのかな……。


自分の望みを叶えるために、

人を傷つけようと、苦しめようとしている私に。


 ──ごめんなさい。


頬を、涙が伝った。



一人に、しないで……。


怖い……。



「つ、ばさ……翼……」


私の声は闇に消えていく。


私の目に、黒しか映らなくなった。


 嫌だ……怖い……



まるで……




  死んだみたい……





お願い──




「──助けて」







「笑って……?」


ふと、そんな声が聞こえた。


顔をあげると、そこにいたのは──


 ──あなた(・・・)だった。



「これ、あげる」



あなたが差し出した手の中にあったのは、

しだれ桜のしおりと──


「桜……しだれ桜……。

これは……私……?」


咲き誇るしだれ桜の中に、切なげに星空を見上げる少女──私の姿があった。


「そうだよ。僕、絵描くの好きなんだ。……というより、得意ってほうかな」


あなたは照れくさそうに笑う。


「……ありがとう」


自然と頬が緩む。


一人じゃないという安心と、

自分のために動いてくれた存在がいるという驚きと、


──あなたにまた会えたという喜びが、胸いっぱいに広がる。



「やっと……笑ったね」



「え……?」


「やっと、笑った」


あなたは私に笑いかけてくれた。

私も笑みを浮かべる。


「……──あの…さ…。

  友達になっても…いいかな…?」


恐る恐るというように言ったあなたの言葉が、

すごく嬉しくて私は笑顔で答えた。


「もちろん」


するとあなたは花のような笑顔を咲かせ、

「サンキュ!」と言った。


そして──




 「また明日」





そう言い残し、走って行ってしまった。


(……また、会えるんだ……)


それが当たり前だ、というようなその言葉に、

私は再び笑顔になった。



久しぶりの、心からの笑顔だった。







読んでいただき、ありがとうございました!


今後(今までもでしたが)名も無き物語のほうを中心に更新させていただきます。

更新が不定期になる上、相当遅くなってしまうと思われます……


本当に申し訳ございませんっ



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