あなたとの出会い ~3月25日~
翼、登場ですっ!
「…どうして、泣いてるの…?」
その言葉で初めて自分が泣いていたことに
気づいた。
隣のブランコから聞こえたその声は、
安らぎをくれるような優しい音色を持った、
少し低めの男の人の声だった。
私は涙を拭い、そして答える。
「やっと…会えるから…。」
すると彼は「そっか…。」と呟くように
言い、そして私と同じように夜空を……星を
見上げた。
私は何気に彼の方に目をやった。
そこには、月明かりで茶色の見える黒髪を揺らし、
柔らかな微笑みを浮かべる
〖あなた〗の姿があった。
こんな顔する人もいるんだ、と思った。
それと同時に
──関わってはいけない……
そう思った。
関わりを持てば、私はきっと、
知りたくなる。
〖彼〗を……〖あなた〗を……。
そして、辛くなる。
私も、あなたも。
だから、彼に関わっちゃいけない。
────でも。
でも……もう少しだけ一緒にいたい、
と思った。
……あと、もう少しだけ……
私は再び星空に目を向ける。
──不思議と、明るく見えた……。
「きれいだよね。」
思わずそう言った私に、
「そうだね。」
そあなたは返す。
──これが、あなたとの出会い。
私は……
絶対に忘れない。
その夜は、私にとって
大切な思い出だから……。