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DOG RACE  作者: miku
2/6

そして、強くなる

                 第一区 軍事施設 廊下 一週間後


黒縁めがねに、明るい茶髪。

めがね男は目の前にいる上司に、今まさにドロップキックをしようとしていた。


「いやー楽しみっすねぇ、総隊長!今日は新隊員が入ってくる日っすよ!」


獒の言葉に雷斗は顔を曇らせた。


―一体、何が楽しみなんだ。隊に入った瞬間、新人だってライバルろうが・・・


「めでたい頭だな」


「え?なんでっすか??」


本当に何の事か解っていないらしく、獒は目を丸くしている。

文字通り力が物を言う第一区の隊。

一日で下克上だってあり得る。

雷斗は嘆息し、獒を哀れむように見た。

その時、二人の背後から走ってくる足音がした。

大股で助走をつけるよな足音。


「?」


雷斗が振り返ったとき、二本に揃えられた靴の裏が顔面に迫っていた。

雷斗のではなく、獒の顔面に。


「ぁっ」


小さな声と共に、鼻の骨が折れる音がした。

獒は勢いでそのまま廊下のすみまで転がり、壁に激突した。


「・・・・・・・・」


獒を蹴った本人は、髪をかき上げ雷斗へと向き直った。

黒縁めがねに明るい茶髪。へらりとした顔。

抜けた表情が羽黒に少し似ている。


ビキッ


「あんたが総隊長だよなぁ」


「口の利き方に気をつけろ」


「は?んだよ」


ビキッキキッ


雷斗は首を鳴らして周りを見た。

ほかの隊員達の野次馬が集まっており、成り行きを見守っている。

なぜ、ほかの隊員は手を出さないか。


「調子に乗るな。新人」


・・―手を出すまでも無いからだ

雷斗は首を鳴らし、一蹴りでめがね男まで距離を詰めた。

どこからか出した警棒をかまえ、突き出す。

その速さにめがね男の反応は遅れ、警棒は見事にめがね男の喉を潰し上げた。


「かっっはっ・・・・・・!!」


痛みで目を白黒させ、めがね男は倒れた。

咳き込む男を冷たく見下ろし、雷斗は獒の元へと歩み寄る。


「獒」


「ヴー・・・・・」


手をつき、うなり声を上げる獒の頭を雷斗は思い切りひっぱたいた。

獒は驚いたように、雷斗を見上げた。

獒の目元や首筋には青い血管が浮かび上がっている。


「落ち着け」


「・・・・・・・・・・・・・・っす」


獒は立ち上がると、ぎろりとめがね男を睨んだ。

そんな獒の肩を雷斗は叩き、歩き出す。


「可愛い後輩でよかったじゃないか」


「笑えないっすよ」


元々、獒の性格上不意打ちは嫌いなのだが、一週間前の襲撃事件以来それに拍車がかかっているようだ。

その証拠に、獒は目を血走らせめがね男を黙って睨んでいる。


「行くぞ」


雷斗に促され、獒はようやくめがね男から視線を外した。

一方、めがね男。

河合かあい 宗助そうすけはこうして苦々しいデビューを飾った。

その苦々しいデビューをバネにして昇進し、副隊長間近になることは宗助本人も知らない。








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