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こんなに  作者: アロウ
3/8

3:願望の途中


扉を少し開き、中を確認する。


「…帰った?」

「うん、追い返した」

「は〜、よかった。っと、ゴメンごめん」

「ホント、君はあたしの親が苦手だねぇ〜」

「しょうがなくねぇ?俺、お前が倒れたときに一緒にいた上に、その直前まで寒空の下で待たせてたんだぞ?今の俺は人ではなく、ただの罪悪感の塊なんだよ」


ケラケラ笑った後、イリがふぅと小さく溜め息をついた。


「大丈夫か?俺、うるさかった?疲れたなら寝ていいぞ???」

「お、あたしが病気だと優しいんだ?」

「俺はいつでも紳士だろ」


いつもの調子でちょっとふざけて冗談を言ったら、いつも通りにイリは


「…そうだね」


返してくれなかった。

え?どうしたんだろう。いつもだったら

「え〜?君が紳士だったら、世界中の男が紳士だよぉ」

と笑いながら言ってくれるはずなのに。


「…やっぱ、疲れてるのか?」

「え?うぅん。なんで?」

「いや、なんか反応がおかしいっていうか…ごめん、何言ってんだろ、俺。帰るわ。じゃ!!!」

「え、あ…うん、バイバイ…」


どうしたんだろう。変だ。イリが変だ。俺も変だ。妙に気を使う。いつものあの砕けた会話が嘘のようだ。


病院から帰ってきて部屋の中をウロウロしていると、いろんな事を想像してしまった。


イリの病気は、重いのだろうか


イリの病気は、治るのだろうか


イリが病気でどんどん変わっていったら


イリの病気に対して、何か出来ることはあるのだろうか




怖かった

前のような平穏を、切に願った




現実とは、善であれ悪であれ強い思いの方を反映する。

それが現実と離れようとも…


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