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裸でゴメンあそばせ?  作者: 市太郎
裸でゴメンあそばせ?
29/32

29.いつか王子様が

 

 よく言うよね。

 いつか王子様がって。

 サムデイとくればオーバーザレインボウかと思っていたら、やってきましたよ王子様が。

 いや、私が会いに行ったわけだけどね。

 髪から口の中から耳の穴から股の穴まで武器を隠してないかを調べられ、用意されたドレスを着せられ、同じく用意された馬車に乗せられお城へ行きましたよ。

 お城の真正面にある大きな門ではなくて、業者が出入りするような裏門を潜ったのは夕方を過ぎたころだから、部屋へ案内されたときはだいぶ暗くなってきたって感じ。

 オーナー弟も一緒で、案内された部屋で用が済むまで待機しててくれるんだって。

 時間が少しあるからって出された軽食を平らげつつ、どういうことなのと今更ながらに聞いてみましたよ。

 私が作曲したということになっている曲が切っ掛けらしいんだけど、劇団と呼ばれるのが二種類あって街の劇団と旅回りをする劇団と二種類あるんだって。

 曲を教えた生バンドの人達は元々東の国を拠点にしていて、楽曲提供もうちの館から近い街に劇団を構えてたところへ流したらしいのよね。

 で、珍しい、斬新だってことで火がついて、取り込んだ旅回り一座がこの新西の国へと到着し、演じたところを王子様の目に付いたんですって。

 そりゃぁ、斬新だろうね。組曲の中にソーラン節やら東京音頭やらに混じってJ-POPがあったり洋楽のヒップホップやらラップが入ってんだもん。

 空恐ろしくて未だに観に行けてませんよ。

 この王子様、第三王子だとかで芸術方面に造詣が深いとか。

 こんな斬新な構成初めて! 一度会いたい! って流れから、どうやって調べ上げたのかオーナー兄弟までコネをねじ込んできたんですって。

 ふぅんって感じ。

 というか、私は芸術方面に造詣深くないので、音楽の構成とか聞かれても困っちゃうんだけどなぁ。

 ちょっと恨めしい気分でオーナー弟を睨んだら、ひたすらごめんなさいされてしまった。

 くどいけど、もうこんなのは無しだからね。とだけ念を押しておいたところで、王子様のお支度が整ったからとお迎えが来ましたよ。

 何か身分がどうとか、弁えろてきなこととか、廊下を歩きながら居丈高な注意事項をあげてましたけど、まぁ右から左へスルーしておきました。

 権力者には逆らいませんよ。大人しく従順に『お仕事』をこなすだけです。

 通された部屋で待っていたのは二足歩行のまんま虎さんでした。

 獰猛っていうより温和な雰囲気で、良いところのお坊ちゃんって感じ。

 虎にベビーフェイスって言えるのか分からないけど、甘い雰囲気が素敵。

 体だってガッチリしてて格好良いし。よくよく考えれば王子様とか会う機会ないしね!

 ちょっとテンション上がるわぁ。

 自己紹介の挨拶から始まって、ウキウキキャッキャな気分で軽くお酒を飲みながら歌劇の話に触れたりして、頃合になって『お仕事』を済ませましたよ。ちょっとサービスはしておいたよ! 王子様だからね!

 高慢女を始めとしたお城の人達は感じ悪かったけど、王子様はなかなか良い人だったね。うん。

 優しくしてくれたし、女の扱いにも慣れてるみたいだし。

 アチラの相性もまずまずなんじゃないかな? サービスも気に入ったのか報酬とは別にチップ弾んでもらったしね。

 用も済んだしお湯だけ借りてさっさとお暇しましたよ。

 せめて夜が明けてからって引き留められたけど、そういうのってよく分からない。

 確かに『お仕事』はしたけど知らない人だし、時間が余って添い寝をすることもあったけど、それって料金が勿体無いからって理由だったし、初対面の人と会話を弾ませたりすんの面倒なんだけど。

 『仕事』の一環として残れというのなら残りますが? って返したら帰っても良いって言ってくれたので引き上げることにしたのよ。

 久々だったからあとで筋肉痛にならないと良いんだけどなぁ。なんて思いながら宿に戻ってぐっすり眠ったんだけどね。

 次の日は遅めに起きて身支度を整えて、朝食兼昼食を済ませてそろそろ出発しましょうかってころですよ。

 お城から使いがやってきましてね。

 何でも、第三王子の後宮に入れてやってもいいと思っているから、もう一回登城するようにですって。

 あらやだ。これって、玉の輿のチャンス?


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