79.私─epilogue
最初の世界は嘆いていた。
それは大きな大きなリソースを抱えては同じくらいの可能性を孕んでいたのも影響していた。
結論から話すと失敗したのだ。
その世界は何も無い所に生まれた訳では無い。
何もかも有った所で生まれたのだ。
その全てを吸い込んで犠牲にして生まれたのだ。
始まりは? と言われるとそれこそ分からない。
ただ、生まれてはその庇護下で生命は育まれては過ちを犯しては世界は分かたれただけなのだから。
そうして、世界は枝分かれの様に分かれていく。
全ては愚かな選択故の結果だったろう。
そして、生き残った世界があった。
それが奇跡の世界だと世界は認めるに留めた。
世界の境界線は曖昧なのだ。
全てが隣人で、全てが隣人ではない。
だから、その星を見掛けた時は2度目だったけれども、会話をしてしまった。
世界を内包せし者だった。
私は嘘をついた。
私が1つ目の世界だからだ。
後は揺蕩うような子供みたいな者だ。
彼女はいつか、私を追い掛けて来るだろうか?
いや、来ないかも知れない。
けれども、私は少しだけ気付いてしまった事がある。
彼女の世界は既に生まれていた。
それは私と似てるのではないかと。
そう思うと、私という世界ももしかしたら、誰かの一部なのかも知れない。
──。
これは鶏が先か卵が先かというやつだろうか?
彼女に懐かしい気配を感じた気がした。
きっと、彼女は彼女の世界をも愛してくれるだろう。
そして、私は今日も隣人の世界を覗きながらも揺蕩う。
私の世界の住人の生活もたまには覗きながら。
そうやって、世界は巡っていく──。




