74.表─冒険者の街レイスト再び。
「や、やっと…落ち着いたぁ」
ぐはぁ〜とテーブルに身体を投げ出してるのは私だけじゃない。
リコも、セリアも私と一緒に身体を投げ出している。
心無しかウルも床に伸びてる気がする。
「それにしても、本当に街の角というか一角ですね」
「だねぇ。まさか一等地の端っこの端だとは思わなかったけれども」
「でも、物件があって良かったんじゃないでしょうか?」
「確かにぃ〜」と、声を間延びさせてはセリアに応えてしまう。
家が決まるまでの間はアメリアの下で生活させて貰っていたのだ。
元々、王都セントリアから出る際もアメリアは亜空間を秘密の下に解禁してくれて、私達の荷物も収納してくれては旅に出た。
それから1週間はレイストに着いてからも、返事が無かったけれども、先日冒険者ギルドから無事に通達が来たのと、セリアの貴族を示す勲章も届けられて、晴れてセリアは貴族に、私とリコは従者に召し抱えられる形になれた。
まぁ、お給金は自分達で稼ぐのは変わらないから形だけに留まっているけれども。
「ふふ。おめでとう。そうなると、後はある程度指定してくれた所に家具とかは置いてあげるね。後は、若い子の頑張りどころかな?」
そう言って、家にアメリアをお誘いした時に家具とかを全部置ける所に出して貰ってはやっと片付いたのだった。
「時折、私は様子を観に来てあげよう。ちゃんと生活するんだよ?」
「アメリアはどうするの?」
「ふふ。前に話した通りに世界の中心に向かうよ。大丈夫、私が居なくてもウルが居るからね。何かあればウルを頼ってみるといい」
「ウォン!」と、ウルは任せてと言った気がするけれども。
そんな言葉と共にアメリアは旅立ってしまった。
まぁ、突然の別れではない。
私達に打ち明けてくれた時や、レイストで家が決まるまでの間に挨拶は済んでいる。
私達は改めて、アメリアを見送るのに否は無かった。
「今日はもう疲れたから、私はこのまま休もうかな」
「確かに、私もギルドのお仕事は今日はお休みだから…」
「私もどうしましょう? 商業ギルドと錬金術ギルドの窓口のお仕事の紹介……」
「でも、明日からでも大丈夫なんでしょ? アメリアの推薦だもん。向こうも悪くは思わないよ」
「それにこれから忙しくなる夕方になるから、明日のほうが良いと思いますよ?」
「そう? なら、私も今日は休んじゃおうかな?」
「よーし! お風呂入ろう! その後はご飯で!」
そんな私の掛け声と共に私達はズルズルと身体を動かしては動き始める。
そんな明るい日常が今日から私たちは始まるのだった。




