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私、食べる、そして──。  作者: 御伽ノRe:アル


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73.私─それぞれの選択。

「開門ー! アメリア及び、その関係者どうぞ、こちらへ」


王の謁見室前にて騎士団の1人の言葉と共に両開きの大きな扉が開かれていく。

私と、ステラ達は中に呼ばれては進み出ては「ここまで」と、アレは宰相だな。彼の言葉でその場で跪いては臣下の礼を行う。


「うむ。面を上げよ」

本来なら2度は必要なのだろうか?

だが、今回はそれではいけないだろう。

こちらから交渉を持ち掛けるのだから。


その王の言葉に応じて私は面を上げては王を見据える。


「此度は改めて、良くやってくれた。それに免じて褒美を与えようと思う。率直にそなたの願いを言うが良い」

ああ、これは良い傾向だ。

王家、ひいては集められてる貴族の目が私に向けられる。


「では、私の願いを伝えたく。かのセリア王女に貴族の爵位を1代限りの男爵位を褒賞として譲渡した旨でお願いしたく。そして、従者としてコチラのステラとリコを取り立て、領地は直轄領の冒険者の街レイストの一角を与えて貰いたく!」

ザワザワと貴族連中の一部が慌てているが、下位貴族の一部だ。

王、王家、ひいては高位貴族に限っては納得した様に頷いては微笑みさえ浮かべている。


そう、これは決められたシナリオだ。

私のシナリオだ。

既に夜闇に紛れては関係各所には暗示を、そして、その上で褒賞へ対しての請願書は出している。

止められる同意は無い。


「……分かった。その願いを聞き届けよう。今、ここに王家セリアは男爵位を得て、セリア女男爵として新たに身を立てる事に宣言する。そして、我が直轄領の冒険者の街レイストの領地の一角を褒賞として与え、同じく従者としてステラ、リコを取り立てる事を許可しよう。これにて褒賞の儀は終わりとする!」


「寛大な王の処置に感謝するように! 下がって良いぞ」


「はっ! 有難き幸せ」

最後にもう一度深く礼を取っては私達は退室していく。

セリアが少しだけ、王様…いや、父親、ひいては本来の家族に対して、少しだけ諦観したような感じになってしまっていたのは致し方ないとは思うが、もう取り返せるような段階は過ぎてしまったのだ。

それに彼女は王家の血を確かに引き継いでいるが、今は王家から切り離されての1代限りの貴族だ。

その子供達に関しては平民扱いになるが、褒賞で得られた領地は滅多な事が無ければ反故になる事も無いだろう。


「さて、今日から忙しくなるな。もう今の住居は引き払っては冒険者の街レイストに向かわないとな」


「えっ? 通達みたいなのは待たなくて良いの?」


「ふふ。そこら辺は今の住居は冒険者ギルドを介しても契約を結んでいるからね。話す際に、今回の褒賞の話も見て、王家側にも既に請願書という形で今後は冒険者ギルドを介して連絡を取れるようにお願い済みだよ」


「流石、アメリア」とステラは納得顔をしているが、ステラ、リコ。後は私もだろうけれども、冒険者ギルドにはお世話になっているからの手段でもあった。

何も関係無ければ冒険者ギルドも請け負ってはくれては無かっただろうことは容易に想像がついた。


「セリア、大丈夫かい?」


「うん。ありがとう、アメリアさん」


「なに、これで本当に家族みたいなものさ。アメリアと呼んでくれたまえ。私の大事な娘なんだから、さ」


「は、はい…」

セリアは涙脆いのは今に始まった事ではないだろう。


「私も冒険者ギルドのお仕事卒業なのでしょうか?」


「そうなると、私も冒険者を卒業?」


「何を言ってるだい? 従者としても働くけれども、雇用内容は雇い主はセリアになるんだ。彼女が頷けば今まで通りに働けるし、何よりもあくまでも領地を得られると言っても一角だ。本当に家を建てられる位の土地だぞ? ちゃんと従者として働きなさい。後はセリアも働かないとだぞ? 形としては名誉貴族的な扱いなのだから」


「えー?! なんだか、一気に世知辛い感じになった!」


「そうなると私は住まいだけは確保したようなイメージなのかな…」


「が、頑張って働きます…」


「クゥン…」

あっ、ウルも沢山褒美を貰えると思っていた口だったのか。

なるほど、それは私の失念していた点だった。


「そうなると、今夜はこのまま豪勢に食事でも食べようかね。明日は冒険者ギルドで手続きをして、早めに乗合馬車でも見つけてはレイストへ向かうよ」


「家具とかはどうするのですか?」


「んー? 心配要らないよ。明日になれば分かるさ。さ、何を食べたいんだい? 今日の私の財布の紐は緩いぞ?」


「あっ! なら、あそこの定食が!」


「いえ、ステラちゃん。それならもっとディナーの高い所で」


「わ、私はスイーツが…」


「ウォン!」っと、(肉!)とウルのリクエストも聞こえてくる。

今夜は長くなりそうだなと、私は思いながらも王城からの帰路に着くのだった。

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