70.表─卒業式。
「ど、どうかな? 変じゃないかな?」
「私、似合ってるでしょうか?」
「へ、変じゃないかな?」
「皆、とっても綺麗だよ。うんうん、大丈夫。」
「ウォン!」と、ウルも同意するように尻尾をパタパタと振っている。
あれから4年。
早いものだと本当に思う。
綺麗な衣装はアメリアが作ってくれたものだ。
夜な夜な、チクチクと作っていると思ったら衣装だった。
裁縫のスキルというか、センスもあるとは知らなかった私は驚いてしまったのは懐かしく思う。
「ほら、早く会場に行ってらっしゃい。私も後から入るからね」
「うん!」と、アメリアの声に頷いては私達は会場へと入っていく。
今回は全員参加で、父母やその保護者などの参加も認められては大々的に告知されていた。
異例とも言える対応だったけれども、アメリアからは「気にしない気にしない。むしろ豪華な卒業式になるのだから喜んで良いのさ」と言われた位だった。
けれども、確かに卒業式後は立食パーティーを想定されているのか。
テーブルが用意されていたりしており、手の込んだ仕上がりになっていた。
「えー、では卒業式を始めさせて頂きます。では、校長、ご挨拶を──」
「この度は、こんな素敵な日を迎えることを大変喜ばしく感じております。今回は王家の方々、貴族様からの支援も有り、このような晴れ舞台を用意出来ましたのも感謝の言葉が尽きません。そんな今年度の卒業生も無事に大きく育ってくれて、心より嬉しく思っております。では、本日は立食パーティーもご用意しておりますので、早速卒業式の方を始めさせて頂きたいと存じ上げます。では、私に呼ばれた卒業生から、コチラに。卒業証書を授与致します。では、最初は──」
校長先生の呼び掛けに合わせて、呼ばれた子が壇に上がっては卒業証書を受け取っていく。
パチパチと重ねて、拍手が起こっては皆が幸せそうな顔に包まれていく。
「ステラくん──」
「リコくん──」
私もリコちゃんも呼ばれては、それを嬉しそうにアメリアも拍手で迎えてくれた。
そして「セリアくん──」と、校長先生が呼んではセリアが緊張した様子で壇上に上がった際に事件が起こった。
パリーンと窓ガラスが割れては黒ずくめの人達が飛び込んで来てはセリアへと向かっていく。
「え?」と、私が呟いている最中に横からアメリアが飛び出して行ってはセリアへと向かう凶刃をアメリアがドレスの胸元から出した短刀で受け止めては弾き返していたのだった。




