69.私─王都錯綜①
ステラ達も気付いたら更に綺麗になったと思う。
成長期も終えたステラ達は私と目線も同じだったり、越えられたりしていた。
私? 私は不老不死のスキルがあるから良くも悪くも時のリズムが違うのが悲しい所だろう。
いつか、その事実は如実に出てくるだろうから。
それへの向き合い方も考えている所だった。
でも、今はそれよりもステラ達の成長が本当に喜ばしかった。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
うん、この見送りの挨拶も嬉しい。
私の宝物だ。
宝物だからこそ、守りたい。
王都は今、貴族階級ひいては王家も巻き込んで1つの問題に行き交っていた。
そう、セリア王女への対応だ。
彼らにとっては目の上のたんこぶであって、彼女の大人への一歩は喜ばしい事ではない。
王家、ひいては貴族の建前として、忌み子としてもちゃんと育てていたけれども、不幸な事故で失くしてしまったというのが彼らの書いていたシナリオだったのだ。
それを私は引き裂いたのだ。
元からあったシナリオが無くなった彼らは混乱に陥った。
誰が、忌み子を引き取るか。もしくはもう一度亡き者へとする為に画策するか。
どれもこれも、幸せとは別物の悍ましい対応のやり取りだ。
これらの情報は暗部の人達を呑み込んだ際に得られた記憶が活きてきていた。
その後は私自身が合間を縫っては隠密で聞き齧った情報でもある。
だから、私は考えていた。
結局、私自身の問題もあるのだ。
不老不死の問題が。
いつかは娘達とも適切に離れていかないといけない。
だったら、離れても大丈夫なようにもしてあげたいのが親心だと思う。
だったら、どうすべきか。
彼女達は何処で、どういう風な立場で生活するなら幸せに生きれるか。
私は色々と最近は考えていた。
それを実行する時が来たとステラ達の卒業式、いわば、この国では成人として認められる時に決行する事を考えていた。
丁度良いように残りの暗部の方達も貴族との繋がりで動いてくれるようだった。
一部の権力者や王家の方々には夜な夜な寝室に忍び込んでは暗示を掛けていた。
後は実行に移すだけだ。
うん、私は念入りに計画を組んではステラ達の卒業式の日はバタバタと早くに訪れるのだった。




