58.表─王立学校クラス振り分け試験。
「はーい! 振り分けられた番号の席に着いて下さいねー!」
講義室だろう場所に案内されると、机の上に数字の書かれた案内の紙が置かれており、該当の番号の所へと私と同じく振り分け試験に来た学生がゾロゾロと着席していってる。
「ステラちゃんと、番号隣で良かった」
「だね!」と、私はリコちゃんに応えては該当の数字の席を見つけてはリコちゃんを連れ立って着席する。
「皆、座りましたねー? えっと、タイマーはこれで良くて、よしよし。それでは試験を開始致します〜! 良いですかー? 不正とかはカンニングとかは駄目ですよ? 何かあったら、手を挙げてくれれば良いですからね〜? では、今から試験用紙を配りますね~?」
結構、間延びする言葉が特徴の先生だ。
脇からスッと杖を取り出したら、一振りすると、用紙がフワッと浮かんでは、魔法だろう、私達の前に問題用紙が置かれた。
「筆記用具も配りますね〜!」と、聞こえては同じく筆記用具もストンと降りてくる。
「ではでは、開始です〜! 頑張って下さいね〜」と、声を上げれば目の前の数字の魔法が刻みを始めては試験が開始された私は慌てて、問題用紙とにらめっこを開始するのだった。
「リコちゃん、出来た〜?」
「う~ん、どうでしょう? でも、全部は埋めれましたよ?」
「そっかぁ」
「ステラちゃんは?」
「うーん、最後らへんの魔法とかの解釈とかの説明の問題。書いていたら、アメリアの顔が浮かんできては、いつも長く説明してくれるのを思い出して書いてたら、すっごい長くなっちゃって、それだけ不安」
「あ〜。うん…」と、リコちゃんは容易に想像出来たのだろう。
私の顔色を見ては「た、多分。大丈夫だよ!」と、声を掛けてくれるだけに慰めは留まった。
「ほ、ほら! ご飯行こう? 食堂の利用は無料だったはずだよ?」
「確かに! 午後は魔力とか魔法の運用試験とか、とか…後は…」
「一応、希望者とかは武の試験も受けれるみたいだよね?」
「そう、それ!」うんうんと、私は頷く。
魔法と武、どちらもしっかりと重きを置いてるから。どちらも選べるし、得意な片方も選べる。
可能性は潰さないようにとの配慮もあるのでは? と、アメリアは言っていたけれども。私はどちらも受けようと思っている。
とりあえず、学食なるものを私はリコちゃんと行っては舌鼓を打って、お腹は8分目に留める事に成功して、午後の試験へと向かう事にした。
「まずは魔力量の測定を…と、言っても正確には難しいので、コチラの水晶に魔力を通して貰いたい。明るさによって、区分けする。では、1番の子から〜」
「えー、ここでは魔力の精度を! 遠くに見えると思うけれども、あそこの的に魔力の矢を放ってみて! あっ! 壊したら駄目よ! 当たった箇所に魔力反応が残るようにしてるから、それで精度を測ります!」
「ここでは魔法式や、魔法句に関しての考察を! 正確に分かるか、後は詠唱出来るかを見るぞ!」
「ここでは魔力を一定量を維持して、どのくらいそれを保持出来るか測ります!」
「つ、疲れたね」
「あはは…」と、リコちゃんもこれには苦笑いだ。
体力的なというか、精神的に疲れた形だ。
う~ん、魔力量が少ない子はグッタリとしてるが正しいかも。
魔法に関しては無詠唱はとりあえず、脇に置いて普通に受けた。アメリアからも無詠唱に関しては極力控えるように言われているし、魔法句も基本的には弄らずにそのままだ。
もう少し、魔法という枠組みが造詣が深くなったら、それに合わせて使い分けるのが良いと教えられている。
「人はある一定の常識や見解を越えてしまうと異端として社会から弾かれてしまうから気をつけなさい」とは、アメリアからの有り難い言葉だ。
まぁ、私もそれは薄っすらとは分かる。
だから、遠くからジッと木陰で休みながらも待機しているウルは偉いと思う。
多分、言葉が分かるウルはウズウズしながら見てるかもだけれども、アメリアからの言いつけはキッチリ守っている。
そう言えば、アメリアがもう少ししたら、ウルがまた進化するかも? と、言っていたけれども、ウルのあの毛並みが変わってしまうのかはリコちゃんと私のささやかな心配の種だったりする。
「武の試験は簡単だ! 得意な武器を選べ! 木で作られてるし、先端は丸めてある! 俺と打ち合え! それで判断する! おら! 1番から掛かってこい!」
「先生! 1番は受けてないです!」
「ん? あぁ、すまんすまん。えっと…あー、3番からで飛び飛びなのか。よし! 3番かだ! こいっ!」
と、アレは受験番号かな?
確かに、比較的受けてる人数は疎らなような?
リコちゃんと私は勿論、受けている。
リコちゃんもしっかりと冒険者ギルドの初心者講習を受けては、その後もちょこちょこと習っていて、実戦は受けてないけれども、指導はバッチリと言うやつだ。
いや、むしろ実戦は本当にダンジョンとかに潜ったり、死と隣り合わせだから、自衛として習う分は、きっとリコちゃんは充分なのだ。
「おー! やるな!」と、どんどん捌かれてはリコちゃんが相対してるけれども。うん、動きは悪くない。軽く打ち合ったら「オッケーだ!」と、先生が笑って言っては「次!」と、私が呼ばれるのも直ぐだった。
「いやぁ、疲れたね!」
「ですね」
「早く帰らないと! アメリアが心配して待ってるかも!」
「ふふふ、確かに! なら、急いで帰りましょうか」
「うん! ほら、ウルも行くよ!」
「ウォン!」と、ウルも尻尾をフリフリしつつ、ちょっぴり駆け足で帰宅して、真っ暗な部屋で誰も居なく「えー」と、私が嘆くのは直ぐの事だった。




