56.表─王都セントリア。
ガラガラ──ガタンカダン。
たまに舗装が剥がれてる所が当たって馬車が不意に跳ね上がる時があるけれども、確かに舗装が途中の休憩所から始まっては未だに続いていた。
「道がある!」
「そうだね。綺麗に整地されては敷き詰められてるね」
「ウォン!」と、ウルも馬車から見える景色をジッと興味深そうに眺めては同意の返事をしている。
確かに、王都だ。
私は初めての景色に視界が奪われては、全てがキラキラと輝いて見える。
真ん中に王城が有って、そこから城壁を広げては区画を作っては新たに城壁を作りつつ、周囲へとその威光と繁栄を示しているみたい。
今は王都に入ったけれども、景色は放牧と麦畑や遠くには野菜を育てているのも見える。
「凄いですね」
「うん、リコちゃんも初めて?」
「はい。私はレイストの街で幸運にも拾って貰えて、今回こうやって御縁を頂けているから…」
「そっか。私もアメリアに拾って貰って…こうやって! 今はリコちゃんとも素敵な景色を見られてる!」
「うん!」と、リコちゃんは嬉しそうに笑ってくれては私の出した手を握ってくれた。
ガタンカダン──と、心地良く馬車は御者によって、私達を王都の中へ、中へと案内してくれていた。
「はいよ。身分証の確認もオッケーだ! ようこそ、王都セントリアへ!」
貧民、平民層の区画から商業や学術の区画へと入る際は門番の方に流石にチェックはされて、私達は中へと入る事が出来ていた。
御者の方も「では、私はここまでで、コチラの受領証にサインをお願いします」と、アメリアに話してはアメリアがサラサラと綺麗な文字でサインをしてはクルッと証明書を丸めては私達に「頑張って下さいませ!」と挨拶しては馬を導いては別れることになった。
「凄いな。やっぱり、人というのは文化とは、発展とは素晴らしいものだ。服装の具合はふむ。この様式や素材は……なるほど。興味深いな」
「アメリアー?」
「ん? ああ、すまないね。色々と興味深くて、ついつい観察してしまっていたよ」
「ほら、リコちゃんもお家に行こうよ! 家具とかはある程度入れ込んで貰ってるんでしょ? 足りないのとかあれば、一緒に買いに行こうよ!」
「そうですね。学校の場所も確認出来れば良いのですが…」
「ウォン!」
「ああ、そうだね。よしよし、ウルも分かったよ。では、ステラとリコも行こうか。大丈夫、地形は頭に入っているから……コッチだね。さぁ、行こうか」
アメリアは話しながらもグルっと周囲を見回しては場所や位置関係を掴んだみたいで、淀みなく歩を進み始めた。
私もそれなりにウルと冒険者としてはやって来ていると思うけれども、未だにアメリアの把握能力は凄いと思う。
ダンジョンでも常に迷わないし、マッピングも出来るし。今も然りげ無くも周囲を警戒しつつも進んでるみたい。
「ん? ステラ? どうしたんだい? お腹でも減ったかな?」
「あ! 行くよ!」と、私がアメリアを見ていたら、今度は私が止まっていたらしい。
「確かに! お腹も減ったかも!」と、ちゃんと私の素直な意思も通しつつ、私はアメリア達へと追い掛ける。
そして、その日は私達には立派な家を確認しては、ウルの寝床のお布団が無かったので、改めて新調しに行ったり、ご飯を食べたり、その他、色々と細かい物を買ってはスイーツを満喫しては夜ご飯もそのまま食べて──食べてばかりだったと気付いたのは皆で家の大きいお風呂に入っていて、お腹が苦しかった時だった。
後は学校の場所とかの確認も食べるのを優先していたら、逃してしまっていた。
リコちゃんも「あっ」と、言っていたので。だいぶ食べるのにハマっていたと私は見た。
「大丈夫、大丈夫。数日は試験までにも時間があるし、リコの冒険者ギルドも平民区画の所にあるだろうから確認しに行こう」
私とリコちゃん、ウルに囲まれては満足そうなアメリアは鼻歌? を歌いながらも大丈夫だと私達に今後の予定を話してはその日はそのまま結局は皆、大きな布団に一緒になって眠っていた。
ウルの新調したお布団の出番はだいぶ遠いのかもと思いつつ、その日は眠りに就いて。明日、明後日に掛けては予定通りに冒険者ギルドと学校の位置を確認しては足りなさそうな物を買い足しては、入学前のクラスの振り分けの試験の時はすぐに私達に訪れるのだった。




