52.表─冒険者の街レイスト。
「凄い、凄い、凄い!」
「ハッハッハッ」と、ウルも尻尾をブンブンさせているあたり、大興奮なのだと思う。
私達は馬車に揺られながら、冒険者の街レイストに着いたのだけれども、街が明るいのだ!
基本的に夜は民家の明かりが蝋燭なので灯ってるのが当たり前だと思っていたのに、街灯というのが立ち並び、道路も仄かに光っている!
「ああ、コレはダンジョンから漏れ出る魔力を逆に利用してるらしい。錬金術ギルドの作品だ」と、並走していた冒険者の1人が私に教えてくれた。
「これは素晴らしいものだね」と、横でアメリアもウンウンと頷いては街の景色を眺めていて、私も同じものを一緒に見るのに気付いたら努めていた。
「ここが、冒険者ギルドだ! ギルドマスターが待っているはずだ。一緒に来てもらいたい。時間はそんなに掛からないはずだ」
そう言って、討伐隊リーダーの人は先に冒険者ギルドに入っていっては、私達も「それじゃ、行こっか」と、言うアメリアに頷いて私も向かう。
「おお! 無事で何よりだ! 被害は?」
「被害は──そちらは奥で後程、後は今回救えた者です」
「む? 冒険者以外も襲われていたのか?! おや、お前達は冒険者か?」
「そうです! ギルドマスター、彼らは中々の腕前ですよ! オークを一閃でやっつけていましたよ!」
「お姉ちゃん達! ワンちゃんも凄いの!」と、冒険者夫婦の娘っ子が言っては、先程から大興奮のウルは「ウォン!」と、言っては尻尾をブンブンと振っていた。可愛い。
「ほぅ、それも後で聞こう。討伐数によっては査定して報酬もやらんとな。とりあえず、無事な者たちは良かった。少しだけ、当時の状況を聴取したら、終わりだからな。御者のアンタは補償についても相談を聞いた。俺の方でも商業ギルドに問い合わせよう」
「ありがとう御座います!」と、頭を下げる御者を見つつ、受付嬢が来ては私達も含めて、皆、聴取を受ける事になる。
「若いのに凄いですね。獣魔のウルフの方も中々──」
「あっ、従魔は私ので無く。アメリアのです!」と、私は答えると、受付嬢の方がもう一枚、アメリアの情報だろうものを見比べては「失礼しました」と言っては修正して書き直してるようだった。
「うーん、こんなに貢献して倒せるのなら。ランクアップはどうでしょう? ダンジョン入場に関しても緩和措置が有りますし、よいとは思いますが?」と、私達の討伐数を記録と証明代わりの討伐部位を見比べて確認しては受付嬢が言ってきたので、私はアメリアを見ると「うん、自由にしても良いよ」と、言ってきてくれたので、ランクアップをお願いする。
「少々お待ちを、ギルドマスターは……忙しそうなので、サブマスターに確認して参ります」と、パタパタと受付嬢が出ていく。
「ランクアップだって!」
「そうみたいだね。こう言うのを幸先が良い……とは言えないか。でも、うん。色んなダンジョンを行きやすくなるのは良かったのかな?」
「うん!」と、アメリアが問い返して来たので、私は嬉しそうに頷くと、アメリアも嬉しそうに笑い返してくれた。
「お待たせ致しました! こちら、承認されましたので、新しい冒険者ギルドの証明書になります。紛失にはお気をつけて。後は今回の騒動に巻き込まれた方には、お伝えしているのですが、宿などすぐには難しいとは思いますので、暫くの間は冒険者ギルドの宿泊施設の利用を許可しています。格安なのでオススメですよ! 宿をお探しの際も、提携している宿泊施設も有りますので、改めてご相談頂けましたら案内させて頂きたく思います」と、丁寧に場所を記載された用紙を渡されては「ありがとう」とアメリアが一言と、後は美味しい飯処を聞いてくれては「じゃあ、今夜はここに泊まろうか? 美味しい所も聞けたし、食べに行こう」と提案してくれたので、私は「うん! 行こう!」と答えては、ウルと一緒に冒険者ギルドを後にする事になったのだった。
「こう言うのは悪くないね」と、冒険者ギルドを出る時にアメリアが言葉を零していたので、「アメリアのお陰だよ!」と、私が言うとバードが魔法を不意に食らった表情? みたいにポカンと一瞬、アメリアがしていては「ふふ、そうだね」と微笑んでは私とウルの頭を撫でて、まずは飯処へと向かうのだった。




