46.表─初心者講習。
「これが【あ】これが【い】これが──」
楽しい。
読み書きは楽しい。
計算も、難しいけれども。隣でアメリアが教えてくれる時がある。
ウルはアメリアの膝の上で眠っているけれども。
「スキルとは元々備わっている場合と何かしらの影響で覚える時が有ります」
スキルの話も面白い。
メジャーなスキルは私も聞いたこともあるやつがある。
マイナーな物は冒険者ギルドも秘匿性から秘密にしてるとの事だった。
後は訓練も楽しかった。
沢山、叩かれては転がされたり、魔力切れになったりもしたけれども、私は満足だった。
「ステラ、楽しかったかい?」
「うん!」
「そうかそうか。ん? ウルは暇だったのかい? なるほど、言葉が分からないからか。なら、次からは私が翻訳してあげよう」
「クゥン」
ウルの言葉は分からないけれども、アメリアの言葉でどんな話をしていたかは私も想像が付いては嬉しくなる。
「沢山、汚れたからな。湯屋にでも行こう。その後に宿でご飯を食べよう」
「はい!」
お風呂は好きだ。
旅の中でもアメリアは魔法でお湯を出してくれてはお互いに綺麗に洗ってはウルも途中からは一緒になって、洗っこするのだ。
アメリアは優しく洗ってくれる。くすぐったいけれども、嬉しい。
奴隷の頃はお風呂なんて無くて、たまに臭いが厳しいと思われたら、泥水をぶっ掛けられていたのを思い出すと悲しくなるけれども、そんな時はアメリアは気付いてくれては私を抱き締めて撫でてくれるのだ。
「こんな生活がずっと続くといいな」
「ん? どうしたんだい、ステラ?」
「今、私、幸せ」
「そっか。なら、これからはずっと幸せだな」
「うん」
やっぱり、アメリアは優しい。そして、柔らかくて、いい匂いがする。
ウルも湯船に浮かんではプカプカと浮いては、伸びている。
最初、従魔可の湯屋と不可の湯屋があるのが分からなくて案内されたのを思い出しては笑ってしまって、アメリアに「どうした?」と聞かれたので、思っていた事を話すと「私にも分からない事があるのだ」と言っては顔を背けてしまった。
そんなアメリアも私は大好きだ。
その後は宿に戻っては美味しいご飯を食べては、柔らかい布団とアメリアの身体と、モフモフになったウルに包まれて、私は眠りに就いたのだった。
明日からは暫く、講習を受けられるらしい。
お金の事はアメリアが心配しなくても良いと言っていた。
いつか、いつか。私の手で返したいな。




