43.私─ルーランの街。
賑やかになったと思う。
賑やかとは、私とは無縁だと思っていた。
いや、これこそ心の問題なのか。
感情の発露があってこそ、物事には付加価値が付いているのかも知れない。
確かに、そう思うとステラとウルは私からしたら宝物なのだろう。
ステラとウルを撫でると嬉しそうな反応が返ってくる。
ふむ。素晴らしい。
そして、ウルと出会って数日目にして街道が見えては人の道が現れた。
良く整備されているとは思わないが、これはこれで懐かしい。
私がアメリアとして歩いていた道もこんな道だった気がする。
ウルに人の匂いがする方を頼んでみたら、進路を決めてくれた。
良かった、私の嗅覚スキルも間違えてはいないようだ。
改めて、歩き始める前に私含めての全員の身嗜みを整える。
これは人の世で生きる中で大切な事だ。
身嗜みを整えてるだけでも、相手は礼儀を持ってくれるものだ。
きっと、街があるだろう。
村かも知れない。
規模もあるかも知れないが基本は門番など、身分を見ては来るだろう。
うん、大丈夫そうだ。
ステラもウルもやっと、少しは身体の線がしっかりして来ているような気がする。
私は満足げに2人を見やると歩き始めたのだった。
そして、日が傾き始めた頃に城壁が見始めては門の部分には人混みがあっては皆手続きをしては街へと入っているようだった。
「街だ」
「街ですね」
「ウォン」
私の声に同意の声を返しつつ、私に続いて歩いては私たちは列の最後尾に並ぶ。
チラリと見たが、何名かはウルと同じように魔物だと思うモノを連れていた人物が見えたので、街に入れる分は大丈夫なのだろう。
「身分証明は?」
「すみません、証明するものは紛失してしまって」
「なるほど、そうなると1人辺り銀貨5枚掛かるが?」
「コチラ、使えますかね?」
「ん? 何だコレは? 銀貨……だよな? どこの銀貨だ?」
「ある商人と物々交換が難しい際にそちらを頂いて、銀貨と同価値とお聞きしたのですが? 駄目ですかね?」
嘘だ。アレはあの世界での銀貨に過ぎない。
「ふむ。いや、でも女子供を追い出すのも忍びない。まぁ、良いだろう。後はその魔物の主は誰だ? まさか、そこの子供か?」
「いえ、私のです。産まれたてのウルフを縁があって譲って頂けて」
「召喚魔法は……ふむ。鑑定でも分かった」
ルーペとアチラでは言ってたが、コチラも同じだろうか?
それを通してはステータスを見たみたいだ。
「従魔は銀貨1枚で良いだろう。同じのしか無いのか?」
「はい。すみません」
「まぁ、良いだろう。よし、通せ」
無事にチェックを済ませては私達は門を潜る。
「ルーランの街へようこそ」
そう、通り過ぎる私達に門番はそう告げた。
私達はルーランという街へ、人の街へと訪れたのだった。




