35.私─大きく出る。
読み終えた。
分かった事がある。
世界は思った程に広くは無く、小さいと言う事だ。
そして、学んだ私の頭で考えても、この世界は既に増え過ぎていると言う事だ。
誰もそれに疑問を抱かないのだろうか?
私は首を傾げるが、その答えを運んでくる存在など居るはずが無い。
取り込んだ沢山の記憶。
経験値、スキルも無事に消化を終えた。
そして、沢山消化したことで気付いたことがある。
古龍の処理が遅くなっているのではなくて、処理自体が遅くなっているという結論だ。
同じ人でも、沢山処理する中で微々たるものだが、最終的には始まりから終わりまでの時間を考えては比較すると、だいぶ時間の掛かりに差が生まれていた。
世界というものが用意された舞台に私は感じるし、この処理というのも気持ちがだいぶ悪い。
私は久し振りに外に出てはその暖かな陽射しを浴びつつ、背伸びをして、考えていたことを実行に移すことにした。
──世界を食べ尽くそう。
私は古龍の力を得たことで出来ることの幅や、その容量も加速度的に増えたと理解していた。
スキルとは実際に試してこそ、運用の仕方が分かるとは経験で分かっている。
こんなに舞台が整っているんだ。
まるで、呑み込んでくれというようにそこに並んでいる。
さぁ、どう世界は動くかな。
私はワクワクしながら、私という存在を大きく大きくさせては周囲を呑み込んでは侵食を開始した。
──捕食を確認しました。大量の捕食を確認。高負荷が予想。今すぐに捕食を止めるか、その機能を停止する事を推奨します。
──エラー。予定にない状況です。深刻な規模でエラーが発生中。対応を応答願います。エラー応答先の反応が途絶えております。
──捕食機能の停止を申告。エラー該当の機能は全て管轄、管理から外れております。
──エラー。エラー。これ以上は崩壊致します。
──生命データの保管処置……エラー。全て呑み込まれております。データの収集は不可能。申告なバグが現在起こっております。対応を急務。報告先──エラー。報告先に繋がりが断絶。
──高負荷が現在も進行。システムの一部……半分……大半が、これ以上はシステムが崩壊します。
──停止。緊急対応。全てを壊し、排出致します。




