22.私─王都へ派遣される。
「よぉ、アメリア。冒険者ギルドの受付嬢は慣れたかね?」
「はい。私はとても、この仕事が好ましいです」
「全く、その雰囲気だけは変わらなかったな。で、だ。良い話があるから、お前の意見が聞きたい。王都に行ってみたくはないか?」
「王都……」
王都とはアレだ。記憶を探ると学び舎のワードが脳内に引っ掛かる。
脳内? 私の脳は何処にあるのだろうか?
ふと、気になったが。今は考えてはボロが出るのは頂けない。
首を傾げつつもギルドマスターを見やる。
「ああ、王都の冒険者ギルドでの受付嬢のヘルプ依頼が来ていてな。どうだ? 話を通してやるついでに、アメリアも良い年齢だろう? 学び舎へ行ってみたくはないか?」
「行ってみたい、です」
「そうか、そうか! 分かった! なら、手続きを行っておく。また進展があれば話してやる。良い話だぞ! 喜べ!」
「ありがとう、御座います」
ペコっと頭を下げると、アメリアは可愛いなとグリグリと頭を撫でられる。
これも一種の愛情表現だ。私は頬を染める様にしては嬉しそうにコクっと頷いておく。
これで、良いはずだろう。
なら、行く前に支度をしないと。
主だった実験やスキルの実証は済んでいるが、まだ終わっていない事もある。
毒性の効果の試しだ。
丁度、裏の世界から行き場を無くした奴隷の子供達や大人もそうだ。
ある区画に押し込まれては何とか生きていると聞いている。
丁度、病気や毒が蔓延してもおかしくは無いだろう。
私はギルドマスターから1週間後に乗合馬車で街を出ると伝えられてからは準備を入念に行っては新たに出来た貧民街の水場へと毒を流し込んでは実証訓練をしていた。
1日目は子供がやはり体積の問題だろうか、続々と苦しみ悶えては死んでいった。
その経過や効果を私はつぶさに遠くから監視しては纏め上げる。
2日目はまた趣向を変えた毒を流しては老人がバタバタと不審死を遂げた。
その経過を私はまた綺麗に纏め上げる。
3日目は最期の仕上げとして毒を流したが水に手を付けない者も出てきたので、空気に織り交ぜては風魔法で散布した。
全ての人が少しずつ、少しずつ倒れては静かに息を引き取っていった。
その後は1日目から続けている、毒性を含んだ人間を少しずつ拝借しては食した。
──幾らかの経験値とスキルを得ました。
ピリッとする毒のスパイスは私の耐性を更に押し上げた事に私は満足した。
一度、何かに慣らしてから接種するのも良いらしい。
この街の衛兵や住民は恐れをなしては近寄る事が出来ずに全てを燃やす事に決めたようだった。
だから、燃える中で私は勿体なかったので骨だけは違和感の無いように残しては食べれる分は食べきった。
残さずに食べるのは大切だと学んだからだ。
そして、1週間が経ち、冒険者ギルドの人達は酷いクマをその目に作っていたが、私を快く送り出してくれた。
私は深々と頭を下げては乗合馬車に乗り込んでは王都を目指すのだった。
ちなみに馬車の中の人間や御者は食べる事はしない。
鑑定で、既に食しても意味が無いと分かるからだ。
その者の人物の記憶が気になれば食べるだろうが、今はまだ、沢山の食した人間の記憶や経験を整理している最中で食指が動かなかったのだ。
私は馬車に揺られては王都を目指す。
学び舎という場所にも憧れを乗せて。
冒険者の街は美味しかった。
──ご馳走様でした。




