17.私─助けられる。
「大丈夫か?!」
「おい、コッチ側に少女も居るぞ!」
「その子は情報にない子だな? だが、保護は手厚くだ。一緒に街に連れて行こう。もう、終わった後なのか?」
「大丈夫だ! この子はまだ、みたいだ!」
「良かった。こんなに幼い内に酷いものを見ただろう。もう大丈夫だ。安心していい。皆! 直ぐに引き上げるぞ! この場は後ほど、処理するぞ!」
冒険者? だろうか、男達の意識がリーダー格の男へと逸れた隙に、パクっとオーク達の一部を拝借する。
──捕食を完了致しました。幾らかの経験値とスキルを得ました。
それにしてもだ。
私は、私らしくない事をしてしまった。
不可思議にも私は、あのオークに犯されそうになった瞬間に突然の不愉快を、気持ち悪さを感じたのだ。
肉体なんて仮初めに過ぎないというのにだ。
心と言うやつなのだろうか?
私は知らない内に、このアメリアという少女へと人格が引っ張られているのでは無いのだろうか?
コチラを心配そうに見てくる男を見ては私は辿々しい感じで微笑むと、男は頬を紅く染め上げる。
コレがアメリアの魅力か。
存外、この身体は人間の中では極上なのかも知れない。
この極上というのは容姿という意味でだ。
人間は面白い、価値の基準を多角的に見ては位置づけている。
容姿、性格、金銭、強さ、生活力というのもあるようだ。
そうだ、複雑なのだ。
最近はシンプルな奴ばかりを食していたような気がする。
私は舌舐めずりを男の見ていない中でしては、その芳醇な複雑な味をするだろう人間を想像しては胸を高鳴らせていた。
コレが恋心と言わず、何というのだろうか。
ああ、人間とは甘美。
甘美とは複雑。
複雑とは私の求めるもの。
そして、男達は壊れた女達を丁重に扱っては、私を含めて冒険者の街へと連れて行くのだった。
──初めまして、冒険者の街。




