14.裏─ゴブリン。
俺達は家族が多い。
沢山産んでは沢山死ぬ。
何でも食べるし。
同族でも死ねば食べる。
生きる為だ。
俺達は常に早熟で、そして単純な世界に生きていた。
アイツが現れるまでは。
アイツは突然現れては、いや、生まれていては頭角を現していた。
俺たちに狩り方を【教えて】はいつも美味しいのを食べれるようになった。
俺たちに村の作り方を【教えて】は俺たちに安住の地をくれた。
俺は頭が悪いから、凄いしか思わないが。
長く生きているゴブリンはアイツを気味悪がった。
でも、生きる為には強いやつに従うのが自然だと俺らは知っている。
ある日アイツは【教育】を始めた、ゴブリンシャーマンというアイツは言っていたが、魔法使いが生まれた。
俺たちに言語が生まれた。
俺達は【道具を作る】事を知った。
沢山、沢山知った。
家族も増えては飢えて死ぬ事は無くなった。
アイツは俺達の救世主になった。
ある日、長く生きる者が生活圏を広げようと言った。
皆、この規模では足りないと分かっていたから賛同していた。
アイツも【良い頃合い】だと言っていた。
俺達は育った。
育ってしまったらしい。
アイツの望み通りに。
夜、最初は長く生きた者達が消えた。
俺達はまだ馬鹿だったから、先駆けとして消えたのだと思った。
長く生きた者は若者に負けられないと言っていたからだ。
次に子供たちが、赤子も含めて消えた。
俺達は疑問を抱いた。
子供たちを赤子を心配していたら、身籠っていた仲間が消えた。
俺の妻と言うとアイツは言っていた。
そうだ、愛している者が消えた。
俺達は必死に探した。
そして、街に戻ってきたのは【俺だけ】だった。
いや、アイツが居た。
一番育ったのは最期に食べたいと言っていた。
「な、に、を言って、いる?」
「素晴らしい。考える力がある。知性が一番発達している」
「救世主?」
「なんだい?」
「み、んな、どこ?」
「ここに居るよ?」
アイツは自分のお腹を指しては笑った。
笑っていた。
俺は怒っていた。
その手に持った【お手製の武器】を持って襲い掛かった。
瞬間に目の前が真っ暗になっては俺の胴体が食われていた。
それを俺は見上げて見ていた。
──ご馳走様。
──食料の飼育は確かに良いけれど、手間だな。
そう、聞こえた気がしたが俺はもう、何も──。




