13.私─放浪する。
人間の世界は疲れた。
コレが疲れだと気付いたのは1人で宛もなく歩き始めた時だった。
とりあえず、アメリアの姿で私は道を外れては山の中を分け入っては適当に進んでいた。
目的地など無い。
ただ、それが素晴らしく気持ちが良いと思ったからだ。
お腹は減らない。
基本的には食事とは嗜好の問題なのだろう。
食べたい時に食べては眠りたい時に眠った。
道中、魔物も動物も美味しく頂いた。
けれども、おかしな話だ。
魔物と動物の境目は魔力を内包しているかで変わるらしいが、食べている私からすると全ての生き物は今の所、総じて魔力を保有している。
これは人間の知識不足だと私は禁じ得ない。
あぁ、そうか。
なんだか、ソレは嫌だな。
いつか、食料とは育てて価値を上げるとも聴く。
育ててみるのも一興かも知れない。
ふふふ──。
そんな夢を見ながらも。魔法の試し打ちをしたり、スキルの練習をしたり、記憶を整理したり、料理をしたり。
私は1人を楽しんでは。
私は全てを食べていった。
自然というのは食べ物の宝物庫だ。
私は気分良く、今日も歩き始める。
ただ、今日の目覚めはゴブリンの集落からだった。




